秘曲「使徒の愛餐」、室内楽編成の「ジークフリート牧歌」など、ブーレーズの慧眼が光るワーグナー。
クナッパーツブッシュの後を継いだ「パルジファル」や初演100年記念の「指環」など、バイロイトでセンセーションを巻き起こしたブーレーズのワーグナー解釈。各声部が透けて見えるような明晰で透明な響きを主体としつつも、ワーグナー特有の音のうねりを醸し出しているのは、ニューヨーク・フィルの持つ底力の賜物であろう。26分にもわたる男声合唱とオーケストラのための「使徒の愛餐」は類盤の少ない貴重な録音。「トリスタン」(前奏曲)以外は現在のところブーレーズにとって唯一の録音。
ニューヨーク・フィルハーモニック
ウェストミンスター合唱団
イヴォンヌ・ミントン(メッゾ・ソプラノ)
ロンドン交響楽団
指揮:ピエール・ブーレーズ
【録音年、収録場所】
1972年9月25日(1)、1973年2月6日(2、4)、1971年9月24日(3)、ニューヨーク、エイヴェリー・フィッシャー・ホール、
1977年2月12日(5)、1975年10月6日(6)、ニューヨーク、マンハッタン・センター、1979年5月、ロンドン、EMIスタジオ