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[ 2016年 10月 25日付 ]

こんなオーディオが欲しかった! ユニークなオーディオシステムKRIPTON『 KS-9Multi 』

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、ヘッドホンマニアの方にこそ使っていただきたい、充実の機能と高音質のオールインワン・ハイレゾデジタル・オーディオシステム、KRIPTON『 KS-9Multi 』を自信をもってご紹介します!
こんなオーディオが欲しかった!と思えるような、ヘッドホンでは絶対に味わえない素晴らしい音の世界が体感出来ます。


ヘッドホンマニアにおすすめのユニークなオーディオシステムが登場!


ヘッドホンの大ブームが、いまだ続いています。テレビでヘッドホン特集があった夜、おかげさまでJoshin webには評価の高かったヘッドホンの注文が殺到しました。その状況はおよそ1週間ほど続き、完全に品切れ状態となってしまいました。

これ程のお客様の反応が、我がピュアオーディオでもあったらなぁ…とつくづく思います。かつてのCDプレーヤーの発売当時(1982年)のように…。

さて、気を取り直して、そんなヘッドホンマニアの方にこそ使っていただきたいユニークなオーディオシステムが先日発売されました。試作品は9月中旬に、日本橋1ばん館で試聴済みです。そのユニークさ、革新的なフィーチャー、さらに音質について、今回レポートいたします。

スピーカーリスニングの魅力を語る!

私がなぜヘッドホンを仇のように毛嫌いするのか、まずはその当たりから説明してまいります。かつて私も若かりし頃は、オーディオテクニカのヘッドホン第一作目の「ATH-1」をはじめ、スタックスのイヤースピーカー各種、ゼンハイザーの銘機「HD-414」「HD-580」を所有した経緯があります。

しかしこれらは、オープンデッキやカセットデッキでのエアチェックの際のモニターに供していたもので、スピーカーの代わりにしたことは一度もありません。

その理由こそ、ヘッドホンでは避けられない「頭内定位」であり「頭上定位」です。本来、眼前から出ているはずの音が、頭の中やてっぺんから聞こえるのですから、こんな不自然なことはありません。

ただ、今のヘッドホンブームの仕掛け人ご本人が、おそらく最初からヘッドホンリスニングからのスタートで、スピーカーリスニングをほとんど経験されていないので、それが当たり前と考えていらっしゃるのだと推察します。

しかし、ヘッドホンが耳の鼓膜しか振動させないのに対して、スピーカーリスニングの魅力は、部屋の空気を振動させ、鼓膜を含め身体全体を振動させることで、現実のコンサート会場やスタジオでのサウンドの再現が可能と言うことです。これは、こと音楽鑑賞においては根本的な、まったく相容れない違いだと私は思います。

確かに、ヘッドホンは夜間や音の出せない環境でお使いになるのは便利ですし、野外でのリスニングには必需です。もちろん私も、通勤電車内ではイヤホンを使っていますし、ヘッドホン・イヤホンの使用を全面否定するつもりは毛頭ありません。

ただ、お部屋のスペースや環境が許すなら、やっぱりスピーカーリスニングをメインと考えていただきたいのです。ぜひとも、お部屋の空気を振動させていただきたいのです。

そんなヘッドホンリスナーにこそお使いいただきたいオーディオシステム(アクティブスピーカー)が、KRIPTONの新製品『KS-9Multi』です。

ヘッドホンリスナーにこそお使いいただきたい、KRIPTON『 KS-9Multi 』とは?

『 KS-9Multi 』は、同社の人気アクティブスピーカー「KS-7HQM」の大幅なグレードアップ版です。2012年に、アンプ一体型スピーカー+USB入力というスタイルをいち早く「KS-3HQM」で提案したのが、KRIPTONでした。

その「KS-3HQM」を超高域60kHzまで再生するツィーターを加え、2ウェイ化。さらに、フルデジタルアンプでバイアンプ駆動にして、2014年に発売されたのが「KS-7HQM」です。このコンセプトの賛同者も多く、20万円を超える価格にも関わらず、異例なほどのヒット作となったのです。

そのKRIPTON「KS-HQM」シリーズのトップエンドモデルが今回ご紹介する『 KS-9Multi 』です。ベーシックな部分は「KS-7HQM」から継承していますが、「KS-7HQM」では192kHz/24bitの音源までの対応だったのに対し、「DSD:2.8MHz(DoP)」に対応したのに加え、今一部のオーディオメディアや最先端を自認するオーディオファイルが注目する最新配信フォーマット「MQA」に対応した世界初のスピーカーシステムなのです。

