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[ 2020年 4月 28日付 ]

 最新エントリークラス「ブックシェルフ型スピーカー」5選

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、スタイリッシュなデザインに英国の伝統が息づく名門タンノイ「プラチナム」など、“いい音楽をいい音”でお聴きいただくための最新ブックシェルフ型スピーカー5機種を厳選しました。


現在オーディオ製品の中で最も充実しているジャンルは、何と言ってもスピーカーでしょう。中でもペア10万円前後のエントリークラスが最も充実しています。国産スピーカーはご承知の様に今ひとつ元気がないのですが、海外ブランド、特にヨーロッパ・ブランドのスピーカーが大人気で、百花繚乱、乱立状態で、完全に国産を駆逐してしまっているのが現状です。

それらヨーロッパ・ブランドの製品が人気なのは、国産がおしなべてサウンドがオーソドックスで無機的、デザインも無個性な製品が多いのに対して、サウンドは勿論、そのデザインも個性的で、しかも国産に比べてもかなり割安感があるのが大きな理由だと思います。

私としては、これからオーディオを始めようとされるヘッドホン卒業生や、もう一度オーディオを始めようとお考えのシニア層で、かつてのオーディオファンや音楽ファンに、今回ご紹介しますスピーカーを使って、ぜひ豊かなオーディオライフを楽しんでいただきたいと思っています。

■ 名門タンノイのスタイリッシュなデザインのスピーカー”プラチナム”

TANNOY「PLATINUM-B6」

ツィーターは、重圧なアルミ削り出しのウェーブガイドに組み込まれた新開発の25mmのユニットで、英国らしい伝統的なシルクドームを採用しています。今でこそ過渡特性重視でメタルドームが多く使われていますが、数十年前の英国製スピーカーはソフトドームが一般的でした。特にボーカルやストリングスに威力を発揮しました。

ウーファーは、本機専用の紙と複合素材の165mmのカスタム仕様。クロスオーバーを 2.5kHzと設定していることから、かなりワイドレンジで使われており、このクラスとしては異例なレアアース(Nd-Fe-B)の高磁力マグネットにより、ハイスピードで原音に忠実な低域を再現します。

エンクロージャーにも手抜きはなく、適所に内部ブレーシング(添木加工)を行うことで不要な振動を抑え、サウンドへのカラーレーションを抑制しています。バスレフポートはリアに設置されており、ウーファーとの干渉もなく、素直で豊かな低音を引き出します。スピーカー端子はバナナプラグ・Yラグに対応。24K金メッキ仕上げの大型で、極太の高級ケーブルも十分に接続できます。

仕上げはインテリアに調和する高品位なもので、全体はサテンフィニッシュの艶消し、ベース部はタンノイらしい木目調(ローズ)のツートンです。本機は通常のサランネットではなく、キャビネットに被せてジッパーで固定するジッパークロスグリルを採用。グリルのフレームがなく、音質の劣化を最小限に抑えたお洒落なデザインです。

サウンドは、かつての同社「マーキュリー」を上品にして、バランスの良い上質で聴き疲れのない穏やかな音色です。スタイリッシュでありつつ、タンノイの伝統と格式がしっかりと息づいた、まさに”プラチナム”です。

■ 人気のエラック『 Dedutシリーズ 』をベースにしたスペシャルモデル

ELAC「DEBUT-REF-DBR62」

『 デビュー・シリーズ 』は、著名なスピーカーエンジニアであるアンドリュー・ジョーンズ氏が、エラックブランドとして初めて手掛けたエントリーラインのシリーズです。本機「DBR62」は、同社としてはユニークでレトロな外観、屈託なく気持ちよく鳴るチューンを加えた、日本未発売の2ウェイ・ブックシェルフ「Debut B6.2」をベースにしたスペシャルモデルです。

ツィーターは25mmのクロスドームで、上級ラインのVELAシリーズで採用されているウェーブ・ガイドをツィーター周りに装着しています。物理的にドライバー・ユニットの高周波レスポンスを向上させ、歪みの少ない放射特性に優れたクリアな高音域が再現されます。

ウーファーには165mmアラミドファイバー・コーンウーファーを採用。これはオリジナルの「Debut B6.2」と同じ振動板ですが、フレームを剛性の高いアルミ・ダイキャスト製の新しいタイプとしており、ユニットが発する振動を抑えることで、バッフル強度を向上させています。

