デイヴ・ホランドがホーン・レスで挑んだ最新アルバム凄腕ケヴィン・ユーバンクス（g）、クレイグ・テイボーン（key）、エリック・ハーランド（ds）と織りなす音のプリズム
ベーシストとしておよそ５０年に渡りジャズの世界で活躍するデイヴ・ホランド。マイルス・デイヴィス・バンドのメンバーとして参加した『In a Silent Way』（1969） 、『Bitches’ Brew』（1970）といった、エレクトリック・ジャズの革命的な作品といえるこの２作に参加したことで広く知られるきっかけとなったが、それ以外にもアンソニー・ブラクストン、スタン・ゲッツ、チック・コリア、ジョー・ヘンダーソン、セロニアス・モンク、パット・メセニー、ハービー・ハンコック・・・錚々たるミュージシャンとの共演、またリーダー作によるグラミー受賞で、常に第一線で活躍するベーシストだ。2005年からは自身のレーベルDare2を主宰していることでも知られる。約３年振りとなる今作では、これまでホーンをフィーチャーすることが多かった彼が、あまり共演したことのないキーボードと組んだことで新たなサウンドが実現されることとなった。メンバーの中で最も長い付き合いのあるケヴィン・ユーバンクスとは、80年代後半に数多くのプロジェクトで共演したが、そのギターに絶大な信頼を寄せるユーバンクスを久々に呼び寄せた。キーボードのクレイグ・テイボーンは、ピアノとフェンダー・ローズの両刀使いで技巧的でありながら情緒あふれる音を聴かせており、ドラムのエリック・ハーランドは洗練されていいながら表現豊かだ。アルバム・タイトル『プリズム』通り、個々のプレイヤーの特徴を最大限に引き出しながら自由にセッションし、それらが一つのエッジーな表現になっていることが今作のテーマだ。収録曲はそれぞれデイヴ・ホランドのみならず、他のメンバーによっても書かれている。「グルーヴィーでありながら前衛的。ここ最近のデイヴ・ホランド作品では最も直感的で、７０年代のマイルス・バンドを彷彿とさせる。」とジャズワイズ・マガジンは評しており、心地よい緊張感に満ちた最新作に仕上がった。