[ 2022年 1月 11日付 ]
中村製作所の「アモルメット・コア」を再確認してみました。
-
こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。
今回は、オーディオ用に開発されたノイズフィルタ「アモルメット・コア」の魅力を、改めて探ってみます。
2016年、衝撃的に発売された中村製作所の「アモルメット・コア」は、現在も効果的でハイコストパフォーマンスなオーディオアクセサリーとして人気を博しています。
既にお使いの方も多いと思いますが、多少の使いこなしも含めて、再度ご紹介させていただきます。
中村製作所 ノイズ吸収リングコア
「アモルメット・コア」シリーズ
では、まず「アモルメット・コア」の基本からおさらいしてみましょう。
「アモルメット・コア」の内部構造は、特殊鉄系合金アモルファスという素材で、厚さ約0.2mmのテープ状のものです。
そのテープを幅と大きさに応じて巻いて、溶接固定したものに、樹脂製のカバーが取り付けられています。
オーディオ帯域で最適かつ効果的に作用、音質を劣化させるような副作用が発生しないように開発されています。
もちろん、この素材と構造は中村製作所が独自の実績と研究で開発されたもので、オーディオ専用として特化した世界初の製品といえます。
各種サイズが用意されています。小さい方からご紹介していきましょう。
◆コモンモード専用(ノギスでの実測数値)
・Amormet NS-095B
外径Φ9±0.5、内径Φ5.5(5.5)mm、厚み8(8.6)mm
・Amormet NS-115
外径Φ12±0.5、内径Φ5(5.0)mm、厚み7(7.0)mm
・Amormet NS-145
外径Φ14±0.5、内径Φ6.5(6.5)mm、厚み7(7.0)mm
・Amormet NS-221
外径Φ22.5±0.5、内径Φ10(10.0)mm、厚み12(12.6)mm
・Amormet NS-285
外径Φ28±0.5、内径Φ14(14.0)mm、厚み13(12.8)mm
・Amormet NS-295
外径Φ28±0.5、内径Φ16(16.5)mm、厚み13(12.8)mm
・Amormet NS-385
外径Φ48±0.5、内径Φ24(24.0)mm、厚み28(28.0)mm
◆コモンモード・ノーマルモード両用(ノギスでの実測数値)
・Amormet NST-105
外径Φ10.5±0.5、内径Φ5(4.8)mm、厚み6.5(7.0)mm
・Amormet NST-159
外径Φ15±0.5、内径Φ6(6.4)mm、厚み9(9.5)mm
・Amormet NST-198
外径Φ19±0.5、内径Φ8(8.0)mm、厚み10(10.2)mm
・Amormet NST-241
外径Φ24±0.5、内径Φ10(10.5)mm、厚み12(12.2)mm
・Amormet NST-271
外径Φ28±0.5、内径Φ13.5(13.2)mm、厚み12(12.4)mm
使い方はとても簡単
「アモルメット・コア」の穴に(+)と(−)の2本のケーブルを通すだけ!
ケーブルの(+)線には信号電流が、(−)線はアース電流が流れています。※必ず(+)と(−)の2本のワイヤーをまとめて通過させるシングルコアにすることが大切です。
ケーブルにはコモンモードノイズと呼ばれている外来ノイズが(+)と(−)で同相で等量が乗っています。
「アモルメット・コア」を電流が通過する時、トロイダルコアに磁束が発生して、電流エネルギーが磁気エネルギーに変換されます。
この時、ノイズは磁気損失として失われ、損失を受けない信号電流だけが通過できる仕組みです。
この「アモルメット・コア」によりノイズだけが減衰して音楽信号が浮かび上がるイメージです!!
「NS」シリーズと「NST」シリーズの違いについて
「アモルメット・コア」には「NS」シリーズと「NST」シリーズの2種類があります。
オーディオ機器には基本的にまず「NS」シリーズからお選びください。
「NS」シリーズは超ハイミュー材を採用した透磁率の高い高性能モデルで、単独で大きな効果が期待できます。
「NST」シリーズはやや透磁率の低い素材が採用されていて、単独ではノイズ防止効果は少くなります。
ただし、「NS」シリーズとはノイズに対する適応周波数が異なるため、重ねて使用することで、さらに音に厚みと落ち着きを加えることができます。
「NST」シリーズは「NS」シリーズの補助的に使うと、効果が大きく効率的となるとお考え下さい。
(NS+NST連結した状態)「アモルメット・コア」の選び方
ライン(RCA、XLR)、スピーカー、ACケーブルは中心の穴にプラス・マイナス両方の電線が無理なく一緒に通るモデルが適当です。
大きなモデルでも小さいモデルでも効果には大きな違いはありませんので、無駄に高額な大型モデルを選ぶ必要はありません。
一般的なRCA端子には「NS-285」、XLR端子には「NS-385」が適合します。
「アモルメット・コア」の使用箇所について、効果が高い順番
一般論として、電源をはじめとする外部環境や使用機器により、オーディオシステム内におけるノイズの大小や流れ方は千差万別で、一概にどこが一番と決めることができません。
したがって「効果が高い順番」につきましても申し訳ありませんが使用してみなければわからないというのが現状です。
「アモルメット・コア」は使いまわしができるので、いろいろと試してみてください。
なお、バランス伝送はノイズに強いといわれていますが、実際にコアを装着してみると、効果が確認できるので試してみられることをお勧めします。
1本のケーブルに複数個使用すると効果は?
