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[ 2020年 6月 2日付 ]

 ヤマハの新フラッグシップ・プリメイン『 A-S3200 』のポテンシャルを探る!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、フラッグシップ"HiFi5000シリーズ"の技術と思想を継承する、ヤマハのプリメインアンプの新製品をピックアップ。


最上位機『 A-S3200 』のほか、『 A-S2200 』『 A-S1200 』を詳しく見てまいりましょう。

■ ヤマハのプリメインアンプについて
ヤマハがピュアオーディオに本格参入したのが、今から約半世紀前の1973年発売のプリメインアンプ「CA-1000」からです。A級/B級動作切換式のパワーアンプを搭載し、シルバーパネルに淡いスプルース調のウッドケースに収まった斬新なデザインのプリメインで、その後の日本のオーディオシーンに多大な影響を与えた、エポックメイキングな製品でもありました。

ヤマハは、その後1980年代まではプリメインをはじめプリアンプ、パワーアンプでヒット作を連発し、一世を風靡したのでした。しかし、1986年世界初のデジタル・サウンドフィールド・プロセッサー「DSP-1」を発表し、にわかに雲行きが怪しくなって来たのでした。そして90年代以降、ピーク時には半年単位でおびただしい機種のAVアンプを出し続け、AVサラウンドブームを牽引したのでした。

そんなヤマハが、約20年ぶりに本格的なプリメイン市場に再参入したのが2007年発売の「A-S2000」からで、2008年下位機の「A-S1000」、2013年上位機の「A-S3000」を発売。再び人気を取り戻し、ピュアオーディオ市場での地位を確固たるものにしたのでした。2014年「A-S3000」の成果を反映させてグレードアップした「A-S2100」、さらに2015年に「A-S1100」と順調に進化&深化してきたのです。

そして2018年12月、遂に長い沈黙を破ってフラッグシップ"HiFi5000シリーズ"のセパレートアンプ『 C-5000 』『 M-5000 』を発売。ヤマハのオーディオ技術の集大成として、またアキュフェーズ、ラックスマン、エソテリックなどに続く、本格的国産ハイエンドオーディオの世界に完全復活を遂げたのでした。

ヤマハのサウンドコンセプトは、フラッグシップ"HiFi5000シリーズ"の技術と思想を継承しており、

 (1)"GROOVE"〜演奏者と相対しているような、音楽がここにあるという実感
 (2)"OPENNESS"〜小さな音でも遠くまで届ける、抜けの良い音の開放感
 (3)"EMOTION"〜演奏者の身体で表現される深い情感表現
 (4)"DESIGN"〜持つ歓び、使う歓びを満たす高品位な質感

というもので、これらを具現化すべく、楽器ブランド"ヤマハ"ならではの音楽表現を、今回ご紹介する新製品『 A-S3200 』『 A-S2200 』『 A-S1200 』では追求したのだとしています。

■ 『 A-S3200 』シャーシレイアウト

メカニカルグラウンド・コンセプト

前述のパワーアンプ「M-5000」で採用された機構的な接地方法で、電源トランスやブロックケミコンなど振動を伴う大型重量パーツを、左右完全対称に配置した理想的なシャーシレイアウトを採用。

左右の重量バランスを完全な均衡に保つことを設計基本として、シャーシ機構やパーツの搭載位置を決定。さらにベースフレームに溶接されたボルトに直接レッグを装着しています。

このように重量物を機構的に接地させ、圧倒的な安定化を図ることで、振動による音声信号への悪影響を徹底排除したのです。

■ 『 A-S3200 』のレッグ

真鍮削り出し特殊構造レッグ

これもセパレートアンプ「C-5000」「M-5000」の為に開発された特殊構造のレッグです。スパイクを内蔵することで通常設置でもラックなどをキズつけることなく、ピンポイント支持効果が得られるレッグです。

余分な振動を排除することで、実在感あふれる空間描写力と豊かな低音を目指したのです。

■ 『 A-S3200 』ローインピーダンス設計

ローインピーダンス

パワーアンプ部に50μm厚の銅箔を使用することで、電気回路内のローインピーダンス化を図っています。さらにスピーカーターミナルへの内部配線にはPC-Triple Cを採用し、全帯域にわたり情報量豊かで滑らかな音質を目指したのです。

大電流経路の基板間や22,000μFの大容量ブロックケミコンの配線は、非磁性で導電性に優れ、かつ安定した接続ができる「真鍮製ネジ」で固定しています。

■ 『 A-S3200 』フローティング&バランス・パワーアンプ
「A-S2000」以来同社のHiFiアンプに採用している、ヤマハの特許技術「フローティング&バランス・パワーアンプ」を本機にも搭載しています。

