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[ 2017年6月6日付 ]

重厚長大アンプの呪縛から開放!“ICE power”使用で高音質&小型化を実現!TEAC『AI-503』

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、「アンプは重厚長大であるべし」という既成概念を変えるべく登場したTEAC『AI-503』をご紹介!“ICE power”を使うことで小型サイズながら、本格的なサウンドを実現しています!
時代の変化

オーディオ機器、中でもプリメインアンプは、《大きくて重い方が良い》と信じて疑わないオーディオファンの方は多いはずです。かく言う私も以前から、経験則としてそう信じていました。

しかし、デジタル化が進み、小型化が進んだ結果、果たして従来の考え方で良いのか、との疑問が最近頭をもたげてきているのもまた事実です。

一般的にオーディオコンポーネントの横幅は43cm前後と相場が決まっており、それをこの国のオーディオファン達はもちろん、業界人も「標準サイズ」と言ってきました。日本の住宅事情やスペースファクターを考えれば、果たして本当にこのサイズが必要なのでしょうか。

ニュースでもよく見掛けるように、最近のライフスタイルの傾向は“必要最小限のモノしか持たない”そして、“シンプル&スマートな生活”こそが現代流と評価される時代です。

必要なモノ以外は買わない、他人とシェアする、さらに全てのモノが携帯電話サイズが基準になってきていると思いませんか?

そんな折、小型USB-DACのヒット作を立て続けに発売してきたティアックが、人気の小型コンポーネンツ“Reference 503シリーズ”としてUSB-DAC搭載のプリメインアンプを新たに発売しました。同シリーズの中で、DAC以外で初めて(失礼)そのパフォーマンスで脚光を浴びつつある 『AI-503』をレポートします。

『AI-503』とは?

TEAC“503シリーズ”は、設置スペースはほぼA4サイズで、横幅29cmに収まります。このサイズの中に、同社の高級ブランドのESOTERICや業務用ブランドとして信頼性の高いTASCAMに使われた最新技術や高音質技術のノウハウをぎっしり詰め込んだと言います。

今回ご紹介します『AI-503』に搭載されているUSB対応DACは、DSDのネイティブ再生に対応しており、USB入力で最大DSD:11.2MHz、PCM:384kHz/32bitに対応、光及び同軸デジタル入力も192kHz/24bitに対応しており万全※です。(※私自身これ以上の数字競争は無意味と考えています。)

そして、同社のプレーヤーソフト「TEAC HR Audio Player」(無償)をお使いになれば、WindowsでもMacでもDSD:11.2Mzの音源再生が可能です。パソコン側で難しい設定を行うことがなく、パソコンが苦手な方にも簡単に使いこなしていただけます。

また、これも無償で提供されている波形編集ソフト「TEAC Hi-Res Editor」をお使いになれば、PCM音源をDSD:11.2Mzにファイル変換したり、長時間のライブ音源を複数トラックに分割するといったファイル編集も可能になる親切設計です。

本機のDAC部には、最近何かと話題に上ることの多い旭化成エレクトロニクスのDAC IC「VERITA AK4490(ESOTERICのSACD/CDプレーヤー「K-05X」にも使われています。)」が採用されています。しかもこのDACチップを本機ではL/Rにそれぞれ1基ずつモノラル使いするという贅沢なものです。

回路構成は、DAC以降もプリアンプ部までデュアルモノラル構成を貫いており、ボリュームコントロールを含めてフルバランス伝送方式としています。特にボリューム部には、独自回路「TEAC-QVCS」(バランスの正負及びL/R合計4回路の可変ゲインアンプ型ボリューム)が採用され、高い連動精度が達成できたと言います。これらはS/N感、音場感に大いに貢献しているとのことです。

そして、ESOTERICブランドを含めた同社のデジタルでのこだわりでもあるクロックについても、44.1kHzと48kHzの2系統の高精度クロックを内蔵し、あらゆるデジタル音源に万全を期しています。

パワーアンプには定評のある「ICE Power」社製のDクラスアンプが採用されています。「ICE Power」社はデンマークのB&O(バング&オルフセン)とのベンチャーで1999年に創業され、現在はB&Oの100%子会社とのことです。

同社のDクラスアンプはジェフ・ロゥランドなどのハイエンドアンプを始め、パイオニアのAVアンプなどにも幅広く使われ、すでに長年にわたり実績のあるアンプモジュールです。

「ICE Power」は、ローレベルでの再現性に優れ、高効率で電力利用効率が高い(発熱が少ない)アンプ性能と、アンプの特性を最大限に引き出すためのスイッチングアンプ技術により、従来のAB級アンプを凌ぐオーディオ性能を有するとも評価されています。電源部には大型トロイダルトランスを採用し、強力なドライブ力と安定性に貢献しています。

本機の筐体は制振性と高級感を両立させた本格仕様のフルメタル構造を採用し、高剛性はもちろん、電磁波ノイズ対策も万全です。またフロントパネルにはマニア好みのアナログメーターを2基装備し、メカニックなアイキャッチャーともなっており、高級感のあるデザインです。

デジタル入力には、USB、光/同軸以外に、ワイヤレス伝送のハイレゾ音源でもあるBluetoothレシーバー機能を搭載。アナログにはRCAとステレオミニ(3.5mm光・アナログ兼用)の2系統が装備されています。出力は、外部パワーアンプやアクティブサブウーファーとも接続可能なプリアウトも装備しており、マニアックな使いこなしも可能です。

そして、最近注目のヘッドホン用として独自のディスクリート構成の専用アンプ(プッシュプル回路とオペアンプはAB級動作だが、通常はほぼA級動作する)を搭載し、グラウンド分離型の3.5mm/4極プラグにも対応しており、高いチャンネルセパレーションを獲得できたといいます。

試聴しました。

サウンドは自宅リスニングルームのスピーカーで確認しました。過去、同社のUSB-DAC「UD-503」等の試聴の際すでにプレーヤーソフト「TEAC HR Audio Player」をインストールしていましたので、すぐに試聴可能でした。CDからのリッピング音源とFLACやDSDなどのデジタル音源で主にUSB入力で試聴しました。

まず第一印象は、非常に鮮度が高く、粒立ちの良い解像度の高いサウンドということです。情報量も非常に多く、左右はもちろん奥行き方向や高さ方向もリアルに再現し、音像定位もしっかりしていました。どちらかと言うとこれは、マニア好みのする少々温度感の低い辛口のサウンドとも言えます。

ただ「ICE Power」のお陰もあって、安っぽい硬さや面白味のない無機的なサウンドではまったくありません。そこは、「ICE Power」の特徴でもあるダイナミックレンジの余裕はもちろんS/Nが良く、余韻が綺麗で、左右のスピーカーの外側まで広がる音場や艶のある響きによる空間表現は秀逸でした。

また本機にはPCM用に4種類のデジタルフィルターの切替え機能(OFFもある)と、DSD再生用でも2種類のフィルターのの切替えも可能で、ソフトの種類やサウンドの好みによって選択できます。

ただこれらは、トーンコントロールの代替えという考え方がある一方、どれがベストのフィルター※なのかとの迷いにも通じてしまいます。(※私自身、前述したサウンドが最も顕著に再現される「FIR Sharp Roll-off」のポジションがお勧めです。)

最後に。
このように『AI-503』は、その大きさからは想像できないくらい本格的なサウンドを実現しており、リスニングスペースに制限のある方や、マニアのサブシステムとしての使用にも最適だと思います。

そろそろ「アンプは重厚長大であるべし」との呪縛と決別しませんか。「ICE Power」が高音質と小型化を同時に実現した『AI-503』をお勧めします。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)



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