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[ 2019年9月10日付 ]

 DENON次世代フラッグシップ『 SX1 LIMITED EDITION 』 満を持して登場!!

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
DENONのフラッグシップ、プリメインアンプ「PMA-SX1」とCD/SACDプレーヤー「DCD-SX1」が、5年ぶりにモデルチェンジします。いずれも型番に "Limited" を冠し、『 PMA-SX1 LIMITED 』『 DCD-SX1 LIMITED 』となり、満を持しての登場です。しかし、その開発の道のりは長く大変なもので、単なるマイナーチェンジとは明らかに一線を画するものです。


■ 4年もの歳月をかけてじっくりと開発された『 SX1 LIMITED EDITION 』

その原器といえる「Model X」の開発を始めたのが4年前だといいます。これは通常の数倍にもなる開発期間で、しかも「Model X」の更に原器である「PMA-SX1」「DCD-SX1」がすでに存在したにも関わらずです。

そもそも「Model X」は発売の予定がなく、同社の音の基準となるリファレンスアンプとして開発していたのですが、そのあまりの音の良さから「発売すべき」との声が社内から挙がったのだそうです。

通常の製品開発手法では、まず開発期間を設け、仕様やパーツコストなどを、競合他社を含めて、クラスで最良となるよう工夫しながら開発していきます。 しかし、今回の "Limited" は違いました。開発期間やパーツコストの制限を設けず、同社技術者の経験、技術、そして感性を注いでじっくり開発したのです。現に、前作から部品交換した箇所は、いずれも400箇所以上に上るのだといいます。

その400箇所も、部品を再吟味しただけでなく、必要な部品は新たに作り直したり、コンデンサーや抵抗などは、それぞれの音色は勿論、その組み合わせによる変化も吟味しつつカット&トライを繰り返したといいます。通常製品のように、ある段階での妥協は一切しなかったのだといいます。それが常識はずれの開発期間、4年もの歳月となったのです。

更に電気回路の見直しだけに留まらず、機構面は勿論、インシュレーターなどにもわたったのです。インシュレーターやトップパネルには両機とも、超々ジュラルミン "A7075" が採用されました。音の粒立ちや高域の見通し、スケール感の向上に貢献したとしています。
※A7075は、アルミに亜鉛とマグネシウムが添加された合金で、非常に硬度が高く、高級自転車のフレームや航空機のボディに使われています。

それでは『 SX1 LIMITED EDITION 』の2機種を詳しく見てまいりましょう。


■ プリメインアンプ『 PMA-SX1 LIMITED 』

前作の、もともとシンプルだった外観から、パネルのレタリングを少なくし、更にあっさりしたデザインとなっています。入力はアナログのみで、RCA:5系統、XLR:1系統(3番HOT/2番HOT切替)に加え、MM、MCのフォノ入力が1系統ずつ装備されています。更にホームシアターとのフロントSPの共用に便利な、EXT.PRE:1系統や、RCA出力:1系統を備えています。



内部中央下のプリアンプ部は、全ての主要なコンデンサーと、基板自体も前作から変更したといいます。中央上のパワーアンプ部は約80%のコンデンサーを、左奥のボリュームなどの制御基板は約50%、右奥の入力回路やフォノ回路部は約90%の主要なコンデンサーを変更したのだといいます。その数は実に37種に及ぶそうです。

それらのコンデンサーはその殆どがカスタムコンデンサーで、用いる素材の指定、スリーブの素材やその有無、加熱工程の温度指定、プレス工程の圧力などに、様々な経験とノウハウが注入されているといいます。このようにコンデンサーにこだわるのは、電解コンデンサーによって、空気感や色彩感の再現性に違いがあることを重視した結果だそうです。

また前作では動作の安定性を確保するため、保険的なニュアンスで使われていたパーツを、あえて音質には良くないとの考えで削減。更には音質向上のためとして使われていたものも、必要性を再吟味した上で10箇所ものパーツを削減したのだそうです。

回路的には前作から大きな変更はないとしています。それは裏を返せば、前作の完成度の高さだともいえます。全段バランス構成で、BTL接続することで高いスピーカードライブ力を得ています。この結果ドライブ電流がグラウンド回路に流れ込まず電位が安定するため、ノイズや回路間の干渉も低減され、正確に増幅されるのです。

そしてDENONアンプの最大のアドバンテージでもある "UHC-MOS" FETによるシングルプッシュプルのシンプルな構成も勿論継承しています。通常パワーアンプでは、多数の素子を並列駆動することで大出力を得ようとしていますが、DENONは「POA-S1(1996年)」の開発以来、1ペアの "UHC-MOS" という最小限の増幅素子とすることで「繊細さと力強さ」を両立できたのです。

