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[ 2020年 7月 28日付 ]

 マッキントッシュ 真空管ハイブリッド・プリメイン『 MA352 』の魅力を探る

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
本日は、リーズナブルな価格とマッキントッシュ初のハイブリッド・プリメインということで、世界的なヒットを記録した「MA252」の上位モデル『 MA352 』をピックアップ。


予定よりかなり遅れましたが、遂に輸入が開始されました。早速その魅力を詳しくレポートしてまいります。

■ 「MA252」と比較しながら、新作『 MA352 』をチェック
『 MA352 』は「MA252」と同じく、管球式のプリ部とソリッドステートのパワー部で構成されていますが、横幅:305mm → 445mm、高さ:194mm → 251mm、奥行:419mm → 443mm、重量:12.7kg → 29.9kgとかなり大型・重量化されています。そしてパワーも100W+100W(8Ω)から200W+200W(8Ω)と2倍になっています。

2017年に発売された「MA252」は、どことなく銘機「MC275」を彷彿とさせる独特のデザインであり、しかもマッキントッシュの真空管搭載のプリメインアンプが50万円(税別)を切る価格ということで人気を集めたのでした。

新作『 MA352 』の外観は、横幅が他のオーディオコンポーネントとほぼ同じフルサイズ(19インチ)となり、しかも本体後部のケース部分には、マッキントッシュのトレードマークとも言えるブルーの大型パワーメーターが装備されています。

回路的には、プリアンプ部は「MA252」と同様、双3極管の12AX7aと12AT7を各2本使用しており、ボリューム、セレクター、グライコで構成されています。

「MA252」ではBass/Trebleのみのトーンコントロールでしたが、『 MA352 』ではマッキントッシュのハイエンド機同様、本格的な5バンドのグライコまで装備されています。5バンドは(30Hz, 125Hz, 500Hz, 2kHz、10kHz)で、各周波数は±12dBの範囲で増減可能です。また各入力でグライコのON/OFFを設定できます。
入力端子はRCAが3系統(「MA252」は2系統)、バランスが2系統(同1系統)、RCAプリ出力が1系統、そしてMMカートリッジ対応のフォノ入力まで装備しています。

フォノイコライザーには、誤差の少ない抵抗やコンデンサーが採用されており、極めてフラットな周波数レスポンスを達成し、ノイズや歪みも最小限に抑えられたのです。

パワーアンプ部の出力段は、ダイレクトカップルド構成のソリッドステート設計としており、出力素子には5ピンのバイポーラー・トランジスターであるオン・セミコンダクター社の「ThermalTrak」出力トランジスターを採用しています。

このトランジスターは、温度検出用ダイオードを内蔵しており、5ピンの内2本のピンはダイオードの出力として機能し、温度変化によって電流量が変化するトランジスターの特性を、リアルタイムに検知し、バイアス値を補正するというものです。なお、一般的な3ピンのトランジスターでは、ヒートシンクに外付けの温度補正デバイスが別途必要になります。

これによりトランジスターのバイアス電流の安定性が高まり、マッキントシュ伝統の出力トランス(オートフォーマー)に匹敵する安定性を確保できたのです。

さらに、大型の電源トランスと60ジュール(W・秒)ものエネルギーを蓄えられるフィルターコンデンサ―による大電流供給能力とレギュレーテッド(安定化)電源回路により、ACラインの電圧変動やノイズからも解放され、安定性が向上しています。

出力は前述のように200W×2(8Ω)を確保。マッキントッシュ独自のテクノロジーとプロテクション機能(パワーガード、セントリーモニター、パワーコントロール)を搭載。安全性は抜群です。
外装は、マッキントッシュ伝統の鏡面仕上げのステンレス・スティール・シャーシを採用。両サイドにあるアルミダイキャスト製の”McIntosh352”のバッジは、「MA252」同様、銘機「MC275」をイメージさせます。


”Mc”ロゴをあしらった新しいデザインのマッキントッシュ・モノグラム・ヒートシンク(McIntosh Monogrammed Heatsinks)を採用しており、放熱効率を大きく高めています。また、高電流出力トランジスタをこのヒートシンクに搭載することで、ウォームアップ時間を最小限に抑えています。

そしてマッキントッシュ・アンプの象徴でもあるフロントパネルのイルミネーションには、照明を均一にするため、広角LEDを使用しています。従来の同社製品では、ファイバー光拡散器(数十本の細い光ファイバーケーブルで分散)とLEDを使用していました。もっと以前は小型の電球(麦球)が使われており、切れると大変だったことが思い出されます。

スピーカー端子は1系統ですが、特許取得済みの金メッキ出力端子が採用されており、大電流にも信号ロスを限りなく抑え、純度の高い信号伝送を実現しています。

少々の事ではビクともしない定評のある保護回路を備え、5バンドグライコを使ってのスピーカーやお部屋とのベストマッチングも可能な、安心・安全、そして多機能を具現化。その上でマッキントッシュ伝統のデザインを絶妙にアレンジした素晴らしい外観の『 MA352 』です。

■ サウンドは?
サウンドはズバリ「マッキントッシュ・サウンド」そのものです。出力トランス(オートフォーマー)非搭載にもかかわらず、マッキントッシュ伝統の、全域にわたって線が太く、ドッシリして落ち着きと余裕を感じさせる低音、彩りが豊かでリッチな中高音は、明らかに「陰」ではなく「陽」です。こんな開放的なサウンドを待ち望まれていた方も多いのではないでしょうか。

ここ最近、余りにもS/Nや歪率ばかりにこだわってきたハイエンドオーディオ・シーンに、「こんな方向性の音のオーディオがあっても…」と、新たな指針を示す様ような、そんな大らかで息苦しさや湿っぽさを微塵も感じさせないサウンド「マッキントッシュ・サウンド」は、多くの音楽ファンを魅了することでしょう。

マッキントッシュファン待望のハイブリッド・プリメインアンプ『 A352 』です。

(あさやん)


 今回ご紹介した マッキントッシュ『 MA352 』はこちら