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音場工房

[ 2022年 2月 15日付 ]



ディナウディオ(DYNAUDIO)のエントリーモデル「Emit」シリーズのご紹介!



  • こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。

    ついに、DYNAUDIOから自慢の測定ルーム「Jupiter」で製作されたエントリークラス「Emit」が誕生しました。

    2017年に「Jupiter」と呼ばれる巨大な測定ルームを完成させて、最上位の「Confidence」から、順次モデルチェンジが進めてられていました。
    そして、「Contour i」シリーズ、「Evoke」シリーズに続いて、遂にエントリークラスの「Emit」シリーズもその恩恵を受けた製品が発売されました。

    今回はその新製品「Emit」シリーズをご紹介します。


DYNAUDIO「Emit 10」

DYNAUDIO「Emit 20」

この他に、フロア型の「Emit 30」「Emit 50」をラインアップしています。


DYNAUDIO「Emit 30」

DYNAUDIO「Emit 50」

シアター対応のセンタースピーカーもございます。


キャビネット外観も進化しています。

新「Emit」シリーズは上位モデルの「Evoke」シリーズと同様、ユニットを固定するネジが表側から無くなり、カバーもマグネット装着になった事で穴も無くなって、スッキリとした外見に進化しています。
もちろん、音質的にも不要な凸凹が無くなり、有利に作用している事は明らかです。

上位モデルのノウハウを投入されたことで見た目はスッキリと高級感が向上、上下の面取りも丁寧なR状となっています。

背面のバスレフポートは渦巻状の加工が施されたデュアルフレアー型デザインを採用。乱気流を防ぎ、よりクリアで正確な低音を実現しています。バスレフポートに詰める、低音調整用のフォームプラグも付属。


搭載ユニットも大幅刷新

今回の「Emit」シリーズには、なんと、上位の「Evoke」シリーズに採用されている「Cerotar」トゥイーター同等品が搭載されています。

DYNAUDIOのシルクドーム25mmトゥイーターと言えば高品質、高性能で定評があります。スタジオモニターなどにも多く採用されている実績、実力のあるユニットで、この「Emit」にも採用されたのは驚きです。


また、「Emit 10」の14cmウーファー、「Emit 20」の18cmウーファーにも「Evoke」シリーズで使用されているものが搭載されており、上位機と比べても遜色ないユニット構成となっていて、これは期待ができます。


クロスオーバーネットワークの設計も、「Jupiter」による計測とリスニングモニターを合わせて最適化されており、近年のDYNAUDIOの最新技術が惜しみもなく投入されています。

「Emit」の低損失クロスオーバー設計は、長時間に及ぶリスニングテストを行う前に「Jupiter」の測定によってまず最適化されています。これにより、クロスオーバーポイントをより最適にチューニングすることができ、音の分離感、ドライバー同士の連動性向上に繋がっています。

自然なパフォーマンスを、スピーカーの見た目からは想像できないほどの広々としたサウンドステージとともに享受できます。


担当者のDYNAUDIOとの思い出

私がDYNAUDIO「Audience 52」を購入したのは2000年のことでした。
それまでは大口径の高効率ユニットのスピーカーばかり使っていましたが、「Audience 52」を新製品試聴会で聴いた時に「なんと素直で深みのあるサウンドだ...!」と感動して即購入。特に、ツイーターの素晴らしさは価格を遥かに超えた実力で、深い陰影感、美しく正確なサウンドは魅力を放っていました。

アンプには当時話題となっていた「タグ・マクラーレン:60i」とCDプレーヤー「CD-20R」を組み合わせて、シンプルでコンパクトなシステムを構築していました。

組合わせた音はとても雰囲気が良く、心地よいサウンドで、正確な描写表現は長期間聴いても飽きさせることが無く、アンプが壊れるまで結構長く使っていました。

その後もDYNAUDIO製品は好きなスピーカー・ブランドの上位モデルとなっています。
もちろん、今回ご紹介する「Emit」の進化は素晴らしく、「Audience」を完全に凌駕しており、2〜3クラスグレイドアップしていると思います。

また、「Audience」のちょっとチープな感じだった雰囲気も改善されて、「Emit」は随分と立派に成長しており、高級感が出てきたと思います。


Emit 10:サイズを感じさせないエネルギーと瞬発力

ベーシックな「Emit」シリーズの中でも、最もコンパクトな2ウェイ・ブックシェルフ型。

A4サイズよりさらに小さく収めたフットプリントは、メイン・スピーカーにもまたホームシアターのサテライトにも好適。機動性に富んだスタイルで使い方を選びません。

トゥイーターは上級機「Evoke」直系の「Cerotar」、特殊コーティングを施した28mmファブリック・ドームの背後にインナードーム「Hexis」を装備し、マグネットはフェライト+として平坦なレスポンスと強靭な瞬発力を確保しています。

また、ウーファーは14cmMSPコーンを搭載、フェライト+のデュアル・マグネット磁気回路で銅クラッド・アルミ線のボイスコイルを駆動し、強力で滑らかな動作を実現。

さらに、ネットワークにはトゥイーター側を1次、ウーファー側を2次としたハイブリッド構成を採用し、各ユニットの特性を最適化することでつながりを密接なものとしています。

キャビネットにはデュアルフレア型バスレフポートを装着し、乱流を抑えて不快な摩擦音を一掃しました。仕上げはサテンホワイト、サテンブラック、新たにウォールナットも用意。


