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[ 2020年 9月 15日付 ]

 marantz ラグジュアリーデザインのグローバルモデル ネットワークSACDプレーヤー『 SACD 30n 』、プリメインアンプ『 MODEL 30 』デビュー!【 後編 】

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
先週の【 前編 】に続いて、マランツから新登場のプリメインアンプ『 MODEL 30 』をご紹介します。

従来の型番ならプリメインアンプの頭は「PM」ですが、今回「MODEL7」に因んで?『 MODEL 』となっていることからも、マランツのこの製品に対する意気込みが伺えます。


マランツと言えば、今年(2020年)の初めにプリメインアンプ「PM12 OSE」(35万円/税別)を出したばかりなのに、それらより8万円(税別)も安い『 MODEL 30 』を立て続けに発売していることに疑問を持ち、マランツの担当者に質問してみました。答えは「前者は日本専用モデルであり、後者は世界を相手にしたグローバルモデルであるから、開発の経緯は違うのだ」とのことでした。

それでは、【 後編 】としてプリメインアンプ『 MODEL 30 』を「SA12 OSE」との違いを含め、詳しく見てまいりましょう。

■ プリメインアンプ『 MODEL 30』

『 SACD 30n 』と同様、デザインは非常に印象的なものです。「MODEL7」から続くマランツ伝統の左右対称デザイン、「MODEL9」をイメージさせるポートホール(船の丸窓)のようなディスプレイなど、現代的な解釈により生み出されたデザインです。これは2004年発売の「PM-11S1」から16年続いてきたマランツの従来デザインから脱却した、実にエレガントで現代的なデザインです。


『 MODLL7 』

『 MODEL9 』

ネットワークSACDプレーヤー『 SACD 30n 』と同様、中心部のアルミパネルが浮き上がって見える斬新さ、外側のパネルがライトによって照らされることによって織りなす陰影のなんと美しいことか・・・。従来の国産のオーディオ機器には見られないデザインです。ヨーロッパのデザイナーのセンスの良さが顔に表れた、思わず使ってみたくなるような優れたデザインだと思います。


【 筐体 】


『 MODEL30 』内部

従来機からの大幅なデザイン変更に伴って筐体設計も根本的に見直されています。シャーシには12シリーズと同じ厚みの綱板を採用。サイドカバーにはアルミの最厚部が5.7mmの高剛性なアルミパネルを採用。こちらは12シリーズよりも強化されており、よりしっかりした筐体になっています。さらにインシュレーターやトランスの固定にも、特に太いネジを使い上位機に匹敵する堅牢さを実現しています。



【 プリアンプ部 】


『 MODEL30 』のプリ部(ボカシ部分)
(左:従来アンプ 右:MODEL30)

本機が通常のプリメインアンプと大きく違うのは、そのプリアンプ部分のシャーシ全体に占める専有スペースの大きさです。それが可能になったのは、本機がパワーアンプにスイッチングアンプを採用しているためです。

従来のアナログアンプでは、パワーアンプ回路やヒートシンクに大きなスペースを割かざるを得なかったのですが、本機はセパレートアンプ並のプリアンプ部が確保できたのです。その結果、余裕のあるレイアウトや大きなパーツの選定などが可能となり、音質を最優先した回路設計が可能になったようです。

回路的には、マランツ独自の高速アンプモジュール「HDAM-SA3」を用いた電流帰還型アンプに、JFET入力を採用し、DCサーボを用いることでカップリングコンデンサ−を排除し、解像度や透明度に貢献できたとしています。

また、従来の4倍の電流供給能力をもつプリアンプ専用の電源回路を持っており、パワーアンプの消費電力の変動の影響を受けない安定供給を可能としています。

その電源にはOFC巻線による大型トロイダルトランスを搭載。外周には珪素綱板とスチールケースによる2重シールドを施し、漏洩磁束が繊細なプリ部に影響を与えない対策も万全です。

整流回路には、超低リーク電流ショットキーバリアダイオード(損失が少なく高速スイッチングが可能)を採用。平滑コンデンサーにはエルナー製のカスタムコンデンサー(6800μF/35V)を採用して、ハイスピードな電源供給を可能にしています。

