おれは せかいでいちばん おまえがすきだ ★第52回 ロッテルダム国際映画祭ビッグスクリーンコンペティション正式出品
★日本映画界を長年にわたり牽引してきた阪本順治の監督30作目は、初のオリジナル脚本による時代もの。
とはいっても、髷姿の侍たちが斬り合うような活劇ではない。
社会の底辺を生き抜く庶民に目を向け、苦難に直面しながらもたくましく、
したたかな彼らの姿を通し、≪人と人のぬくもり≫と≪いのちの巡り≫を映し出す。
若者たちを中心に、その恋や青春を軽やかに描いた、阪本監督の新境地でもある。
★主人公のおきくには、ベルリン映画祭銀熊賞(女優賞)を受賞し、
日本アカデミー賞助演女優賞に三度輝くなど、卓越した演技力で高い評価を得てきた黒木華。
声を失い、中盤以降は台詞がないおきくの心の揺れを、
手話がまだない時代の身振り手振りを通じ、繊細に表現した。
★偶然に出会い、下肥買いの相方となる中次と矢亮には、
祖父に三國連太郎、父に佐藤浩市を持ち、デビュー後はみずみずしい魅力を放ってきた寛一郎と、
数々の主演作で圧倒的な存在感を残してきた池松壮亮。
★また佐藤浩市、眞木蔵人、石橋蓮司ら、阪本作品に主演してきたベテラン俳優たちが
長屋に集う人々に扮し、絶妙なアンサンブルを見せている。
モノクロ、スタンダードサイズの映像は鮮烈で、墨絵のように美しい。
そこに暮らす人々の様子と、ときおり映し出される自然のさまざまな表情は、
日常の、世界の美しさを伝え、観る人をぬくもりで包み込む。
★物語の背景には、糞尿を肥料として農業に用いるなど、
サーキュラーエコノミー(循環型経済)の最先端にあった江戸時代の日本の風景が重ねられている。
日本を代表する美術監督であり、本作で企画・プロデュースを務めた原田満生は言う。
「この映画で観る人の環境意識が変わるとは思わないが、
こんな時代があったことを多くの人たちに、特に若い世代の人たちに知ってもらいたい」。
【作品内容】
おきく、22歳。声を失ったけれど、恋をした。 彼に伝えたい言葉がある。 だから今日、どこまでも歩いて会いに行く。
つらく厳しい現実にくじけそうになりながら、それでも心を通わせることを諦めない若者たちを描く、愛おしい青春物語。
日本が世界の大きな渦に飲み込まれていった江戸末期。
寺子屋で子供たちに読み書きを教えているおきくは、
ある雨の日、厠のひさしの下で雨宿りをしていた紙屑拾いの中次、下肥買いの矢亮と出会う。
武家育ちでありながら、今は貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、
古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事に就く中次と矢亮。
わびしく辛い人生を懸命に生きる三人は、やがて心を通わせていくが、
ある悲惨な出来事に巻き込まれたおきくは、喉を切られ、声を失ってしまう――。
心を閉ざしたおきく、彼女に淡い思いを寄せる中次、そして過酷な世の中を糞くらえと笑い飛ばす矢亮――
三人は共に青春を駆け抜け、果てしなく広がる“せかい”の輝きに触れる。
人情の温かさ、青春の光、生のきらめきが余韻と共に心に響く、至高の日本映画が誕生した。
【特典映像】(※予定)
◆劇場予告編
【商品仕様】
▼DVD仕様
2023年/日本/モノクロ(一部カラー)
/本編:約89分+特典映像:約2分/1枚組/片面1層
/画面…16:9LB スタンダード /MPEG−2
/音声…オリジナル日本語
※商品の仕様・特典および収録内容等は、予告なく変更となる場合がございます。
【CAST】
黒木華 ≪おきく≫
寛一郎 ≪中次≫
池松壮亮 ≪矢亮≫
眞木蔵人 ≪源兵衛≫
佐藤浩市 ≪孝順≫
石橋蓮司 ≪孫七≫
【STAFF】
脚本・監督:阪本順治
製作:近藤純代
企画・プロデューサー:原田満生
音楽:安川午朗
音楽プロデューサー:津島玄一
撮影:笠松則通
照明:杉本崇
録音:志満順一
美術:原田満生
美術プロデューサー:堀明元紀
装飾:極並浩史
小道具:井上充
編集:早野亮
VFX:西尾健太郎
衣装:大塚満
床山・メイク:山下みどり
結髪:松浦真理
マリン統括ディレクター:中村勝
助監督:小野寺昭洋
ラインプロデューサー:松田憲一良
バイオエコノミー監修:藤島義之 五十嵐圭日子
製作:FANTASIA Inc./YOIHI PROJECT
制作プロダクション:ACCA
配給:東京テアトル/U−NEXT/リトルモア
【STORY】
江戸時代末期・江戸。
ある寺の厠の裏で、矢亮(池松壮亮)はたまった糞尿を柄杓ですくい、肥桶に注いでいる。
江戸で糞尿を買い、肥料として農村に持ちかえる下肥買いの矢亮は、相方が病に臥せっており、今日はひとりだ。
その厠のひさしの下に、突然の雨を避けようと、大きな籠を抱えた男が駆け込んでくる。
不要になった古紙を買い、問屋に売って暮らすその男は、紙屑買いの中次(寛一郎)。
そしてその窮屈なひさしの下に、もうひとり走って入ってきたのが、
寺子屋で子供たちに読み書きを教えているおきく(黒木華)だ。
「ここをどいてくださいまし!」とおきくに追い立てられ、慌ててひさしの下から出ていく中次と矢亮。
3人の若者たちはこうして雨の日の厠の前で出会った。
中次は矢亮に誘われ、下肥買いの相方になり、
ふたりで糞尿を買い歩いては、それを舟で矢亮の地元である葛西へ運ぶ。
最下層の仕事に就く彼らは、ときに蔑みの目で見られるが、それでも明るさを忘れない。
一方、武家育ちのおきくが暮らす長屋も、
孫七(石橋蓮司)ら住人はみな貧しいが、その暮らしは人情味にあふれている。
長屋を担当することになった中次は、ある日、おきくの父・源兵衛(佐藤浩市)と厠で鉢合わせになる。
「なあ、“せかい”って言葉、知ってるか。惚れた女ができたら言ってやんな、
俺は“せかい”でいちばんお前が好きだって。これ以上の言い回しはねえんだよ」
そう言い残すと、源兵衛は侍たちと共に路地の向こうへ消えていく。
そのあとを追い、長屋を駆け出ていくおきく。中次はふたりの背中を眺めるしかない。
やがて侍に斬りつけられたおきくは、父と、自分の声を失ってしまう――。
*2023/4/28(金)〜テアトル新宿、TOHOシネマズシャンテほか全国劇場公開
制作年: | 2023 |
制作国: | 日本 |
ディスクタイプ: | 片面1層 |
色彩: | 一部カラー |
映像特典: | 劇場予告編 |
音声仕様: | 5.1chサラウンド(ドルビーデジタル、日本語) |
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