ルドルフ・ゼルキンによるブラームスのピアノ協奏曲の録音といえば、1960年代後半にセル/クリーヴランド管と収録されたステレオ盤が知られていますが、その6年前のステレオ初期に録音されたこのオーマンディ/フィラデルフィア管との共演盤は、心技体ともに完璧で脂の乗り切った境地にあったゼルキンの凄さをはっきりと刻印しています。オーマンディの芳醇なフィラデルフィア・サウンドをバックに、ゼルキンの味わい深いピアノも朴訥ながらも力感あふれ、しかも作品の核に肉薄しようとする気迫が、聴き手に圧倒的な印象を与えます。 (C)RS