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広島の被爆75年という節目の年である2020年8月に広島で2日にわたって行なわれた広島交響楽団による“平和の夕べ”コンサート。被爆した“明子さんのピアノ”が、奇蹟的に修復されて保存されていることを知ったロンドン在住の作曲家、藤倉大がそのピアノからインスパイアされて作曲した新しいピアノ協奏曲は、藤倉の申し出を快く受け入れた巨匠マルタ・アルゲリッチを迎えて行われる予定であったが、折からのコロナ禍により来日できず、かわって広島出身のピアニスト、萩原麻未によって初演された。そのほかにメモリアル・イヤーだったベートーヴェンの弦楽四重奏曲の弦楽合奏版、海外で活躍するメゾソプラノ、藤村実穂子を迎えたマーラーの歌曲、齋藤秀雄によって管弦楽にアレンジされたバッハの「シャコンヌ」を加えたこの記念すべきライヴ・アルバムからは、間違いなく未来への希望が聞き取れることだろう。 (C)RS