極HiFiCD
テオドール・クルレンツィスのレパートリーはバロック・古典よりと思われているが実は幅広く、ソニークラシカル移籍前にもショスタコーヴィチの交響曲でレコードアカデミー賞を受賞したりもしています。移籍後はモーツァルトのオペラ録音に専念していたかに思われたクルレンツィスと手兵ムジカエテルナが突然そのさなかに発表したのがこの現代音楽への端緒を拓いたストラヴィンスキーの問題作「春の祭典」でした。クルレンツィスは、ムジカエテルナ結成前の2002年、モスクワでこの曲を指揮してキャリアを発展させたと語っており、今回の録音はまさに彼にとっても大きな仕事だったに違いありません。2014年にはイタリアの著名な演出家ロメオ・カステルッチと組んでドイツのルール・トリエンナーレで破天荒なパフォーマンスが披露され大きな話題をさらったことも記憶におられる方もいらっしゃることでしょう。このアルバムは間違いなくクルレンツィスの日本での受容を変える1枚となりました。ジャケットのユニークさとあいまって、かつてない<ハルサイ>の誕生です。 (C)RS