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[ 2017年5月30日付 ]

本物のアナログ・ブームよ来たれ!老舗プレーヤーブランド「トーレンス」と定番LPレコード「プロプリウス」の魅力に迫る!!

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、アナログに挑戦したいが、敷居が高いと感じていらっしゃるオーディオファンの方にもおすすめの製品をご紹介!134年の歴史を持つ、世界最古参メーカー「トーレンス」のプレーヤーと定番中の定番のLPレコード「プロプリウス」の魅力に迫ります。




THORENS「TD158」

アナログブーム終焉の理由

ここ数年、巷ではアナログブームと言われ、LPレコードの生産が久々に増加したとか、テクニクスがDD(ダイレクトドライブ)プレーヤーに再参入したとか、さらには新聞記事やテレビを始めとしたマスコミに取り上げられる機会が多くなり、一般の人々の間でも大きな話題となりました。

その結果、LPレコード自体を全くご存知ない若いデジタル世代を中心に、入門クラスのUSB出力付きのレコードプレーヤーが大ヒットしたことは記憶に新しい所です。

しかし、ここに来て急速にそのアナログブームの熱が冷め、一挙にブーム前の状況に戻ってしまった感があります。その原因として考えられるのは、入門機のオーディオ的な完成度の低さ、LPソフトタイトルの絶対数の不足です。

また、ご家庭でのリスニング環境やプレーヤー操作の難しさなど、本格的なアナログリスニングでの敷居の高さなどが影響して、その素晴らしさが、若い音楽ファンや、もう一度アナログ世代の中高年層に十分浸透しなかったのだと思います。

しかし、そんな中でも、オンキヨーやティアックなどの最近発売された製品を購入され、それら新世代のプレーヤーで本格的なアナログ再生に取り組まれた方もいらっしゃいます。

また過去に使われていたアナログプレーヤーを引っ張り出してカートリッジを新しくされたり、さらには過去に使われていたMMカートリッジの銘機を、JICOの交換針(オリジナルの交換針は製造中止のため)で復活させて、アナログを再度始められたオーディオファンの方もかなりの数にのぼると思います。

さらに、ラックスマンや海外製のアコースティックソリッドやドクトル・ファイキャルトなどのハイエンド機で超本格的なアナログに再チャレンジされているオーディオファンも確かにいらっしゃいます。しかし、これらはアナログファンの誰もが取り組める製品でないのも事実です。

そんな、予算もあることなのでハイエンド機にはちょっと手が届かないが、一度は海外製のベルトドライブのプレーヤーを使ってみたいと思われているオーディオファンにお勧めしたいのが、老舗プレーヤーブランド「トーレンス(THORENS)」の製品です。

世界最古参メーカー!トーレンス(THORENS)とは?

トーレンスは、1883年スイスのジュラ山中サント・クロアに誕生したと言いますから、すでに1世紀以上、134年の歴史を持つ、世界中のオーディオメーカーの中での最古参メーカーです。

因みにラックスマンが1925年、タンノイが1926年創業ですから、さらに40年も遡ることになります。現在は、スイスのバーゼルに本社があり、製品はドイツで製造されています。

創始者のヘルマン・トーレンスの最初の作品はオルゴールでした。それは厳冬のスイスならではの屋内で可能な家内制手工業が始まりで、時計などと同様、スイス特有の土地柄が起源となっているのです。

特にオルゴールは、その精密さと熟練した音階調整が再生を大きく左右する、高精度が要求される製品です。その「精密さ」や「音階の正確さ」こそ1世紀以上にも亘り受け継がれてきたレコードプレーヤー製造の長い歴史を支えてきたのです。

そしてオルゴール製造で培われたもう一つの技術こそ、トーレンスのプレーヤー再生で感じるあの「響きの良さ」なのだと思います。

トーレンスは意外にも、1929年にダイレクトドライブ方式の特許を取得したのですが、それ以降も現在に至るまで、ベルトドライブシステムの改良を重ねてきています。

以下にご紹介します現行のプレーヤーも、伝統のベルトドライブとフローティング技術を継承し、これらを最大限生かすことで、高音質かつ安定した製品を供給し続けています。

1957年発売のアイドラー型ターンテーブル「TD124」の高評価でその地位を固め、65年発売の二重構造のターンテーブルとフローティングサスペンションを搭載したベルトドライブプレーヤー「TD150」が大人気を博したのでした。