連続して同じコアを複数個使用することは、特に弊害はありませんが、 綺麗になった所をもう一度掃除するようなもので、その効果は限定的なものとなります。
特別にノイズが大きい時は効果がある可能性がありますが、特別お勧めはしておりません。
PCの電源にも効果がある?
PCのACアダプター電源のノイズ軽減に関しては、PC自身が内部で多くのノイズを発生しているため、ACアダプター部分で改善しても結果的には改善が分からない場合が多いと報告されています。
ディスプレイと接続してあるケーブルに装着するのは、画質の改善の期待ができます。
PCの出力端子からUSBケーブルで信号を送る場合は、音も映像も装着により効果はあります。
LANケーブルを使用する時も「アモルメット・コア」を通すと、データがより正確に送れます。
スピーカーケーブル
被膜の外側からでも、被膜を剥いた部分に装着でも、効果は変わりません。
被膜を剥いた内部の2本線に対応した内径の「アモルメット・コア」をお勧めいたします。
Yラグが装着された完成品の場合は、Yラグの大きさに対応した大型コアが必要となります。
音の純度を高め、高域の抜けや伸びか改善されます。
解像度の向上とともに繊細さも加わります。全体のコントラスト向上で、低音の輪郭を明瞭に再生できます。
スピーカーのバイ・ワイヤリング接続に使う時
1つのコアにバイ・ワイヤリングで使用するケーブルを全てまとめて通せます。4本でも6本でも、一緒に通しても問題ありません。
4本のケーブル(同じ信号のプラス・マイナスを2セット)を、まとめて1個の穴に通しても大丈夫です。
自作電源ケーブル
電源プラグ、インレットプラグ内に装着することが可能。
プラグの内部に装着することで、一見どこに付けているか分からないのもGOODです。
装着すると、透明度、立ち上がるレスポンスに優れ、大きな効果が期待できます。電源には効果絶大。
力感、エネルギー感が増して、電源を強化したような効果が期待できます。
歪感の減少による音場の改善、音像は引き締まり、ボーカルは彫り深く魅力的に改善されます。
完成品の電源ケーブルには?
電源ケーブルのプラグは直径約35mmもあるので、完成品の電源ケーブルを通すには、超大型の「NSSE-01B」が必要です。
お勧めとしては、コアを内蔵した電源タップ「PLC」シリーズ、「NXP1」シリーズをお使いください。
壁コンセントの内部
屋内配線のFケーブルの末端、壁コンセント付近に装着。
音は中高域の抜けが改善、特に高域の伸びが良くなり聴感上のS/Nや歪の減少も聴き取れます。
ただし、屋内配線は電気工事士の免許が必要なので、壁コンセント交換を依頼した時に一緒にやってもらいましょう。
ACアダプターの細い直流出力側に入れる場合
穴がプラグより一回り大きく、直流出力コードを1〜2回巻ける程度の大きさがお勧めです。
AC3線の電源ケーブルはアース線を一緒に入れても(+)(−)2本だけでもどちらでも問題ありません。
カートリッジに装着
リード線に最も小さい「NS-095」を装備。カートリッジとシェルの隙間に装着するので組み合わせによっては装着できない場合があります。
TVの電源に装着
電源プラグがコンパクトなメガネ型であれば装着可能です。
なんと、画質も改善できます。映像のノイズ感が減って、鮮明な画像になります。音と同様に、コントラストの改善も期待できるので、試してみる価値はあります。
試聴を終えて
「アモルメット・コア」は実に効果があり、その性能は驚くべきものがあります。
その効果は、確実にノイズが減って、音楽信号が際立って聞こえてきます。
音場の透明感の改善、音像のコントラストの改善など、本来音楽信号に入っている音が鮮明に聞こえてきます。
また、なんといっても圧倒的に優れているといえる点は、副作用の少なさです。
スピーカーケーブル、RCA(XLR)ケーブル、電源ケーブルと、あらゆるケーブルに装着したくなります。
通常のアクセサリーは、1個目では大きな効果が確認できても、やりすぎると逆効果となる製品が多かったですが、どれだけ沢山装着しても副作用がないため、安心して増やせる貴重なオーディオアクセサリーといえます。
最後に
コアは衝撃を与えると破損したり、まれに特性が悪化することがありますので丁寧に扱ってください。