出力段の左右チャンネルに同一極性のMOS-FETを採用し、それぞれの+側と−側、計4組の電力増幅回路をフローティングすることで、プッシュプル動作の完全対称化と、全回路をグラウンドから完全に独立させることができ、微細な電圧変動やグラウンドを巡る外来ノイズの影響も徹底的に排除できたのです。

■ 『 A-S3200 』充実の構成パーツ

(1)大容量トロイダル電源トランス
電源トランスには、磁束漏洩が少なく、電力変換効率、電源レギュレーションに優れたトロイダル型を搭載。内部巻き線をそのままダイレクトに引き出し、ラグ端子で回路と直接接続することで低インピーダンス化を図っています。さらにトランス底面とインナーシャーシの間には3mm厚の真鍮製ベースプレートを挟み込み、トランスの振動もコントロールしています。

(2)大型レベルメーター
VU/ピークの切り替え表示とディマーが可能な高精度レベルメーターを装備。8mm厚のクリスタルガラス製メーターウィンドウと電球色で柔らかな雰囲気を意識したLEDライトが、メーターの動きを美しく演出します。

(3)フォノイコライザー
ハイゲインのフォノイコライザーではなく、本格的なMCヘッドアンプ付きディスクリート構成のフォノイコライザーを搭載しています。

■ その他『 A-S3200 』主な機能&仕様
・無垢の真鍮から削り出したオリジナルデザインの大型スクリュータイプのスピーカー端子
・高級感あるアルミ削り出し加工のボリュームノブやスイッチ類
・ヤマハのグランドピアノと同じ塗装・研磨工程を経て製作される美しいピアノブラック仕上げのサイドパネル
・入力端子はXLR:2系統、RCA:6系統(PHONO、MAIN IN含む)、スピーカー端子はA/B系統
・定格出力が100W+100W/8Ω(150W+150W/4Ω)、最大出力は130W+130W/8Ω(210W+210W/4Ω)、ダンピングファクターは250以上

続いて、同時発表された『 A-S2200 』と『 A-S1200 』を『 A-S3200 』との違いを中心に見てまいります。

■ 『 A-S2200 』の特徴
大容量トロイダルトランス搭載やPC-Triple Cの内部配線など、『 A-S3200 』とほぼ同様の仕様になっています。ただ、レッグが真鍮削り出しになっていることや、定格出力が90W+90W/8Ω、最大出力は120W+120W/8Ωと少し抑えたこと、そしてバランス入力が1系統になっている位で、スペックには数字上ほとんど違いは見られません。

細かくはシャーシの銅メッキを省いたり、フロントのレベルメーターが若干小さくなったこと、そして重量が2kg軽い22.7kgとなったことです。これらから、プリ部は上位機とほぼ共通で、パワー部に若干差を付けているようですが、正直この価格差29万円は大きいと感じました。情報量豊かで滑らかな音質は共通です。

■ 『 A-S1200 』の特徴
本機にも大容量トロイダルトランスを搭載、「メカニカルグラウンド・コンセプト」やローインピーダンス設計、MOS-FETによる「フローティング&バランス・パワーアンプ」など、主なフィーチャーは全て継承しています。ただ、バランス入力はなく、RCA入力専用設計とし、レッグを「シルバーメッキの鉄製削り出し」とするなど、最小限の簡略化は見られます。

定格出力が90W+90W/8Ω、最大出力は120W+120W/8Ωと『 A-S2200 』と同じで、重量は22.0kgと僅か700gの差しかありません。上位機並の無理なくスピーカーを鳴らしきるドライブ力、一体型の魅力を凝縮した高品位プリメインアンプです。お買い得感は抜群です。

全モデルに共通したアルミフェイスのリモコンが付属しており、シルバーパネルにピアノブラック仕上げのサイドパネルで高級感が溢れています。さらに自信の証である5年間のメーカー保証が付いており安心です。

■ まとめ
このようにフラッグシップ"HiFi5000シリーズ"の技術と思想を継承して、一体型プリメインアンプに凝縮した『 A-S3200 』『 A-S2200 』『 A-S1200 』は、それぞれの価格帯で最大のポテンシャルを引き出すべく設計し、それらを具現化した注目のプリメインです。オーディオファイルのみならず、楽器ブランド"ヤマハ"のサウンドが音楽ファンを釘付けにしそうです。
(あさやん)


今回ご紹介した ヤマハ『 プリメインアンプ 』新製品はこちら