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[ 2020年 5月 26日付 ]

 クアドラル注目のトールボーイスピーカー『 ORKAN 9 』登場!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、ドイツが誇る「QUADRAL(クアドラル)」から発売された注目のトールボーイスピーカー『 ORKAN 9 』をピックアップ。
某有名オーディオ専門店のご厚意で試聴も叶いました。詳しく見てまいりましょう。



■ ドイツが誇るスピーカーメーカー「QUADRAL(クアドラル)」とは?
ドイツのスピーカーと言えば、古くは「SIEMENS(ジーメンス、シーメンスとも)」や「BRAUN(ブラウン)」、近年では「エラック」や「オーディオフィジック」、プロ用では「アダム」や「ムジーク」等が有名です。

そんな激戦国ドイツの老舗スピーカーブランドが「クアドラル」です。「クアドラル」は、ハンス・ディッター・ホフマン氏によって、1972年ドイツの商工業の中心であり、歴史的にも知られるハノーバーに設立されました。

創業者であるホフマン氏はベルリンに生まれ、大学卒業後、自ら音響機器を創造する熱い情熱を抑えきれず、その分野のスペシャリストを募り、少人数のチームでスピーカーシステムの開発をスタートさせました。

その後、ドイツでのマイスターの称号を持つルードビッヒ・リステマン氏が開発チームに加わり、強力なメンバーを得て「クアドラル」は数々の名器を生み出してきたのです。

初代「TITAN(1981年)」は、ドイツの権威あるオーディオ誌「ステレオプレイ」において高い評価を受け、リファレンススピーカーとして認められました。

その後30年以上に渡り、改良を重ねる毎にリファレンススピーカーの称号を与えられ続け、そのテクノロジーを踏襲したファミリーシリーズを含め、現在ではドイツ国内でのスピーカーの基準ブランドの地位を確立しています。

初代「TITAN」は、ドイツの音楽家である「バッハ」「ベートーヴェン」「ワーグナー」の雄大なフルオーケストラを再生するにあたり、周波数特性がフラットで、十分に伸びた高域と低域を実現したモデルでした。

その「TITAN」が現在9世代目の「AURUM TITAN 9」となり、その”AURUM 9シリーズ”のトールボーイ型 5機種の末弟に当たるのが、今回ご紹介します『 AURUM ORKAN 9 』です。

因みにシリーズ名の「AURUM(オーラム)」はラテン語で「金(元素記号:Au)」のこと、型番の「ORKAN(オルカン)」は「ハリケーン(台風)」を意味します。

■ リボン・ツイーター

3ウェイ・4スピーカー『 ORKAN 9 』の特長は、何と言っても上位機と同じツイーターを採用していることです。その最大のトピックは、新開発された独自の革命的な技術”quSENSE(キューセンス)”によるリボン・ツイーターです。

従来のユニットよりも垂直方向を短く、水平方向の幅を拡げたことで、過渡特性と指向性を確実にコントロールできるのだと言います。ミッドレンジと近接配置できる形状により、スムーズな繋がりを狙っています。

レスポンスは、3kHzから65kHzまで超低歪みを実現。この結果、ハイレゾコンテンツのみならず、あらゆるコンテンツの楽器や声を魅惑的で質感高く再生するとともに、奥行きのある空間再現力を実現できたとしています。さらにはリボン型ユニットの課題とされてきた機械的な強度も飛躍的に向上することに成功したのです。

この『 ORKAN 9 』の音質を大きく支配しているクアドラルのリボン・ツイーターは、前述の「TITAN」の第2世代目以降はずっとオリジナルのリボンを使っており、現在に至るまで進化し続けています。

■ ミッドレンジ&ウーファー

15.5cmミッドレンジと、18cm×2ウーファーの素材は、いずれも独自の複合素材”ALTIMA(アルティマ)”で、今回全面刷新されました。

アルミニウムをベースにチタンを僅かに混ぜ、マグネシウムを表面コーティングしたもので、単独金属では不可避な固有の分割振動を抑え、高い強度と軽さの両立を実現。これにより”quSENSE”によるリボンの音楽再現力と音響特性に合わせた、ハイスピードなレスポンスが達成できたのです。

さらに、ユニットからの音を遮るダストキャップ(センターキャップ)のないコンケーブ形状として放射特性を改善。ダストキャップを装着するための接着剤など異なる素材を徹底排除することで極限まで歪みをなくし、より繊細でダイナミックな音の再現力を大幅に向上させたのです。

また、気流ロスを最小化するために、頑丈なアルミダイキャスト製のフレームを新開発。ボイスコイルも従来機より大型化しています。そしてすべてのドライバーのポールコアに銅キャップを被せることで、高調波歪と混変調歪を大幅に軽減させたのです。

■ エンクロージャーと構造
高さ約1m、幅22cmとスリムで、少し後方に傾斜しています。これも同社のスピーカーに共通した特徴で、リスニングポイントでのタイムアラインメント(音が耳に到達する時間)を整えています。支柱と隔壁による構造で強度を高めるとともに、ユニット間の音響的な干渉による影響も極小化しています。

フロントの両サイドをカットしたデザインは特徴的です。本体と台座の間にインシュレーターを挟んだ構造で、このままでも直接床に設置できます(お部屋や床の条件によります)。


リアバスレフ構造のエンクロージャーでシングルワイヤリング仕様。端子は高級感のあるオリジナルでしっかりしており、アルミ製のプレートに取付けられています。

仕上げはハイグロスブラックのみです。”AURUM 9シリーズ”の他のトールボーイ4機種はウーファー前面が特徴的で好き嫌いも出そうですが、本機は落ち着いたオーソドックスなデザインに仕上がっています。

■ 試聴しました

試聴機器:Accuphase「DP-750」→同「E-800」→『 AURUM ORKAN 9 』

フルオーケストラでは、低音楽器の解像度が素晴らしく、決して膨らみ過ぎることなくドッシリとしたパワフルな低域でした。弦は実に伸びやかでしなやか、音量を上げても高域のうるささは全く感じませんでした。

ボーカルは口が小さくリアルで、声が濃密で生々しく、唇の湿気まで感じられました。特に私のリファレンスCDのジェニファー・ウォーズの声はグラマラスで艶っぽく抜群でした。

パイプオルガンは大音量でも全く崩れることなく、重低音は深く沈み込み、超高域の繊細感はやはりリボン・ツイーターの威力と感じました。スケール感は半端ではありませんでした。

ダブルウーファーのタップリとした低域、リボンならではの滑らかでしなやかな高域、ウーファーとリボンを音色的に上手く繋げる中域。ユニットが高域から低域までアルミ系の振動板で統一された結果、非常にナチュラルで金属っぽい癖は微塵も感じられませんでした。

『 AURUM ORKAN 9 』は、比較的広いお部屋で、クラッシックのフルオーケストラを大音量で楽しみたくなる”本場ドイツ”の魅力的なスピーカーです。

(あさやん)


 今回ご紹介した、クアドラル『 ORKAN 9 』はこちら

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