Blu-spec CD2
グールドの演奏を聴く時ほど、「天才」の存在感を強烈に味わわされることはない。彼は、いままで人がこうやってきた、あるいは、いま人がこうやっている、ということなどまるで中にないがごとくに、自分の信じる音楽で、まったくユニークな流儀で、弾き続ける。このハイドンもひじょうに特異でありながら並外れた説得力をもち、わがまま勝手であるように見えながら、山の真髄をこの上なくあざやかに伝えてくれる。このハイドンの後期ソナタ集は、70年代に彼の録音場所となったトロントから、最新のデジタル録音機材が導入されたニューヨークへと拠点を変えて制作されたという意味でも重要な作品である。 (C)RS