極HiFiCD
アーノンクールにとってウィーンにおける最後の演奏会となった公演のライヴ。自筆譜を含む一次資料を丹念に洗い直し、「ベートーヴェンの楽譜には何も足さない」というストイックな姿勢が貫かれ、当時の楽器の特性や響きを知りつくしていた作曲者があちこちに仕掛けた独特の響きが徹底的に掘り起こされています。第5番第4楽章で登場するトロンボーンの驚くべき強調、ピッコロの独自のバランス、そして何よりも最後の和音連打のタメは、作品の初演に接した聴衆の驚きを想起させるほどの衝撃。重量感を持つ第4番も、「北欧神話の巨人に挟まれた優美なギリシャの乙女」というイメージをも覆す個性的な相貌を獲得。既存の解釈とは全く隔絶したところで打ち立てられた、巨匠ならではの箴言がここにあります。 (C)RS