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[ 2020年 3月 10日付 ]

 いつかはマッキン! 最新&最強プリアンプ『 C53 』の魅力とは?

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、マッキントッシュが”今まさに世に問う”マッキンならではの超多機能プリアンプ『 C53 』を取り上げます。


事実上同社の一体型・半導体式プリのトップモデル『 C53 』を中心に、前作との違いや、見直しがあった部分を、日本橋1ばん館での試聴の印象も交えレポートします。

■ マッキントッシュのこだわり
オーディオは何より「超シンプルがベスト」で、余計な回路や機器を通さない直結が一番。「機能は最小限で多機能は不要」という考え方が、オーディオファンの間では長く続いていました。かく言う私も、トーンコントロールを通さないソースダイレクトは勿論、最終的にはプリアンプを使わないパワーアンプダイレクトにまで行き着き、「究極のシンプルイズベスト」を実践していた時期もありました。

しかしそれは、解像度や情報量は多いものの、無機的で面白みに欠ける、音楽ではなく音の純度のみを追求した結果であったと思います。ある時期オーディオ業界全体がその方向だったため、誰もがそれが当然と感じていたのです。しかしそんな中にあっても、マッキントッシュのアンプだけは違いました。世の中がどうであろうとも我が道を行くマッキントッシュは、ずっと多機能こそがオーディオには必要不可欠であるというスタンスを崩しませんでした。

マッキントッシュは現在、他のどのブランドより多い6機種ものプリアンプをラインナップしています。その内2機種は管球式、2機種はデジタル入力に特化したデジタルプリアンプです。そしてマッキンブランドのプリのメインストリームであるソリッドステートのアナログ入力を持った製品が『 C53 』と『 C49 』です。いずれも前作「C52」「C48」に代わる新製品です。

■ 高度な機能を備えた「DA2」デジタルオーディオモジュール搭載
『 C53 』の最大のグレードアップポイントは、デジタル入力部分に最新型のデジタルオーディオモジュール「DA2」を搭載したことです。全てのデジタル入力信号を、独立したスロットイン・モジュールに統合して入力しています。モジュールが独立しているため、将来交換することが可能で、その時点での最新のフォーマットにも対応できるとしています。本機を長年にわたって常に最新の状態に保つことができるのです。

そのデジタルオーディオモジュール「DA2」は、次世代のデジタルオーディオファイルのグレードとも言える、クアッド(4重)バランス、8チャンネル、32ビットD/Aコンバーターを搭載しており、最大で「DSD512」および「DXD384kHz」までの高解像度デジタルフォーマットをサポートしています。

外部のデジタル機器などからPCM信号をデコードする同軸、TOS光デジタル入力、PCM信号とDSD信号をデコードするUSBデジタル入力、そして同社専用のDINデジタル入力を備えており、マッキントッシュ製SACD/CDトランスポートとのダイレクト接続でDSD信号のデジタル伝送も可能です。

各デジタル入力のスペックは、同軸/TOS光デジタル入力が最大24ビット/192kHz、USB デジタル入力はPCMが最大32ビット/384kHz、DSD64、128、256、そして最大512(前作はDSD256)までサポート、DXD352.8kHz/384kHzも可能です。いずれも現時点での最高のパフォーマンスを獲得しています。(※DXDは音楽制作の現場で使われる編集可能なフォーマット)

このように充実したデジタル入力付きプリアンプであるにもかかわらず、フォノイコライザーにも他社とは一味違う取り組み方をしています。

■ 完全セパレートされた、高音質「MCフォノ回路」と「MMフォノ回路」

MC、MMの別入力を持ち、完全にセパレートされた高音質の「MCフォノ回路」と「MMフォノ回路」を装備。最近あまり見られない、入力インピーダンスをかなりの自由度で選択できる「MM/MCフォノ回路」を搭載しています。MMの負荷抵抗は47kΩ固定で、キャパシタンスは50〜800pFを50pFステップで可変、MCはキャパシタンスは100pF固定で負荷抵抗は25、50、100、200、400、1000Ωと大きく可変できます。

例えば、MMでキャパシタンスを上げることで高域にアクセントをつけることができたり、MCではカートリッジの数倍の抵抗値で受けるのが適切とされていますが、可変させることでカートリッジの新しい魅力を引き出せる可能性もあります。好みのサウンドを追求できるマニアックさが魅力です。

この最新設計の「MM/MCフォノ回路」は、ノイズ及び歪みを最小限に抑えこみ、誤差の少ない抵抗およびコンデンサーを採用したことで、極めてフラットな周波数レスポンスを実現できたとしています。『 C53 』は、決してデジタルのみにこだわったのではなく、ちゃんとアナログ再生にも最新技術を投入しているのです。

■ 8バンドイコライザーを装備

そして何と言っても本機の顔とも言うべき「8バンドイコライザー」の装備です。最新の高音質音源であっても、全てが完璧とは言えません。好みは人それぞれであり、好みに合わせたイコライジングにより、さらに音楽の魅力も深まります。周波数ポイントは25、50、100、200、400、1k、2.5k、10kの8つで、特にお部屋の影響を大きく受ける中低域を細かく調整できるのがメリットです。

ボリュームは「VRV(Variable Rate Volume)」電子ボリュームを使ってはいますが、アナログボリュームの感覚で0.5dB単位で214ステップでの高精度な音量調整が可能です。何より従来型ボリュームのような接点が存在しないため、長期間安定した動作が保証されています。

■ その他の機能
その他、本機の機能としては、音声専用のHDMIオーディオリターンチャンネル(ARC)入力、ヘッドフォン出力の前方定位を実現するHXDクロスフィード機能、ホームシアターパススルーなど充実しています。

外観はマッキントッシュ伝統の漆黒のガラスフロントパネルや、鏡面仕上げのステンレスシャーシを継承していますが、フロントパネルのイルミネーションには広角LEDを採用して照明の均一化を図り、より美しく仕上げられています。そして簡単なお手入れでいつまでも新品同様の輝きを保ち続けることができます。

■ 試聴しました
『 C53 』は日本橋1ばん館のリファレンスルームに設置されており、同社パワーアンプは「MC462」を使って試聴しました。


「C52」との同時比較ではなく記憶に基づいての比較になりますが、濃密で色彩感豊かなマッキンサウンドはそのままに、クリアさがさらに増し、キレが良くなっていると感じました。楽器の音色がより明瞭に感じられ、ボーカルの生々しさも加わっていました。

このように微妙な差ではありますが、確かなグレードアップが確認でました。この『 見て良し、聴いて良し 』のマッキントッシュ『 C53 』からは、重箱の隅をつつくような神経質なオーディオとは別次元の”ハイエンド・オーディオの醍醐味”が伝わってきます。

8バンドのイコライザーを無くし、大幅なコストダウンを果たしたプリアンプ「C49」、そして『 C53 』「C49」とも相性抜群のパワーアンプ「MC462」「MC312」でマッキンサウンドを存分にお楽しみ下さい。
(あさやん)


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