ウォールナット仕上げのエンクロージャーは、トップとサイドのパネルのジョイント方法を変更し、強度を大幅に向上させ、振動を大きく低減させたことで、低音の解像度は確実に上がっています。Debutシリーズの直線的なエッジとは違い、丸みを帯びたエッジにしたことは、『 Debut Reference 』の個性にもなっています。

サランネットは個性的なグレーで、柔らかで落ち着いたイメージを醸し出しています。マグネット装着タイプなので本体にダボを差し込む穴がなく、フロント・バッフルはすっきりとしたデザインになっています。

ウェーブ・ガイドのお陰で上質で滑らかな高域を実現。一方でウーファーとエンクロージャーが強化されたことで、曖昧さのない明確な中低域も実現しています。従来の『 デビュー・シリーズ 』の生々しさや軽快なサウンドを受け継ぎながら、より幅広い音楽に適する、刺激感のない穏やかさも併せ持っています。

■ Qアコースティクス『 3000iシリーズ 』に追加された、2ウェイブックシェルフ

Q Acoustics「3030i」

Qアコースティックス『 3000iシリーズ 』の「3010i」「3020i」と「3050i」の間に追加された、2ウェイブックシェルフです。ウォルナット、ブラック、ホワイトの3色からお選びいただけます。

本機は、トールボーイ型の「3050i」の165mmウーファーをそのまま採用。新たにエンクロージャーサイズへの最適化を考慮して、ボイスコイルを銅被覆アルミニウム巻線へ変更したことで、小型ブックシェルフでありながら、46Hzの低い周波数の再生を可能としています。

22mmツイーターは上位機「3050i」同様、バッフルからサスペンションシステムを介して切り離されており、ウーファーからの干渉を減少させています。これにより伸びやかな高域再生を実現できたのです。

また、スピーカー内部の強度を高め、筐体振動による歪みを低減させる「Point-to-Point(P2P)」を採用。加えて『 3000iシリーズ 』の他のブックシェルフに比べて内部容積が増大したことにより、コンパクトサイズながらパワフルかつ音楽性豊かなサウンドを獲得したのです。価格は安くコストパフォーマンスは抜群です。

■ フォーカル『 CHORAシリーズ 』の2ウェイブックシェルフ

FOCAL「CHORA-806」

フォーカル『 CHORA(コーラ)シリーズ 』の2ウェイブックシェルフです。ブラック、ダークオーク、ライトオークの3色展開です。

165mmの”ストレートファイバー”ウーファーと”インバーテッドドーム”ツィーターを搭載した2ウェイバスレフ型ブックシェルフで、クロスオーバー周波数は 3kHz、インピーダンスは最近珍しい 8Ωで、シングルワイヤー接続と使いやすいスピーカーです。

滑らかな中高域で、濁りや引っ掛かりを全く感じさせないヌケの良さが特長です。一方、低域もブックシェルとは思えない厚みがあり、付帯音を全く感じさせず、表現力はしっかりしています。決して解像度だけを狙った音作りではなく、音楽が重くならず、ソース本来のバランスに上手くまとめています。

■ ワーフェデール『 EVO4シリーズ 』のベースモデル

Wharfedale「EVO4.1」

ワーフェデール『 EVO4シリーズ 』のベースモデルとなる2ウェイブックシェルフです。ウォールナットとブラックアッシュ仕上げの2色あります。

何と言っても、シリーズ上位機と同じツィーター”AMT”をこのクラスに搭載していることが画期的です。30×60mmのプリーツ状のダイヤフラムを採用しており、圧倒的な低歪み・高S/Nを実現できたのです。特に超高域の繊細な情報を正確に再現し、滑らかで明確な高域再生を実現しています。

ウーファーは130mmのケブラーコーンを採用。 リアバスレフではなく、バスレフポートがエンクロージャー底面にあるスロット分散ポートシステムにより、低域レスポンスの向上と歪みの低減を実現。背面の壁などの影響を受けずに設置できるのも大きなメリットです。

AMTならではのヌケの良い控えめな高域と落ち着いた低域。小型の割には安心感あるオーソドックスなブリティッシュサウンドのスピーカーです。

■ 最後に…
これら最新エントリークラス・ブックシェルフスピーカー5機種は、いずれも国産スピーカーにはない個性豊かなスピーカー達です。お好きな音楽を、お手頃なヨーロッパ・ブランドのスピーカーでぜひ聴いてみてください。

きっときっとオーディオが、音楽が、もっともっと楽しくなります。

(あさやん)


 今回ご紹介した『 ブックシェルフ型スピーカー 』はこちら