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音場工房

[ 2022年 10月 11日付 ]



Accuphase・純A級モノラルパワーアンプ「A-300」をご紹介!



こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。

今回は、アキュフェーズの創立50周年を記念し、新たな理想を掲げて完成したA級モノフォニック・パワーアンプ「A-300」をご紹介いたします。


◆ アキュフェーズの純A級パワーアンプ

豊かな表現力に溢れた音楽を奏でる純A級パワーアンプは、長年多くのオーディオ・ファイルの心をつかみ、かけがえのない存在です。アキュフェーズでは、スピーカーのポテンシャルを残さず引き出すように、出力インピーダンスの低減や定電圧駆動を追求しながら、20機種に及ぶ純A級パワーアンプを開発して参りました。

2017年に発売したA級パワーアンプの最高峰A-250は、その魅力溢れる音質で国内外から高い評価を獲得。新製品「A-300」は、A-250に最新のテクノロジーを融合、5年に及ぶ開発期間を経て完成した超弩級『 純A級モノフォニック・パワーアンプ 』です。

電力増幅段には、パワーMOSFETによる20パラレル・プッシュプルのA級動作を採用し、出力はA-250の25%アップとなる125W/8Ω、250W/4Ω、500W/2Ω、1000W/1Ωのハイパワーを実現。

また、信号入力部がバランス回路で構成された『 インスツルメンテーション・アンプ 』、信号入力部と電力増幅部の『理想的なゲイン配分』、2並列回路である『MCS+回路』をさらに2回路搭載した『Double MCS+回路』などにより、ノイズ・レベルはA-250に比べ20%改善しました。

さらに、『 バランスド・リモート・センシング 』や『 半導体スイッチ 』による出力インピーダンスの低減により、スピーカーの駆動力を示すダンピング・ファクターは1000を達成しています。加えて、スピーカー端子のショート事故を未然に防ぐ保護回路を搭載。

なお、A-300を4台使用して『 バイアンプ接続 』や『 ブリッジ接続 』も可能。
偉大な作曲家が描いた名曲の美しい旋律を、卓越した表現力で奏でるA-300で、素敵なひと時をお過ごしいただけます。


◆ 20パラレル・プッシュプルA級動作が実現する125W/8Ω、250W/4Ω、500W/2Ω、1000W/1Ωのハイパワー

スピーカーのポテンシャルを100%引き出すため、パワーアンプ部は激しく変動するスピーカーのインピーダンスによる影響を受けることなく、スピーカーを定電圧駆動することが大切です。スピーカーを定電圧駆動するためには、パワーアンプ部はインピーダンスに反比例する電流をスピーカーに供給しなければなりません。
例えば、4Ω負荷では8Ω負荷の2倍の電流となります。

A-300はパワーMOSFETの数を増やして電流供給能力を上げ、出力インピーダンスを下げることで、動的な定電圧駆動を実現。低出力インピーダンス化は、リアクタンス成分を含んだ負荷の駆動にも優れ、スピーカーのヴォイスコイルで発生する逆起電力を吸収し、IMひずみの発生を防ぎます。

A-300の電力増幅段には、高周波特性に優れ、許容損失電力約200W、ドレイン電流約30Aの大電力オーディオ用パワーMOSFETを採用。この素子を20パラレル接続プッシュプルA級動作させることにより、非常に低い出力インピーダンスを実現。

さらに1ペア当たりのパワーの負担が1/20に軽減されるため、大電力領域での動作が安定し、諸特性が向上。出力素子を大型ヒートシンクに分散させながら搭載することで、効率の高い放熱を行っています。
これらの技術により、A-300は定格出力(125W/8Ω、250W/4Ω、500W/2Ω、1000W/1Ω)のハイパワーを実現しています。


◆ 大型トロイダル・トランスと大容量フィルター・コンデンサーによる強力電源部

全ての電力の供給源である電源部は、音楽の源となる重要な回路です。A-300は、低インピーダンス負荷ドライブに求められる電流供給能力に優れた、大電力容量の大型トロイダル・トランスを搭載。さらに、熱伝導に優れ防振効果の高い充填材を用いて、高効率放熱構造のアルミ鋳物ケースに固着、外部への振動を遮断。

