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ショスタコーヴィチ受容史の中で特別な意味合いを持つハイティンクの名全集から、有名曲2曲をベスト・カップリングして世界初の Super Audio CD ハイブリッド化が実現。
ショスタコーヴィチの作品の位置づけを見直すきっかけとなったプロジェクト。
基本的にはロシアの楽団の独特の音色による強面の録音を通じてしかショスタコーヴィチの交響曲の全体像を聴けなかった状況の中で、ハイティンクの録音は、ショスタコーヴィチの優れたオーケストレーションの独自の魅力を初めてバイアスなく提示し、ロシアの演奏伝統の中でのショスタコーヴィチのイメージから切り離したことで、この作曲家の演奏解釈を転換させる起爆剤となったのでした。
そしてショスタコーヴィチの個性的な音楽語法の特徴を、デッカの鮮明な録音によって非常に明確に聴きとることができるようになったのです。
作品解釈の上でも、例えば交響曲第 5 番終楽章の落ち着いたテンポは、楽譜の指示に従っておらず、むしろヴォルコフの『証言』の「(第 5 番は)強制された歓喜なのだ」という記述とテンポ変更の指示に呼応するかのようで、作品の表層からは聴きとることができない作曲者の内面を体現させた演奏解釈として高い評価を得たのでした。
道化的な側面が強調されすぎることもある第 9 番でも、技術的に正確な演奏を貫くことで、逆に作品の個性がクローズアップされています。
この全集のレコーディングはちょうどアナログからデジタルへの転換期に行われましたが、当盤収録の2曲はデジタル録音です。
デッカならではの、オーケストラの各パートを鮮明かつ立体的に捉えた明晰透明なサウンドが、ショスタコーヴィチのオーケストレーションの部類の面白さを伝えてくれます。
フィリップスへの録音がオーケストラ全体の重厚で落ち着いたソノリティを表に押し出したヨーロッパ調の音作りだったのに対して、デッカ録音はもっと切れ味の鋭い小回りの効いたサウンドに仕上がっており、レーベル毎に音の個性がはっきりしていたアナログ時代の記憶が蘇るかのようです。
デジタル録音ということもあって、CD最初期に発売されて以来、リマスターされるのは今回が初めてで、世界初の Super Audio CD ハイブリッド化となります。
[演奏]ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 〔第5番〕ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 〔第9番〕
[指揮]ベルナルト・ハイティンク
[Super Audio CD プロデューサー] 大間知基彰(エソテリック株式会社)
[Super Audio CD リマスタリング・エンジニア] 東野真哉(JVC マスタリングセンター(代官山スタジオ))
[Super Audio CD オーサリング] 藤田厚夫(有限会社エフ)
[解説] 諸石幸生、増田良介