ベートーヴェン唯一のオペラ『フィデリオ』。そのオリジナルの姿、『レオノーレ』(第1稿)をヤーコプスが録音!
ベートーヴェン・イヤーに注目のリリースの登場です!ヤーコプスが『レオノーレ』(第1稿)を録音しました!
ベートーヴェン唯一のオペラ『フィデリオ』(1814)には、3つの稿が存在していますが、現在では、1814年の最終形
ともいえる『フィデリオ』がレパートリーとなっています。これに逆らうように、ヤーコプスが『フィデリオ』の原型
ともいえる『レオノーレ』第1稿を録音しました!
1805年に完成された第1稿は、初演時の様々な不運な状況もあり、失敗に終わりました。その後2度改訂され、1814年の
稿が現在でも演奏されています。1805年の初稿と、第2稿以降で大きく違う点は、第1稿が3幕構成なのに対し、第2稿以降は
2幕構成になっていること。また、第1稿で重要なウェイトを占めた台詞部分も、第2稿以降ではかなり縮小されています。
ヤーコプスはこの第1稿の大きな魅力である台詞部分にも注目し、ゾンライトナーの台本を尊重しつつ、原作のフランス語の
小説にあたるなどして、多少の編集を施しながら、言葉づかいを現代に近づけています。たとえば冒頭序曲の次も、この第1稿
ではセリフ劇から始まります(現行の『フィデリオ』では二重唱)。この「レオノーレ」第1稿は、音楽的にもストーリー的
にも比類なきクオリティを持っており、オーケストラと歌唱陣の両者に高度な技術を要求します。ヤーコプスと彼が選んだ
メンバーたちだからこそ実現できた、素晴らしい録音の登場です!
【「フィデリオ」と「レオノーレ」のタイトルについて】
ベートーヴェンは1805年第1稿初演当初から「レオノーレ」というタイトルでの上演を希望していましたが、興業主側が
他の作曲家による前作と区別するために「フィデリオ」というタイトルで上演するよう要求しました。
1806年のベートーヴェンの自費出版による台本、および1810年出版のヴォーカル・スコアにはタイトルは「レオノーレ」とあり、
現在では一般に最初の2つの稿を「レオノーレ」、そして第3稿にあたる現行の稿を「フィデリオ」と呼んでいます。
ルネ・ヤーコプス(指揮)
フライブルク・バロック・オーケストラ≪コンサートミストレス:アンネ・カタリーナ・シュライバー≫
チューリヒ・ジング・アカデミー≪合唱指揮:フロリアン・ヘルガート≫
マルリス・ペーターセン(レオノーレ(フィデリオ)/ソプラノ)
マキリミリアン・シュミット(フロレスタン/テノール)
ディミトリ・イヴァシュチェンコ(ロッコ/バス)
ロビン・ヨハンセン(マルツェリーネ/ソプラノ)
ヨハネス・ヴァイサー(ドン・ピツァロ/バリトン)
タレク・ナズミ(ドン・フェルナンド/バス)
ヨハンネス・チュム(ヤキーノ/テノール)