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[ 2016年 10月 11日付 ]

真空管とMade in Japanにこだわった自信作 エアータイト創業30周年記念モデル『ATM-300 Anniversary』

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、エイ・アンド・エム(株)《ブランド:エアータイト》が、創業30周年を記念して発表した『ATM-300 Anniversary(限定モデル)』をご紹介します。先日開催された「東京インターナショナルオーディオショウ」で現物を見て、じっくり試聴も出来ましたので、レポートして参ります。


真空管の可能性に挑戦し続けてきたエアータイトのこだわりとは!?


エイ・アンド・エム(株)は、数多い管球アンプ専業メーカーの中にあって、国内生産にこだわり続け、会社組織で一貫生産する国内唯一のメーカーでもあります。会社、工場は大阪府高槻市にあり、熟練した人達の手配線にこだわった理想的なハンドメイドによる丁寧な製品造りに徹しています。

1986年(昭和61年)に誕生したエイ・アンド・エム(株)は、今年で創業30周年を迎え、同社のHPでは次のようにあります。(私も同社の考え方には全く同感です。)

『何故、デジタル全盛の時代に、真空管を使用した「こだわりのオーディオ機器」を開発するのでしょうか?約半世紀前より、時流は真空管からトランジスターへと移行しました。それは真空管の性能が劣っているからと言う事ではなく、大量生産、コスト低減等、単に近代工業生産のシステムに合わなかった事にあります。

量産化され商業ベースに流され、本来の夢を見失ったオーディオ業界。その中で1986年以来、レコード再生はもちろん、CDをはじめとしたデジタル音源が主流となった現在にあっても、“真空管アンプこそ、最高の音楽表現が実現できる”というポリシーに徹し、本当に音楽を楽しみ、使い込むことにより喜びを感じられるような製品創りを目指して来たのです。』

真空管からイメージされる【ノスタルジックなサウンド】から決別し、真空管の可能性に挑戦し続けてきたのがエアータイトです。それは、創業以来全くぶれる事のないポリシーに基づき、製品開発を続けてきた結果、日本国内のみならず、すでに海外30ヶ国に進出し、ドイツ、フランス、イギリス、スペイン、香港等でも高い評価を受けています。

その洗練されたデザイン、安心感のある回路で、世界のオーディオファイルの感性を満足させて来ました。同社のアンプのボディカラーであるシルバー・グレーは、海外では“Air Tight Blue”と呼ばれ、その音質はもちろん、デザインでも多くのファンを魅了し続けて来たのです。従来から、日本のオーディオ製品のデザインが海外で評価されることが少ないこの業界にあって、希有なメーカーとも言えます。

広大なサウンドステージを生み出す『ATM-300 Anniversary』

『ATM-300 Anniversary』は、登場からすでに15年を迎えた同社の代表的な直熱三極管「300B」を使ったシングル・ステレオパワーアンプ『ATM-300』に、日本が誇る高槻電器工業の『TA-300B』を採用できたことで、その潜在能力を最大限生かすため、全てにメスを入れたといいます。

本機は、贅沢な高音質パーツをふんだんに採用していますが、安直にパーツだけを入れ替えたのではなく、回路構成からメインシャーシや機構部品までをも新造しています。

また、世の多くの[300B シングルアンプ]≒[ノン- ネガティブフィードバックアンプ(non-negative feedback)]という図式が広く流布されている中にあって、敢えて帰還(フィードバック)回路を選択しています。

通常、多くの帰還アンプが採用しているOPT(アウトプットトランス)の2次側からのフィードバックではなく、1 次側からフィードバックを掛けることにこだわったと言います。

その理由は、1 次側からのフィードバック(帰還ループに出力トランスが入らない)は、2 次側からのフィードバックよりも残留ノイズや歪率の点で不利ではありますが、あくまで音、音楽の出方、エネルギー感、勢いの面で、物理的に不利なトランスの1次側のフィードバックを採用する事に踏み切ったのだそうです。この当たりにも本機に対するエアータイトの思い入れが、並々ならぬことを感じます。

また、『ATM-300 Anniversary』では、シャーシに同社としては初めてスタットボルトを全面的に採用し、アンプ表面にネジの頭が露出しない実に洗練された外観となっています。このスタットボルトは最適なグランドラインを保証するという側面も持ち合わせています。内部はもちろん、音質を重視して基板を一切使わず、実に美しく手配線されています。

現時点での同社のノウハウやアイデアをすべて投入して、30周年記念の限定モデルに相応しい内容としているのです。『ATM-300 Anniversary』は、真摯に音楽を楽しむ道具として、敢えて時間的制約や予算という枠を設ける事なく開発が進められたのです。結果は、300Bに対する先入観を打ち破る、“広大なサウンドステージと迫真のリアリティを生み出すことに成功した”とのことです。

試聴しました。


東京インターナショナルオーディオショウのエアータイトのブースの模様。
奥が『ATM-300 Anniversary』、手前が来年1月CESで発表予定の211を使った超弩級モノラルパワーアンプの試作機

さて、東京インターナショナルオーディオショウのエアータイトのブースでの『ATM-300 Anniversary』の試聴は、同社の人気小型スピーカー「AL-05(盆栽)」を使用し、ソースはアナログレコードで行いました。

そのサウンドは、とても10cmフルレンジとは感じさせない朗々としたもので、フルレンジならではの空気感や繊細感はもちろん、低域の厚みや力強さも大型フロア型とは行かないまでも、通常のブックシェルフ並のスケールがあるのには少々驚かされました。

さらにボーカルは圧巻で、柔らかさは生身の人肌を感じさせ、まさに肉声そのものでした。一方ジャズでも、到底9W+9Wとは思えない迫真のサウンドを実に生々しく再現したのでした。まだまだ大きなスピーカーを使えば、もっと音圧感も味わえ、オーケストラも十分ダイナミックに広大なサウンドステージを再現できるであろうと確信しました。

『ATM-300 Anniversary』は、真空管アンプに惚れ込んだオーディオファイルはもちろん、最高の音楽を、最高のサウンドで楽しみたいとおっしゃる耳の肥えた音楽愛好家にこそ使って頂きたい、“Made in Japanの至高の300Bの限定モデル”です。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)



エアータイト「ATM-300 Anniversary」はこちら

※ご紹介した製品は販売を終了いたしました。
こちらは2018年発売の別モデルとなります。

  • エアータイト|真空管ステレオ・シングル・パワーアンプ|ATM-300R
    「ATM-300 Anniversary」における刷新を経て、あらゆる300Bを存分に堪能していただける、恒久的なリファレンスモデルとして「ATM-300R」が誕生しました。
    ◆最後の三極管シングルアンプとして、エアータイトが自信を持ってお届けする、300Bシングルアンプの決定版
    ◆オーディオ愛好家を虜にする稀代の銘球、直熱三極管300B。300Bの魅力を十分に堪能いただくためのリファレンスモデルとして開発
    ◆音楽本来の音の色付けを排し、音楽を生き生きと再生するために、全てにおいて手間を惜しまず細部まで丁寧に作りこみました


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