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[ 2020年 4月 9日付 ]

 MQA-CD対応 SACD/CDプレーヤー ラックスマン『 D-10X 』の全貌に迫る!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、MQA-CD対応 SACD/CDプレーヤー ラックスマン『 D-10X 』を取り上げます。


『 D-10X 』は、昨年(2019) 11月8日開催の大阪ハイエンドショーで初お披露目され、注目を集めましたが、その後、諸事情で発売が遅れに遅れ、この度改めて、2020年 4月20日発売予定と発表されました。

それでは、MQA-CD対応 SACD/CDプレーヤー『 D-10X 』の特長を順に見てまいりましょう。

■ 新ドライブ・メカニズム「LxDTM-i」採用と新高剛性メカサポートシステム
「LxDTM-i」とは、Luxman original Disc Transport Mechanism-improveの略で、前作に当たる「D-08u」に採用されていたメカ「LxDTM」をimprove(改善)した新しいメカです。同社としては唯一のSACD対応機でもある『 D-10X 』は、最高精度の読取能力を誇る新たなSACD/CDメカを採用し、外来振動をリジットに遮断する堅牢なオリジナル・ドライブ・メカニズムを完成させたのです。

その改善点とは…

フロントパネルからリヤパネルにまで貫く、シャーシを兼務した8mm厚のアルミ製のサイドフレームで、メカ全体を挟み込んでいます。さらに5mm厚のスチール製パネルを天板に組み付ける頑丈なBOX構造をとっています。まさにシャーシとの一体構造の高剛性のメカニズムです。

そして、メカの取り付け方も、前作でのサイドフレームの内側にある金具に固定する方法から、シャーシを兼ねたサイドフレームに切り込みを入れることで、メカを強固に固定し、一体化を図っています。その結果、高精度で安定したディスクの読み取りを実現したのです。


本機は、あえてハイエンド機では一般的なセンターメカ構造を取らず、物量を投入した大規模なアナログ回路の容積を確保するためと、筐体内を流れる各種信号の流れ、さらには振動経路、重量バランスまでも考慮した結果、アシンメトリー(非対称)構成のレフトサイド・メカ・レイアウト(左側トレイ)を採用したのです。

また、防塵と静穏性を高めるため、ディスクトレイ部を専用設計のシーリングカバー付きダストプルーフ・シャッター機構としており、前作を継承しています。

■ 世界初搭載となる最新のROHM社製高音質オーディオ用DACを採用したデジタル回路
前作「D-08u」にはTI(テキサス・インスツルメンツ)社製PCM1792Aをデュアル構成(モノラルモード)で搭載していました。そして近年、多くのハイエンドデジタル機器には、カナダのESSテクノロジー社や日本の旭化成エレクトロニクス(AKM)のDACチップが多く使われており、中にはエソテリックやマランツのように自社でDACをディスクリートで組み上げるメーカーも登場してきました。


そんな中、ラックスマンは世界有数の半導体メーカーである、京都のROHM(ローム株式会社)のDAC「MUS-IC BD34301EKV」に白羽の矢を立てたのです。これは世界に先駆けての快挙です。そのスペックは、現時点での業界最高クラスを誇る低歪率(THD+N:-115dB)、低ノイズ(S/N比:130dB)というものです。

このDACを2個 L/R独立のモノラルモードで使用することで、S/N感がさらに向上し、音楽データに含まれる微細な空気感やニュアンスまでも克明に再現できたとしています。

USB入力では、i-Fiなどの一部を除けば最高のスペックであるPCMでは768kHz/32bit(「D-08u」は384kHz/32bit)、DSDでは22.4MHz(同 5.64MHz)を実現しており、将来にわたっても安心です。光:2系統、同軸:1系統のS/PDIFデジタル入力は、最大192kHz/24bitのPCMに対応しています。

そして何より、本機の最大の注目点は「MQA(MQA-CD/MQAファイル)」へのフルデコード対応です。MQAソフトの3種類のステイタス(スタジオ/オーセンティック/レンダラー)の全てに対応しており、それぞれ青/緑/赤紫の3色のLEDで明示してくれます。

