愛したのは、向こう側の人でした。
テクノロジーが融合した作品の第二弾!
中村獅童さんと初音ミクさんが主演を勤め、「世話物」という町人社会を題材にして展開する恋物語。
NTTの最新テクノロジーを駆使して“花街”の艶やかな世界へと誘い、劇中曲の重音テト「吉原ラメント/亜沙」が歌舞伎を盛り上げる。
〜見どころ〜
2017年の超歌舞伎同様に、舞台と映像が連鎖しながら物語が展開していきますが、ふたつの花魁道中が最初の見どころです。
八重垣紋三と初音太夫の見そめ、紋三と蔭山新右衛門が一触即発となるふたりの出会い、
加えて紋三と新右衛門の喧嘩をある人物が仲裁する場面も眼目となっています。
さらに紋三と初音太夫の連れ舞や、歌舞伎ならではの立廻りといった大きな見せ場も。
歌舞伎のアナログ的な演出と、最新鋭のデジタル技術による演出が融合した、超歌舞伎ならではの演出もお楽しみ下さい。
【花街詞合鏡(くるわことばあわせかがみ)とは/あらすじ】
〜発端〜
龍神塚の場
山奥にある龍神塚の前に現れた蔭山新右衛門は、
不気味な古塚に矢を放ってこれを破壊すると、邪悪な青龍が出現する。
かつて白狐らの活躍によってこの塚に封じ込められていた青龍は、
再びこの世に甦るために、新右衛門をここへと呼び寄せたのであった。
そして青龍が乗り移った新右衛門は、不思議な力を獲得する。
〜プロローグ〜
ところはかわって華やかな廓。
いま全盛の花魁である葛城太夫の花魁道中を、町娘の未来がじっと見つめている。
いつしか歳月が流れ、葛城太夫の姿を見て、この世の菩薩にたとえられる花魁に憧れた未来は、
初音太夫として廓で随一の花魁となる。
〜第一場〜
仲の町の場
仲の町を初音太夫の花魁道中が歩みを進めるなか、通りかかったのは評判の伊達男の八重垣紋三。
初音太夫は紋三を呼び止めてその名を訊ねると、紋三に微笑んで立ち去っていく。
〜第二場〜
大文字屋初音太夫部屋の場
廓勤めをするなかで初音太夫は、自らの感情を押し殺していたが、
紋三にひと目惚れしたことによって感情を取戻す。だがこの気持ちをどうすればよいのかと思い悩む。
〜第三場〜
大文字屋格子先の場
一方、何も知らない八重垣紋三が今日も廓へとやって来たところ、行く手を阻んだのは、蔭山新右衛門。
初音太夫に思いを寄せる新右衛門であったが、紋三の存在により初音太夫からつれない態度をとられる。
この恨みを晴らそうと新右衛門が紋三に喧嘩をふっかけて、一触即発となったところ、仲居の重音が現れて喧嘩を仲裁する。
その上で重音は、初音太夫からの手紙をふたりに渡す。
紋三への手紙は初音太夫からの恋文であり、新右衛門への手紙は新右衛門の思いを断る手紙であった。
こうして紋三は、禿たちに手を引かれ初音太夫のもとへ向かい、面目をつぶされた新右衛門はいまいましげに立ち去っていく。
〜第四場〜
大文字屋奥座敷の場
晴れて再会した紋三と初音太夫。ふたりはつかの間の逢瀬を楽しむものの、突然、邪魔者が現れてふたりに襲いかかる。
〜大詰〜
大文字屋奥座敷の場
この邪魔者こそ、紋三に恨みを晴らそうとする新右衛門の手下たちで、
紋三は手にする名刀小狐丸でこれを斬り伏せて、新右衛門との勝負に挑む。
その時、紋三の所持の小狐丸が不思議な力を発する。実は小狐丸は紋三の先祖白狐ゆかりの刀で、
剣の威徳によって、新右衛門が白狐の宿敵である青龍ゆかりの者であることを知らせたのである。
かくしてお互いの素性を知った紋三と新右衛門は、互角に斬り結ぶうちに、ともに深手を負う。
そしてその本性を顕わした青龍は、最後の力を振り絞って廓を炎で包み、廓ごと紋三たちを焼き殺そうとする。
こうしたなか初音太夫は、なんとかこの炎を鎮めようと、小狐丸の力を借りることとするが……。