2018年の音楽監督就任以来、数々の名演を世に放つ尾高=大阪フィル。披露公演における≪ブルックナー交響曲 第8番≫、シーズン2年目の開幕を飾った≪マーラー 交響曲 第9番≫のライヴCDは、精緻な表現と豪放な響きを併せ持つ稀代の演奏と高く評価されました。若き日よりブルックナーに傾倒してきた尾高ですが、≪第3番≫は版の選択を決めかね、演奏する機会に恵まれませんでした。しかし「朝比奈隆先生ゆかりの大阪フィルに来たからには、ここで3番を始めるべき」と2020年1月の3公演に臨むことを決意します。オーケストラにとっても、2002年の朝比奈追悼公演以来となる≪第3番≫です。思索を深めることとなった前年の病気療養から、未踏の領域へと近づく尾高の指揮。その自然体の導きに、当意即妙な演奏で応える大阪フィルの演奏は、まさに理想的なブルックナー像の出現と申せましょう。 (C)RS