デジタル機器で最重要なクロックには、発振周波数付近のノイズを低減する、高精度・低ジッターの新しい超低位相雑音のクロックモジュールを搭載。SACDやDSDファイルの再生時には、2モードのアナログFIRフィルターにより、好みの音質調整も可能です。

■ 増幅回路も第4世代の「ODNF-u」にバージョンアップ
ラックスマン独自の増幅回路である「ODNF」は1999年にカーオーディオ用のアンプ「CM-2100」に初搭載されて以来、常に改良を重ねてきた同社アンプの中核技術です。音楽成分はそのままに歪成分のみを検出しフィードバックすることで、S/Nに優れ躍動感にあふれる、みずみずしい音質を実現しています。これは同社アンプ群で実証済みです。

今回採用した第4世代となる「ODNF-u」は、パラレル駆動する歪検出アンプのインピーダンスをより低く抑えることで、歪検出の精度を極限まで向上させ、広帯域まで澄み渡り、純度が高くエネルギー感に満ちた新次元の音質を達成できたとしています。

通常使われる独立した急峻な出力フィルターではなく、ODNF回路内部での緩やかな(1次フィルターx3)帯域処理により、自然なアナログ波形が再現できたのです。

また、電源部には、ラックスマン伝統の大型の新電源トランス(約25%アップ)と各回路独立のレギュレーター+大容量ブロックコンデンサーで構成されたハイイナーシャ(高慣性)電源を搭載しています。


基板には、インダクタンス成分を持つレジスト(被膜)を排除することで高域のノイズ成分を減少させるピールコート基板を採用。基板の配線もゆるやかな曲線で構成する、こだわりのラウンド配線パターンとするなど、細部にも徹底的にメスを入れています。

■ その他の特長
アナログ出力には、硬度と銅の導電率を併せ持つ「高品質カッパーアロイRCA端子」と「ノイトリック社製XLR端子」を装備しています。

ディスプレイは、「ズームモード(ホールド可)」があり、視認性が高く老眼には有り難い機能です。

筐体は、磁界やアースインピーダンス、デジタルノイズ対策を施した「ループレス&シールドシャーシ」の複合構造とすることで、理想的な信号経路(読取⇒変換⇒出力)でのノイズと電源トランス(振動源)との最大乖離を実現しています。

USB入力では、通常のアイソクロナス転送に加え、話題の処理負荷の低減により高音質を実現する「4モードのBulk Pet転送」にも対応しており万全です。

微小レベルのデリケートな音楽信号を不要な振動から守る「グラデーション鋳鉄製レッグ」を装着しています。

独自のノンツイスト構造による3.5スクエアの高純度無酸素銅(OFC)芯線と金メッキプラグを採用した、フラグシップ専用リファレンス電源ケーブル「JPA-15000」を標準装備しています。

ブラスターホワイトとヘアラインが織りなす上品なコントラストが特徴的な外観は、フロントパネルとトップ及びサイドパネルとの間にくびれをつけることで、立体的でダイナミックな新しいデザインとなっています。

また本機は、ラックスマン オリジナルのシンプルで使い易い高音質音楽再生ソフト「LUXMAN Audio Player(HPよりダウンロード可能)」を使うことで、様々なフォーマットのファイル音源を再生でき、PCオーディオにも万全の対応です。勿論MQAエンコードされた音源にも対応しています。

■ ラックスマン『 D-10X 』を総括
確かに120万円(税別)は超ハイエンドデジタルプレーヤーです。しかしそこには、ラックスマンが誇るアナログ技術の粋を集めた、こだわりの回路設計があり、本機だけのために練り上げたSACD対応の最新のドライブ・メカニズムを搭載し、さらに今オーディオ界で最大の話題でもある「MQA-CD/MQAファイル」へのフル対応と、最高スペックを実現しています。

アナログオーディオを知り尽くしたラックスマンが、同社の持つあらゆるノウハウを投入して、ひたすらアナログを超えるサウンドのために本機を開発したのです。

MQA-CDから最高の音質を引き出せるラックスマン『 D-10X 』は、今後のハイエンドのデジタルオーディオ・シーンにおいて、ターニングポイントになるのは間違いと思います。
(あさやん)


今回ご紹介した LUXMAN『 D-10X 』はこちら