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[ 2017年11月14日付 ]

KRIPTONが満を持して放つコンパクトスピーカー『 KX-0.5 』〜思い切った小型化を実現!まさに"コンパクトな高級機"〜

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、手頃なプライスで本格的なハイレゾ再生に対応できる KRIPTONコンパクトスピーカー『 KX-0.5 』をご紹介!設計者の渡邉氏のこだわりが随所に生かされ、思い切った小型化を実現しています。
クリプトンで数々の傑作を輩出!渡邉 勝氏

クリプトンがスピーカーを作り初めて早12年。元ビクターで数々のスピーカーの名機を開発した渡邉 勝氏が理想とするスピーカーを、氏の明確な設計思想と蓄積されたノウハウの下、クリプトンでも数々の傑作を輩出しています。

2005年発売の「KX-3」から「KX-3M」「KX-3P」「KX-3PII」と続く"KX-3シリーズ"、2010年発売の「KX-5」から「KX-5P」に至る"KX-5シリーズ"、2014年の発売以来ベストセラーを続ける人気の「KX-1」、そして2009年発売のフラッグシップ「KX-1000P」。

これらは「KX-1000P」(スーパーウーファー搭載の2.5ウェイ4スピーカー)を除いていずれも、基本的には2ウェイ密閉型です。因みに、渡邉氏のビクター時代の第一作目が「SX-3」という2ウェイ密閉型でした。

これらのクリプトンのスピーカーの共通した仕様は、@クルトミューラーコーン・ウーハー、Aピュアシルクソフトドーム・ツィ−ター、B自然材の突き板鏡面仕上げエンクロージャー、Cかしめ方式の高品位デバイディングネットワーク、D天然ウール吸音材、そして「KX-1」を除いては、全てのユニットに希少金属であるアルニコ・マグネットが採用されています。

今回ご紹介します『 KX-0.5(POINT FIVE) 』は、そのクリプトンでの11作目となります。

手頃なプライスで本格的なハイレゾ再生に対応!

『 KX-0.5 』は、今や国産スピーカーの代表作ともなっている「KX-5」や、従来の同社のエントリーモデルに当たる「KX-1」の長所を引き継ぎながら、さらにオーディオビギナーの方でも使い易く、かつ手頃なプライスながら、本格的なハイレゾ再生(※)にも十分対応できるスピーカーを目指して開発されました。(※クリプトンはハイレゾブームの火付け役でもある提唱メーカーの一社)

しかしそこには、避けては通れない"価格の制約"という、大きな難関が待ちかまえていたのです。

本機は当然のことながら、渡邉氏お得意の2ウェイ密閉型で、ウーファーは過去最も小さい新設計の140mmCPP(カーボンポリプロピレン:軽くて高剛性)コーンを採用した上で、fo(低域共振周波数)は50Hzを確保しています。因みに、兄貴分の「KX-1」は、170mmクルトミューラーコーン(fo:35Hz)を採用していました。ポリプロピレンは元々小口径向きの振動板素材で、それにカーボンを加えることで剛性も確保できたとしています。

また、ウーファーのマグネットには、さすがにこのクラスではアルニコは使えず、「KX-1」同様フェライトマグネットにはなったのですが、そこはアルニコの魅力を知り尽くした渡邉氏の執念で、アルニコライクな音色を実現したと言います。それにはアルニコ的な特性を持たせた新たな磁気回路を採用することで、極めて歪みの少ないボケのないクリアな低音が再現できたとしています。

一方、ツイーターは35mmピュアシルク・リングダイヤフラム型に砲弾型のイコライザーを付けたタイプで、ハイレゾ音源に十分対応できる高域の伸張と、シルク振動板による透明度の高いサウンドを両立させています。

エンクロージャーはこのクラスとしては非常に高級感のあるもので、針葉樹系の高密度パーチクルボードの表面を、光沢のあるポリウレタン塗装を施したスモークユーカリの天然材による突き板で仕上げています。従ってそれぞれの固体によって木目や色目が若干違うという、高級機並の仕上げとなっています。これにより抜群のヌケの良さが実現したともしています。

ネットワークにも渡邉氏のこだわりが発揮され、抵抗値の低い直径1.2mmの空芯コイルと低損失メタライズド・フィルムコンデンサーを使い、もちろんハンダ付けは一切使わず、全てかしめ方式で結線しています。これによりクロスオーバー周波数3.5kHz、ウーファーのハイカットは6dB/octの緩やかなカーブ、ツィーターのローカットは比較的急峻な12dB/octを使い分けています。

吸音材にも天然ウールを使うというこだわりようです。ウールは化学繊維と違い、内部に空気層を持つため、音速の低下能力が高く、大型エンクロージャー並の低音が得られるとしています。

『 KX-0.5 』の設計では能率が一番の問題となったようです。やはり小口径14cmのウーファーでは限界があり、ツィーターとの能率差は明らかです。そこでウーファーの能率を上げるべく、ボイスコイルを断面が四角いエッジワイズのロングトラベル4層巻きにしたことで、円断面の通常ボイスコイルより能率がアップできたのです。

さらに低域を伸ばすためには振動板の前後のストロークを大きく取る(低音のエネルギーはウーファーが動かす空気量に比例する)必要があるのですが、本機が密閉型エンクロージャーであることから、エアサスペンション(背圧)を効かせることでき解決できたとしています。

このように『 KX-0.5 』には、設計者 渡邉氏のこだわりが随所に生かされています。そして使用条件に制約が少ない思い切った小型化の実現と、ハイレゾ音源にも対応した50kHzまでの再生周波数帯域を得て、現在の日本のオーディオ環境に完全にマッチしたパフォーマンスを実現できたのです。

試聴しました


早速、日本橋1ばん館で『 KX-0.5 』を試聴しました。

筆者の試聴メモには、驚きのコメントが多数残っていました。

そのメモには、まずはいきなり「これは傑作だ」から始まっています。試聴前に『 KX-0.5 』のスペックや寸法を調べた限りでは、正直さほど期待してなかったと言うのが本音です。

その後、試聴しながら書き綴ったコメントは以下の通りです。
・全帯域にわたって音離れが良く、ヌケが抜群に良い
・大きさから想像するより遙かにスケールが大きい
・立ち上がりが良く弾むようなサウンドで、鳴りっぷりが非常に良い
・ボーカルが実物大で口元が非常に小さい
・低域に詰まった所が全くなく、高域には想像以上の伸びがある
・リファレンスCDの「ink」の口笛が澄んでいる
・さすがに超低域は無理だが、量感は中型スピーカー並にあり不足感はない
・弦楽器が非常に艶やかで、"渡邉ビューティー"を感じる・・などなど

最後に
そして結論として、『 KX-0.5 』のサウンドは色彩感が鮮やかで、実に楽しいサウンドに仕上がっており、国産スピーカーが世界に通じる一流のサウンドをついに手にしたと感じたのでした。

思い切った小型化を実現した『 KX-0.5 』は、"コンパクトな高級機"とも言えるでしょう。

今後、同じく新製品のB&W「707S2」「706S2」と良きライバルになりそうです。

(あさやん)



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