Emit 20:ブックシェルフ・タイプのニュースタンダード【 超オススメです!! 】

長くDYNAUDIOの定番となってきた、ソフトドーム・トゥイーターと18cmウーファーによるブックシェルフ型。

トゥイーターはフェライト+・マグネットを搭載した「Cerotar」。ファブリック・ドームにはDSR(DYNAUDIO・シークレット・レシピ)コーティングを施し、背後にインナードームHexisを装備。また、リアチェンバーにはエアフローを高めた新形状の設計を施し、背圧を最適化してレスポンスの平坦化を実現。

ウーファーは伝統のMSPコーン。ダストキャップを一体化して剛性を高め、フェライト+のデュアル・マグネットによる磁気回路で強力に駆動。ボイスコイルはグラスファイバーをボビンとした銅コーティング・アルミ線。軽量なアルミ線の導電性を高め、反応の速さをいっそう確かなものとしました。

クロスオーバーネットワークはトゥイーターを1次、ウーファーを2次としたハブリッド型の新構成。キャビネットにはデュアルフレア・バスレフダクトを装備し、静寂で滑らかな低域特性を約束。仕上げはサテンホサイト、サテンブラック、ウォールナットの3色を用意。

全てに余裕を持たせた設計が、耐入力や能率などの性能を拡張し、ニュートラルで整然とした無理のない再現性を実現しています。


Emit 30:スリムなシルエット、炸裂するダイナミズム

Emit 20と同じ極小サイズに収めたスレンダーそのもののフロア型です。

トゥイーターの「Cerotar」はシリーズ共通の28mmファブリック・ドーム。インナードーム「Hexis」を直近の背後に装備し、背圧を制御してレスポンスを平坦に保ちます。

また、エアフローを精密に考慮したリアチェンバーとフェライト+・マグネットの磁気回路によって、20KHz以上までブレイクアップのない高域特性を獲得しました。さらに、再生下限周波数も700Hzにまで引き下げ、クロスオーバーの設計に幅広い自由度を加えています。

ウーファーには14cmのダストキャップ一体型MSPコーンを2基装備。フェライト+のデュアルマグネット・システムが磁束の集中を確保し、銅クラッドアルミ・ボイスコイルに適確な制動を施してシャープで強靭な再現力を引き出しています。

ユニット構成はスタガーの2.5ウェイ。片方のユニットを11000Hzで減衰させ、低域の量感と明瞭な中・高域のバランスを最適に維持。

また、ネットワークはトゥイーターを1次、ウーファーを2次としたハイブリッド型。デュアルフレア・バスレフダクトは背面に2基搭載して、ロールオフをより明確なものとしました。


Emit 50:周到な設計が支える鮮やかな余裕

Emit 50は、このシリーズで初めて加わった、唯一の3ウェイ・フロア型です。

シリーズ共通のトゥイーターは、特殊コーティングを施した28mmファブリック・ドームの「Cerotar」。

ミッドレンジは専用に開発された15cmMSPコーン、磁気回路はフェライト+のデュアル・マグネットとし、高密度な磁界にアルミのショート・ボイスコイルを配置。

そして、パラレル駆動の18cmダブルウーファーも、このモデルだけの特別仕様、540Hz以下という再生帯域を考慮してボイスコイルをアルミではなく銅線とし、低域再生に必要な重量を加えて上位モデルにも引けをとらないレスポンスの深さを獲得。

クロスオーバーもトゥイーターを1次、ミッドレンジを2次、さらにウーファーは4次とした独創的な構成。2基のデュアルフレア・バスレフポートを備えたキャビネットには入念なブレーシングを施し、万全の態勢を整えました。

緻密な解像力と艶やかさが、豊かなスケールと見事に共存しています。


Emit 25C:伸びやかな空間表現の要となるセンター・モデル

ホームシアターやマルチチャンネルに欠かせないセンター・スピーカーは、もちろん「Emit」シリーズでも重要な位置を占めています。

14cmウーファー2基を搭載した2.5ウェイ・スタガー構成は、フロア型「Emit 30」と全く同一。ウーファーの片方を1000Hzで減衰させ、コンパクトなサイズながら量感に富んだ明快な低音とハイスピードな中・高域を無理なく接続します。

キャビネット背面にはデュアルフレア・バスレフダクトを装備。低音の切れをいっそう確かなものとしました。

トゥイーターにはセラミック・タイプのフェライト+・マグネットを搭載。

特殊コーティングを施した28mmファブリック・・ドームとインナードーム「Hexis]のコンビネーションが滑らかなレスポンスを実現し、明確な定位とサービスエリアの広さがリアルな音場再現を引き立てます。


「Emit 20」を聴いて

一言でいえば、かなりの確率で上位モデル「Evoke」に迫るサウンドに仕上がっています。

深い陰影感、音場の浸透感、正確で高い解像度ながら、清涼感すら感じさせる、まったく煩さを感じさせない完成度の高いサウンドを聴かせてくれます。女性ボーカルの艶やかさや、情熱感をなんのストレスも感じさせずに見事に再現してくれます。

「Audience」から「DM」「初代Emit」シリーズと進化してきたエントリーシリーズですが、ここにきて一気に進化を加速させたと感じます。

特に素晴らしいのは鳴らし易さが大幅に向上している点で、組合わせるアンプや、音楽ジャンルを選ぶ傾向が更に少なくなり、より広いユーザー様にお勧めできる製品となっています。

DYNAUDIOスピーカーの真骨頂をエントリーモデルから感じることのできる抜群のコストパフォーマンスのモデルとして、お勧めいたします。





今回ご紹介した機種