Blu-spec CD2
エフゲニー・キーシン畢生の名演。「展覧会の絵」では、1枚1枚の絵画を徹底して描き抜く表情付けの巧みさ、強大な低音から繊細なピアニシモまでダイナミック・レンジの圧倒的な幅広さに驚かされる。その音色の豊かさはまさにロシアン・ピアニズムの正統な後継者にして最も高度な天才というに相応しく、軽快な走句でのきらめくような音色の美しさと俊敏な運動性、切れ味の鋭さに加え、人間心理の暗部を覗かせるような凄みあるダイナミズムを展開している。ブゾーニの編曲によるバッハの有名オルガン作品「トッカータ、アダージョとフーガ」での豪壮かつ繊細なピアニズム、バラキレフの編曲によるグリンカの「ひばり」のノスタルジックな情感も見事。 (C)RS