トロイダル・トランスは、閉じた磁路を形成するドーナツ状のコアに太い銅線を巻くため、小型で変換効率が極めて高く、大型パワーアンプには不可欠な部品の一つで、大出力アンプ用として優れた特性・特長を備えています。

また、整流器を通過した脈流を直流に平滑するアルミ電解コンデンサーには、性能や音質を重視して箔の材質やエッチング、電解液などを選び抜いた特注品を採用、71V / 100000μFの超大容量型を2個搭載し、ゆるぎない余裕度を誇ります。


◆ 外来ノイズの除去能力に優れた『 インスツルメンテーション・アンプ 』の2並列回路

インスツルメンテーション・アンプは、信号入力部がバランス回路で構成され、+入力と-入力の入力インピーダンスが等しいため、外来ノイズの除去能力やひずみ率が優れており、オーディオ・アンプに最適な回路です。
A-300の増幅回路全体は、インスツルメンテーション・アンプの2並列回路で構成されています。


◆ ディスクリート構成フルバランス回路による信号入力部

信号入力部には、ディスクリート構成によるフルバランス回路を搭載。
バランス伝送では、出力側は同一振幅で位相が反転(180度)したインバート(−)とノン・インバート(+)の信号を出力します。

入力側はこれを+入力、−入力で受けて差信号を取り出します。
この時、ケーブルに飛び込むノイズ成分は、両入力に同相で入るため、入力アンプでキャンセルされます。

フルバランス回路は、バランスのプラス入力とマイナス入力の条件を理想的にそろえることで、バランス回路の性能を極限まで高めています。
LINE入力も同じ回路を使用するため、性能の違いもありません。


◆ ひずみ率やSN比などの特性を大幅に向上させる『 Double MCS+回路 』

電力増幅部の電圧増幅段に、アキュフェーズ独自技術の『 MCS+(Multiple Circuit Summing-up)回路 』を採用。MCS回路は、電圧増幅段を電圧増幅段A/Bの2並列接続にすることで、理論上ひずみ成分やノイズ成分を約30%低減します。

『 MCS+ 』はMCSをさらに進化させたもので、初段バッファアンプのバイアス回路を改善して回路安定度を高め、並列動作させる部分を『 電流−電圧変換部 』のA級ドライブ段にまで拡張して、さらなる低雑音化を実現する回路です。
A-300では、左右の電力増幅部それぞれに『 MCS+回路 』を搭載する『 Double MCS+回路 』を採用しています。


◆ 高域の位相特性に優れた『カレント・フィードバック増幅回路』

信号入力部と電力増幅部に、出力を電流値で帰還するカレント・フィードバック増幅回路を採用。この回路は、本機のゲインを切り替えても周波数特性の変化がほとんどなく、高域の位相特性にも優れ、自然で躍動感のあるスピーカー・ドライブが可能です。


◆ 高い『ダンピング・ファクター』・ダンピング・ファクター1,000を実現

ダンピング・ファクターとは、パワーアンプの出力インピーダンスとスピーカーのインピーダンスの比であり、数値が大きいほどアンプがスピーカーをコントロールする能力が高いことを意味します。

つまり、ダンピング・ファクターが高いほど、短い時間でスピーカーからの逆起電力を吸収して不要な振動を抑え、理想的なスピーカー駆動を実現します。

A-300ではアンプ回路やNFB経路等の最適化によって、アンプの出力インピーダンスを8mΩ以下に抑え、ダンピング・ファクター1,000を実現しています。


◆ ダンピング・ファクターを向上させる『バランスド・リモート・センシング』


◆ 長期に渡る信頼性を確保する『MOSFETスイッチ』

アンプが異常状態に陥った際、スピーカーとの接続を切り離し、スピーカーの破損を防ぐのがプロテクション回路です。

一般的には機械式接点を持つ『出力(プロテクション)リレー』を用いますが、接点の腐食により接触抵抗が増加し、性能や音質が劣化するという問題がありました。

A-300では接点のない『MOSFETスイッチ』を採用することで、経年劣化の問題を解決し、長期に渡る信頼性を確保。

定格電流が非常に大きく(160A)、ON抵抗が非常に低い(0.0016Ω)MOSFETスイッチを採用。


◆ プロテクション基板に結合されたスピーカー端子

インピーダンスをより低く抑えるため、プロテクション基板とスピーカー端子を結合しています。

その結果、負帰還のセンシング・ポイントをスピーカー端子の直近に配置でき、スピーカーに加わる電圧を正確に検出することで、ダンピング・ファクターと音質の向上を実現しています。

