HANDEL MESSIAH 1741 First Version ★音楽現代 推薦盤/Stereo 今月の優秀録音盤/ハーモニー 特選CD
≪メサイア≫に偏ったヘンデル像を正す活動を行ってきたヘンデル・フェスティバル・ジャパン。
そのヘンデル・フェスティバル・ジャパンが、そもそも≪メサイア≫像そのものも歪められているのではと危惧し、あえて≪メサイア≫をリリースしたのがこのCDである。
使用した版は、「1741年初稿」。ヘンデル自身、「1741年初稿」を一度も演奏したことはなく、1742年のダブリンでの初演をはじめ、上演の度ごとに、主として歌手事情による改訂を繰り返したのだ。
しかし、このことは見方によっては、「1741年初稿」は作曲者自身によって上演の度ごとに「歪められていった」と捉えることもできるのではないだろうか。
≪メサイア≫は劇場娯楽作品であるという原点に立ち返り、管弦楽編成、調性設定、声種設定など、一貫性があり筋が通っている「1741年初稿」を選択し、「素顔の≪メサイア≫」を実現しようとしたのがこの貴重な録音である。
【演奏】
ヘンデル・フェスティバル・ジャパン HANDEL FESTIVAL JAPAN
…広瀬奈緒(ソプラノ) Nao Hirose soprano
…波多野睦美(アルト) Mutsumi Hatano alto
…辻裕久(テノール) Hirohisa Tsuji tenor
…牧野正人(バス) Masato Makino bass
キャノンズ・コンサート室内合唱団&管弦楽団(ピリオド楽器による)
Cannons Concert Chamber Choir & Orchestra
三澤寿喜(指揮)
Toshiki Misawa conductor
【録音】
東大和市民会館ハミングホール 2018年3月30−31日,4月1日
【収録内容】
G.F.ヘンデル:オラトリオ≪メサイア≫HWV 56 1741年初稿
▼DISC 1
第1部
[1] 1. シンフォニア(序曲)
[2] 2. 器楽伴奏付レチタティーヴォ(テノール)慰めよ、私の民を慰めよと
[3] 3. アリア(テノール)全ての谷は高く
[4] 4. 合唱 こうして主の栄光が現れ
[5] 5. 器楽伴奏付レチタティーヴォ(バス)万軍の主はこう言う
[6] 6. アリア(バス) だが彼の到来する日に誰が耐えられるだろうか?
[7] 7. 合唱 彼はレビの子孫を清める
[8] レチタティーヴォ(アルト) 見よ、乙女が身ごもり
[9] 8. アリア(アルト)と合唱 良い知らせをシオンに伝える者よ
[10] 9. 器楽伴奏付レチタティーヴォ(バス) 見よ、闇は地を覆い
[11] 10. アリア(バス) 暗闇を歩む人々は
[12] 11. 合唱 私達のために一人の嬰児(みどりご)が生まれた
[13] 12. ピファ(シンフォニア・パストラーレ)
[14] レチタティーヴォ(ソプラノ) その地に野宿する羊飼い達があり
[15] 13. 器楽伴奏付レチタティーヴォ(ソプラノ) すると見よ、主の御使いが下り
[16] レチタティーヴォ(ソプラノ) 御使いは彼らに言った
[17] 14. 器楽伴奏付レチタティーヴォ(ソプラノ) するとたちまち、天の大軍が
[18] 15. 合唱 いと高きところには神に栄光あれ
[19] 16. アリア(ソプラノ) 大いに喜べ、シオンの娘よ
[20] レチタティーヴォ(ソプラノ) その時、見えない人の目は見えるようになり
[21] 17. アリア(ソプラノ) 主は牧者のごとくその群れを養い
[22] 18. 合唱 主の軛は負いやすく
第2部
[23] 19. 合唱 見よ、世の罪を取り除く神の小羊を
[24] 20. アリア(アルト) 彼は蔑まれ、人々に見捨てられ
[25] 21. 合唱 たしかに彼は私達の痛みを負い
[26] 22. 合唱 彼の傷によって私達は癒された
[27] 23. 合唱 私達は皆、羊のように道をはずれ
▼DISC 2
[1] 24. 器楽伴奏付レチタティーヴォ(テノ−ル) 彼を見る者は皆、彼を嘲笑い
[2] 25. 合唱 彼は主が自分を救ってくれると信じていた
[3] 26. 器楽伴奏付レチタティーヴォ(テノール) 主の謗りが彼の心を打ち砕き
[4] 27. アリオ−ソ(テノール) 見よ、彼の悲しみにならぶ悲しみがあろうか
[5] 28. 器楽伴奏付レチタティーヴォ(テノール) 彼は命ある者の地から切り離された
[6] 29. アリア(テノール) だが、あなたは彼の魂を陰府に渡すことなく
[7] 30. 合唱 門よ、その頭をあげよ
[8] レチタティーヴォ(テノ−ル) 主はかつて誰か他の天使に言ったことがあろうか?
[9] 31. 合唱 天使達は皆、こぞって神を礼拝せよ
[10] 32. アリア(バス) あなたは高い所に登り
[11] 33. 合唱 主は御言葉を告げ
[12] 34. アリア(ソプラノ)なんと美しいことか、平和の福音を告げ、良い知らせを伝える者の足は
〔35番は1741年初稿には含まれない〕
[13] 36. アリア(バス) なぜ国々はともに怒り立ち
[14] 37. 合唱 枷を打ち砕き
[15] レチタティーヴォ(テノール) 天に住むお方は
[16] 38. アリア(テノール) あなたは鉄の杖で彼らを打ち砕き
[17] 39. 合唱 ハレルヤ
第3部
[18] 40. アリア(ソプラノ) 私は知っている、私を贖う方が生きておられ
[19] 41. 合唱 死がひとりの人によって来たのだから
[20] 42. 器楽伴奏付レチタティーヴォ(バス) 見よ、私はあなた方に奥義を告げよう
[21] 43. アリア(バス) トランペットが鳴り響くと
[22] レチタティーヴォ(アルト) その時、こう書かれている言葉が成就する
[23] 44. 二重唱(アルト/テノール) おお、死よ、お前の棘はどこにあるのか?
[24] 45. 合唱 しかし神に感謝しよう
[25] 46. アリア(ソプラノ) もし神が私達の味方であるなら
[26] 47. 合唱 屠られ、その血によって神の御前へと私達を贖って下さった小羊こそ
[27] 48. 合唱 アーメン
ヘンデルの最高傑作とも称される≪メサイア≫は、上演を重ねる度に改変が加えられたが、1741年に完成した初稿は今日ほとんど演奏されることがない。長年にわたり広汎なヘンデル作品を紹介してきたヘンデル・フェスティバル・ジャパンが、劇場娯楽作品として作曲された≪メサイア≫の原点に立ち返り、初稿版を全曲録音。宗教作品としてのみならず広く人々に愛された傑作の素顔が、溌剌と立ち現れる。 (C)RS