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ベートーヴェンの交響曲全集で世界的な名声を築いた名コンビ、ジンマン+チューリヒ・トーンハレの総決算であるマーラー交響曲全集の第10弾にして完結編です。
交響曲第10番はマーラーの死によって未完として残された作品ですが、第2次大戦後からは残されたスケッチをもとに演奏可能な全5楽章の作品として補筆完成させる試みがされるようになりました。なかでもイギリスの音楽学者デリック・クックによるものが広く受け容れられており、演奏の機会も近年増加傾向にあります。第9番で赤裸々に表現された生への憧れ・執着と死への恐怖をさらに推し進め、無調に近づく部分もあるなど、その革新的な筆致はシェーンベルクなど後の作曲家にも大きな影響を与えました。1946年に補筆が開始され、1966年に一旦完成したクリントン・カーペンターによる補筆版は、戦前のクシェネックによる補筆を除くと、最も早く着手された版として知られていますが録音は少なく、CDもこれまでに2種類あったのみで、その意味でもジンマンによる最新盤は珍重すべき価値を備えています。