その後、日本でもノアが本格的に輸入を開始し、「TD125」「TD320」「TD520」などがヒットし、マニア垂涎の的となった1980年発売の「Reference」、1983年発売の「Prestige」に至るのです。

「Reference」や「Prestige」は、ご存知の通り物量投入型の超弩級プレーヤーでしたが、トーレンス本来の考え方は、正確なレコード回転と音溝からの忠実な信号の読み取りを、いかにシンプルかつスマートなプレーヤーで実現するかというものだったのです。

それらは、現行のトーレンス製品のラインナップでも踏襲されており、極端な大型や重量級の製品は存在しません。あくまでもレコードを聴くことだけを目標にしており、余計な機能や奇をてらったデザインは採用されていません。シンプル・イズ・ベストなのです。

また筆者が使っている1980年代製の「TD126」もそうですが、かつてのトーレンス製品にはターンテーブル全体を筐体からフローティングする機構が採用されていましたが、現行製品では一部でプラッター部分を僅かにフローティングさせている程度で、リジッドベースの製品が大半となっており、インシュレーターや筐体構造で同程度の効果を得ているようです。

トーレンスのレコードプレーヤーのラインナップには、8万円台の「TD158」、10万円台の「TD-190-2」「TD-240-2」、20万円台の「TD295MK4」「TD206」「TD209」と輸入品としては比較的リーズナブルです。それ以上の機種としては「TD309」「TD350」「TD550(非掲載)」があります。

確かにトーレンスの低価格のプレーヤーは、国産の同価格帯のプレーヤーに比べ、見た目が貧弱で華奢に見えるかも知れません。

しかし、実際に出てくる音は、前述のオルゴール製造で培われた「音階の正確さ」や「響きの良さ」など熟練の技が生きており、国産プレーヤー、ましてやデジタルでは遙か遠く及ばない「音楽性の豊かさ」「音楽の楽しさ」「生きたサウンド」を感じさせてくれるのです。

そこにはスペックではない、「人間の感性」「音楽への造詣の深さ」を感じざるを得ません。今からアナログに取り組もうとされている方はもちろん、もう一度アナログへの再チャレンジをお考えの方にも、迷うことなくトーレンスのプレーヤーをお勧めします。

取り扱い開始!プロプリウス アナログLPレコード
さらに今回、新規に取り扱いを開始しましたスウェーデンのProprius(プロプリウス)レーベルのアナログLPレコードもご紹介いたします。

プロプリウスと言えば『カンターテ・ドミノ』がすぐ頭に浮かんでくるオーディオファンが多いと思います。各オーディオショーや試聴会で必ずかかる定番中の定番のレコードです。

今回数多くあるタイトルの中から、オーディオルートで発売されることになった6タイトルをJoshin-webのハイエンドオーディオ部門で取り扱いいたします。

プロプリウスは1969年に創設されました。「小規模のレコード会社には、質の悪いディスクを作る余裕はない」という創業者の言葉通り、良質の演奏と自然な音質の録音には定評があります。

スウェーデン各地の教会の由緒あるオルガンを弾いた録音では楽器と空間の響きがうまくとらえられ、豊かな臨場感が味わえます。

『カンターテ・ドミノ(Cantate Domino)』−世界のクリスマス音楽−
1976年にストックホルムの教会で収録されたヨーロピアン・クリスマスの名盤です。

かつてオーディオ評論家の故 長岡鉄男氏に絶賛され、オーディオ・マニア必携のLPとして、オーディオ・チェックやオーディオ・セミナーのデモ用として盛んに使われてきた音源です。究極のアナログ録音としてマニアに重宝がられ、40年近くを経た今も第一級の高音質です。

『アンティフォン・ブルース(Antiphone Blues)』− アルネ・ドムネラス−
教会オルガンとサックスのユニークなコラボ演奏です。内容はクラシックの名曲からスピリチュアルミュージックまでと興味深い内容です。マイクはオフ気味にセッティングされており、壮大なパイプオルガンの響きとサックスの鳴きが絶妙のバランスで収録された名盤です。

アナログはデジタルには絶対に超えられない魅力があります。「本物のアナログ・ブームよ来たれ!」と心から願います。 今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)



「トーレンス」プレーヤーと定番レコード「プロプリウス」

※ご紹介した製品は販売を終了いたしました。