ボリューム回路には、同社初となるJRC製高性能電子ボリュームコントロールIC「MUSES 72323」を採用。機械式では避けられない左右chのクロストークや音量差を排除でき、空間表現力が向上したとのことです。加速度検出システムによって、ゆっくり回すと0.5dBステップ、早く回すと素早く音量調整ができます。従来機に比べフィーリングが明らかに改善されていました。


【 パワーアンプ部 】


『 MODEL30 』モジュール

前述のプリアンプのスペース確保に貢献したと言われるスイッチングアンプには、「PM-10」「PM-12」に使われているのと同じオランダ Hypex社製 CLASS-Dパワーアンプモジュール「NCoreNC500」を2基搭載。これにより電力効率が高く、薄型筐体にもかかわらずハイパワー 200W+200W(4Ω)を実現しています。スピーカーのインピーダンスにかかわらず周波数特性が変化しないという優れた性能のモジュールです。

パワーアンプ用には独立した専用スイッチング電源を搭載。また、リレーを用いない保護回路を採用しており、モジュールをリアパネルのスピーカーへの出力基板に直接取付けることで、信号経路が約10mmに短縮でき、接点数も半減したとしています。その結果、ダンピングファクター:500を実現し、スピーカー駆動力が大幅に向上しています。



【 フォノイコライザー部 】

MC型/MM型両方式のカートリッジに対応した本格的なフォノイコを搭載。構成は、20dBのゲインを持つMCヘッドアンプと40dBのゲインを持つ無帰還型フォノイコライザーによる2段構成で、1段当たりのゲインを抑えることで低歪みを実現しています。信号経路は全てディスクリート回路で構成し、微細なフォノ信号の純度を維持します。また、MCカートリッジのインピーダンスを3段階(33Ω/100Ω/390Ω)に切り替え可能で、オルトフォンタイプにも対応しています。



【 その他充実の仕様 】

  • 1.リスニングテストにより厳選されたコンデンサーや抵抗など高音質パーツを採用。
  • 2.熟練工が一つ一つ手作業で切削加工した純銅製スピーカーターミナルや、真鍮削り出し+金メッキのピンジャックを採用。
  • 3.中央の丸形ディスプレイには視認性に優れたフルドット式の有機ELを採用。

■ まとめ

『 MODEL 30 』は、そのラグジュアリーなデザインの中に、セパレートアンプ並のプリ部と上位機と同じHypex社の「NCoreNC500」を搭載し、薄型筐体とはアンマッチなハイパワー 200W+200W(4Ω)を叩き出します。

プリメインで最も大きく音質を左右するプリ部のスペース的な余裕や電流供給能力の高い専用電源は、間違いなく音質に好影響を与え、こぢんまりとした箱庭的なサウンドではなく、大らかで実物大のサウンドを再現してくれます。


『 MODEL 30 』+『 SACD 30n 』

『 SACD 30n 』とのサウンドは、最近の同社アンプで感じるS/Nの良さから来る静けさです。透明度が非常に高く見通しが良く、音場が広くスケールも大きく感じます。このあたりはプリ部の電源の余裕だと思います。

また、パワーの余裕や高ダンピングファクターは試聴で使用したB&W「805D3」から生き生きとしたサウンドを引き出し、ブックシェルとは思えない余裕を感じさせてくれました。

ボーカルは実に滑らかでヌケが良く伸びやかに歌いました。オーケストラではパワーを入れても全く破綻せず、低音は力強く、かつ深く沈み込み、歯切れの良さが魅力的でした。

『 MODEL 30 』は、高音質と余裕のパワーを兼ね備えた上で、価格的には「PM12 OSE」を下回る価格を実現しており、これこそグローバルモデルであることが可能にしたのです。しかも国内生産(白河工場製)という信頼性も抜群です。今年(2020年)後半、注目のハイC/Pの実力機です。
(あさやん)


 マランツ プリメインアンプ『 MODEL30/FN 』はこちら