勿論、名器「DL-103」を擁するDENONだけに、フォノイコライザーにも手抜かりはありません。MC/MMそれぞれ専用の入力端子を備え、「DL-103」などの中〜高インピーダンスと、オルトフォンを代表とする2〜10Ωの低インピーダンスのMCカートリッジに切替えで対応したMCヘッドアンプに、これも同社の「PRA-2000(1979年)」以来伝統のCR型イコライザーを搭載しています。イコライザー回路はPHONO入力時のみ電源が入る仕様です。


■ CD/SACDプレーヤー『 DCD-SX1 LIMITED 』

本機もアンプ同様、シンプルなデザインを追求。アナログ出力はRCAとXLRが各1系統。デジタル出力はRCA同軸とTOS光各1系統。デジタル入力はRCA同軸とTOS光各1系統。USB入力はUSB-BとUSB-Aが各1系統装備されています。



アンプの『 PMA-SX1 LIMITED 』同様、本機も4年もの開発期間を要しており、パーツを一から吟味し直し、カット&トライを繰り返し、結局変更したパーツ400超、37種のカスタムコンデンサーの大量投入に至ったのです。妥協を許さないその姿勢には感服します。

デジタル回路は、突き詰めれば突き詰める程、ドライブメカの機械振動により敏感になってしまう傾向があります。結果、独自設計の高精度メカ自体をよりリジットにしての低重心化や、メカを支えるアルミ砂型鋳造ベースにより振動を劇的に遮断できたことから、安定した読み取りが得られ、ピックアップ・サーボへの負担やエラー訂正などのデジタル回路への負荷が軽減できたのです。

DACチップは前作同様バーブラウンの32bit型 "PCM-1795" 。信号処理についても前作を継承して、 "アドバンスドAL32プロセッシング" により、本来のアナログ波形を理想的な補間処理で再現。更にD/Aコンバーターの直近にクロックモジュールを配置する "HDマスター・クロック・デザイン" を採用してD/A変換の精度を高めています。また最新の超低位相ノイズの水晶発振器を採用したことで、ジッターを10dBも低減できたとしています。

D/AコンバーターはL/R専用でフルバランス構成。信号ラインが最短になるミニマム・シグナル・パス。デジ/アナ専用アルミ砂型鋳物ベースの電源トランス。アンプでも採用している振動抑止構造 "ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクション" を本機も採用。電源トランスはもとよりディスク回転に伴う内部振動、スピーカーの音圧による外部からの振動にも対処。振動を効果的にグラウンドへ逃がす構造をとっています。

CDプレーヤーにとって今や必須となったUSB-DACも装備。DSDは5.6Mz、PCMは192kHz/24bitと、あえて欲張った設計は採らず、PCM入力時は "Advanced AL32 Processing" によりハイビット&ハイサンプリング化されます。

勿論クロックも、本機のクロックを使用するアシンクロナス転送としています。USB-BにはPCからの高周波ノイズをカットする高速デジタルアイソレーターを搭載しており、リアパネルにはUSBメモリ用のUSB-Aも装備してます。


■ 最後に

アンプ・プレーヤーともに外観には殆ど変化はないのですが、ここまで使用パーツを変更したことで、全く別モノといえる程の製品になっています。

裏を返せば前作でも十分完成度は高かったといえるのですが、そこに更に、新たに得られた技術的なノウハウを注入し、コンデンサーを中心に高性能・高音質パーツを大量投入することで、ここに単なるマイナーチェンジではない、全く新しい "LIMITED" が完成したのです。

そして何といっても "LIMITED" の魅力は、安心&安全の福島県白河の自社工場で、1台1台、心を込めて生産されているということです。
(あさやん)


〜 以下は、8月にD&M川崎本社で行われた新製品発表会に出席した弊社スタッフによる感想です 〜

『 PMA-SX1 LIMITED 』
一聴して感じた事は、 "鮮度の高い表現" です。DENONらしい、低域の量感豊かで懐の深いサウンドを楽しめました。音の鈍さは全く無く、生楽器を聴くような "張り" を感じさせるスピード感と、余韻が滑らかに消えていく、音離れの良さを両立していました。

『 DCD-SX1 LIMITED 』
一聴して感じるのが "明瞭度とスケール感の向上" でした。音の粒立ちが良く、繊細でありつつも一音毎の表現は力強い。DENONらしい量感豊かな低域表現に、音の明瞭度が加算される事で、全体的なスケール感の向上に繋がっていました。 特に音の奥行き感の向上は素晴らしく、演奏されているホールが変ったかのような広がりを見せました。

両モデルとも "NEシリーズ" を設計されたDENONサウンドマネージャー:山内氏の音作りらしい「Vivid & Spacious」 "生々しい演奏と空間模写" が表れています。

また、山内氏の目指す "いつまでも聴いていたい、音楽に没頭できるオーディオ" という、実に音楽的で、良い意味で国産離れした活き活きとしたサウンドをお楽しみいただけるでしょう。  (とうふ)




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