また、上下のスピーカー端子は、大型プレートで接続されており、電位差が生じないようにしています。


◆ バーグラフ・デジタル・パワーメーター

アキュフェーズではアナログ・メーターと同様に、デザインや視認性に優れたバーグラフ・メーターの自社開発にも取り組んで参りました。

A-300のバーグラフ・メーターは、40ポイントの大型LEDを採用し、高い視認性とレスポンス性能を実現。

また、指標には対数圧縮型を採用し、-50dBまで表示可能な広いダイナミックレンジを確保。 さらに、LEDの色相、明度、彩度を絶妙にコントロールすることで、バーグラフが必要以上に主張しないよう配慮。

加えて、バックライトには温もりを感じさせる電球色のLEDを採用し、リスニングルームを落ち着いた雰囲気で演出します。

常に変化する音楽信号のピーク値をアナログ・メーターで読み取るのは困難ですが、デジタル・パワーメーターはピーク値を正確に捕捉して表示可能です。


◆ アルミ材ヘアライン仕上げのトッププレート

A-300は、厚手のアルミ材にダークブラウンの染色と優美なヘアライン仕上げを施したトッププレートを搭載。

ヘアライン仕上げは、髪の毛のように細かい無数の平行線を金属に施す表面仕上げです。光の入射角で表情を変えるその光沢は、金属の質感を引き立たせ、落ち着いた雰囲気を醸し出します。


◆ 試聴しました

ジョーシン日本橋店で試聴してきましたので試聴レポートいたします。

遂に出ました!世界最高峰を目指して開発されたという「A-300」です。一見すると外見は前作「A-250]と変わりませんが細部の開発逸話を聞くに及び5年の歳月をかけて改良に改良を重ねて開発されている事が分りました。

開発のコンセプトには一切の妥協は無く、長年培った技術を集結し、低雑化、高駆動化、高出力化を着実に実現しています。50周年アニバーサリーを締めくくるにふさわしい超弩級A級モノラルパワーアンプと言えます。

出力段のMOS・FET20パラレル・プッシュプルの構成は「A-250」と同じですが、出力素子が東芝製からフェアチャイルド製に変更。入力アンプ回路の低雑音化は歴代最高値を誇り、SN比が130dB以上とA-250比で、なんと約20%の向上を果たしています。

高出力化もA-250比で25%アップの125W(8Ω)、250W(4Ω)、500W(2Ω)、1000W(1Ω)を誇ります。駆動力の向上もすざましく、公表のダンピングファクターは保証値で1000ですが、実測値では2000以上の実力(A-250は1400以上)を誇ります。

開発段階での測定値では5000以上のダンピングファクターの実力も確認出来ているそうで、その本当の実力は遙か上にある様です。

アキュフェーズさんのカタログデーターは常にかなり抑えめに発表されているんですね!!

細部に渡り、フルテューニングされた「A-300」ですが、出てくるサウンドは究極と言える繊細極まりないもので、一音一音を丁寧に積み重ねて音場を再現してくれます。

純A級で125W(8Ω)〜1000W(1Ω)という、強力な出力を誇るアンプですが、そのピアニシモの美しさはまさに目指していた世界最高峰を具現化したといえるサウンドです。

ダイナミックレンジとS/Nが改善されたことによる空間再現性の向上により、より一層の音楽のリアリティーを感じる事が出来ます。

もちろんボリュームを上げていっても限界を感じさせない、完成度の高さと安定感は頼もしいの一言、素敵なひと時を過す事が出来ます。





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