これら最新のハイレゾ・マルチメディア(MQA、リニアPCM、DSD)に対応したことで、型番の後ろに「Multi」が付いたのです。

『 KS-9Multi 』に内蔵されたデジタルオーディオ回路は、最新(従来の2倍の容量)のXMOS(※1)によるDDC(D/Dコンバーター)、FPGA(※2)によるDSP、さらにデジタル・クロスオーバー・ネットワークによるフルデジタルバイアンプ駆動を行い、コンパクトな筐体ながら総合160W(40W×4)を叩き出します。バイアンプとすることで、2ウェイの高域と低域の互いの干渉を防ぎ、極めて歪みの少ない高音質を実現出来たのです。
(※1:プログミングによって回路変更できる基板、※2:設計者が構成を設定できる集積回路)

スピーカーユニットには、超高域60kHzが再生可能な30mmリングダイヤフラム・ツイーターと84mmウーファーを採用。エンクロージャーはラウンドフォルムの8mm厚のオールアルミ製、さらにフォールデッド(折り返し)ダクトによるチューンドバスレフ方式の採用で、小型とは思えない豊かな低域再生が実現したのです。

また、設置条件によって生じるミラー効果(低音増加)を防ぐため、付属リモコンで低音調整が可能なことに加え、スピーカーベースとネオフェードカーボンマトリックス3層材によるインシュレーターを採用することで、安定感のある中低域を実現できたといいます。

スピーカーグリルには、音の透過性が良く高級感のある西陣絹織を採用し、おしゃれにもなっています。付属のUSBケーブルも「特許取得デュアル構造」のKRIPTON「UC-HPR1.0」が奢られています。入力端子は、デジタルはUSB/光/HDMI、アナログはステレオミニと豊富に用意されています。

『 KS-9Multi 』は、これらあらゆるチャレンジにより総合力を高めたことで、小型アクティブ・スピーカーシステムとしては限界とも感じる進化を遂げたのです。

試聴しました。

この『 KS-9Multi 』の設計者である渡邉勝氏(※3)自らが日本橋1ばん館に来館され、製品説明のあと、パソコンの各種音源による試聴を行いました。
(※3:渡邉氏は、かつて日本ビクター在籍中に「SX-3」をはじめ数々の銘機を世に送り出した、私が尊敬する日本を代表するスピーカー技術者です。)

その前に、「MQA」について少し説明しておきます。「MQA(Master Quality Authenticated)」は、英国メリディアンが提唱した新しいオーディオ配信方法です。神経工学に基づいた音質改善と、ロスレスでありながら既存技術よりもデータ圧縮率を大幅に高めて、ダウンロードやコピーを高速化するとともに、「音楽の折り紙」という方法で容量の節約など使い勝手を向上させたものです。

これにより従来のPCM録音では避けて通れなかった時間軸の悪化によって、本来の信号の前後に発生する「リンギング(響き)」を10分の1に抑えたと言います。

試聴は、まずKRIPTONが配信しているPCM:192kHz/24bitとDSDから始めました。試聴室が大きすぎるため、2mの視近距離でニアフィールド・リスニングを行いました。

通常の小型ブックシェルスピーカー並の音圧が得られ、6畳程度の普通のお部屋ならこれで十分と感じました。PCMからDSDへの切り替えもまったくノイズのないスムーズなもので、安定感も抜群でした。PCMではエッジの効いた明快なサウンド、DSDでは粒子の細かな爽やかなサウンドが得られ、それぞれの特徴をはっきりと再現できていました。

次に、「MQA」でエンコードされたKRIPTONのオリジナルソフトを聴かせていただいたのですが、「これがロスレス?」とにわかには信じられない音質で、ちょうど先程のPCMとDSDの中間的なサウンドでした。

というのも、PCMであるにも関わらず、ある種いつも感じる「にじみ」「ボケ」が感じられないのです。DSDのように実に素直でクリアなサウンドなのです。しかし解像度は維持できており、まさにいいとこ取りのサウンドでした。

確かに「MQA」は、まだこれからのフォーマットですが、すでにこのコーナーで紹介済みの、米国マイテックのD/Aコンバーター「BROOKLYN DAC」にも採用されており、今後のHiResストーリミング配信の主流のフォーマットになる可能性が高いと思います。

ヘッドホンマニアをはじめ、こんなオーディオが欲しかったとお考えの方も多いと思います。てんこ盛り機能で高音質のオールインワン・ハイレゾデジタル・オーディオシステム KRIPTON『 KS-9Multi 』をハイエンド担当の私が自信を持ってお勧めします。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)



オールインワン・ハイレゾデジタル・オーディオシステム KRIPTON『 KS-9Multi 』はこちら

※ご紹介した製品は販売を終了いたしました。
こちらは2018年発売の「KS-9MULTI+」となります。