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[ 2020年 10月 13日付 ]

 DENON 110周年記念モデル『 PMA-A110 』『 DCD-A110 』『 DL-A110 』誕生!
【 後編 】Ultra AL32 Pricessing 搭載 SACDプレーヤー『 DCD-A110 』と、シェル付きMCカートリッジ『 DL-A110 』

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。

今回は、前回に引き続き、日本最古のオーディオメーカー「デノン」から発売された、110周年記念モデルのSACDプレーヤー『 DCD-A110 』と、専用ヘッドシェル付きMCカートリッジ『 DL-A110 』のご紹介です。


創業は1910年「日本蓄音機商会」、1963年「日本コロムビア」、同年 NHKと共同開発したMCカートリッジ「DL-103」が誕生。オーディオファンの要望に応えてコンシューマ市場に登場したのが1970年です。その「DL-103」の性能を100%引き出すべく開発された専用ヘッドシェルと組み合わせた特別仕様モデルが『 DL-A110 』です。

そして1982年10月1日、SONY、HITACHIそしてDENONが、世界に先駆けてCDプレーヤーを同時発売したのです。その後は、プロの世界でのデジタル録音の先駆者として、現在に至るまで進化を遂げ続ける《 ALFAプロセッサー 》に代表されるデジタルの新技術を開発。そのデジタルプレーヤーの最新型として登場したSACDプレーヤーが『 DCD-A110 』です。


■ SACDプレーヤー『 DCD-A110 』

それでは、まずは110周年記念モデルに相応しい完成度の高さを誇るSACDプレーヤー『 DCD-A110 』から見てまいりましょう。

パネルカラーはアンプと同じく110周年記念モデル専用カラーの精悍なガンメタリック(グラファイト・シルバー)です。アルミ製トップパネルやフットは「SX1 LIMITED」の流れを汲んでおり、本機に高級感を与えています。そしてフロントパネル右下に110周年のロゴが施された特別仕様です。


オリジナル・ドライブ・メカ「Advanced S.V.H Mechanism」


ディスクドライブ・メカは「DCD-SX11」などの上位モデルを受け継いでおり、メカカバーには剛性を強化するため銅板を、ディスクトレイはアルミダイキャストを、メカニズムブラケットには 2mm厚のスチールを採用するなど、異種の素材を組み合わせることで、高質量と共振点の分散化を図り高い耐震性を得ています。

さらにメカ全体を低重心化することで、ディスクの回転に伴う内部振動を抑えると共に、外部振動も効果的に抑制しています。その結果、サーボ系の動作が最小限に抑えられ、サーボ電流が最小限となったことで、デジタル信号を正確に読み取ることができるのです。信号経路も最短化し回路を小型化して、余分な電流やノイズの発生を抑えています。

本機のメカは自社開発しているため、コスト的にはかなり有利なようです。他社では超高級機に供給しているメカを同社では使えることから、かなりハイグレードのメカであることは確かです。


最新にして最高のアナログ波形再現技術「Ultra AL32 Processing」


伝統のALFAプロセッサーの最新版「Ultra AL32 Processing」を搭載しています。上位機の「DCD-SX11」や「DCD-SX1 LIMITED」に搭載されている前世代のプロセッサー「Advanced AL32 Processing」の2倍に当たる、44.1kHz/16bitのデータを1.536MHzへのアップサンプリングと32bitへのビット拡張処理を行っています。(※「Advanced AL32 Processing」では、705.6kHz/32bit)

デノン独自のビット拡張とデータ補間アルゴリズムによって前後のデータを比較することで、本来あるべき点を導き出し、デジタル録音時に失われたデータを高精度で復元することで、本来のなめらかなアナログ波形を再現できるのです。このあたりの技術こそ、プロの世界でのPCMデジタル録音の先駆者DENONの面目躍如と言った所です。


DACを4基(8ch)使用したQuad-DAC構成

デノンは、従来から一貫してマルチビット方式にこだわっていますが、本機では新たに差動電流出力型DAC 4基によるQuad-DAC構成を採用しています。

上位機に搭載されている2chDAC「PCM1795」を左右チャンネルに2基(4ch)ずつ使用し、「Ultra AL32 Processing」でアップサンプリングされた1.536 MHzの信号を768 kHzに分割し、2基の差動電流出力型DACに入力することで、片chあたり4ch分のDACを用いて4倍の電流出力を得ることができ、6dBもS/N比を改善できたのです。


DACマスタークロックデザイン

本機ではD/Aコンバーターに供給するクロックの精度を最優先するために、D/Aコンバーターの近傍にクロック発振器を配置してD/A変換の精度を高めています。2つの超低ジッタークロック発振器(44.1kHz系/48kHz系)を搭載することで、ソースのサンプリング周波数に応じて切り替えてジッターを徹底的に抑制しています。


その他の特長と主な機能


(1)「DCD-SX1 LIMITED」の開発過程においてデノン専用にチューニングされたカスタムコンデンサーや、信頼性が高く電流のイズの極めて少ないメルフ抵抗(円筒形チップ固定抵抗器)を多数使用しています。

(2)デジタルとアナログ回路はそれぞれ独立した2トランス構成とし、相互干渉とノイズの回り込みを回避しています。「DCD-2500NE」の約5倍の出力を誇る高出力EIコアトランスを搭載しています。

(3)ディスクの回転や電源トランスによる内部振動やスピーカーからの音圧による影響を防止するため、振動源のトランスをフットの近くに配置することで不要振動を外部に逃がし、ドライブメカを中央配置し低重心化することで内部振動を吸収しています。さらに1.2mm厚のメインシャーシに1.6mm厚の綱板を2枚重ねて補強することで、外部振動をシャットアウトする高剛性シャーシとし、すべての基板をそれに固定しています。

(4)「DCD-SX1 LIMITED」の流れを汲むT4アルミニウム製トップカバーとフットには剛性の高いアルミ(A6061)を採用しています。

(5)DVD-R/-RWやDVD+R/+RWなどのデータディスク再生(最大DSD:5.6MHz、PCM:192kHz/24bit)に対応。同軸:1/光:1のデジタル出力(PCM:44.1〜192kHz)を装備。


■ 日本橋1ばん館で聴きました


『 DCD-A110 』のサウンドは、前回同様『 PMA-A110 』と組み合わせて「ピュアダイレクトモード」で試聴しました。

サウンドは上位機「DCD-SX1 LIMITED」に近いと感じました。音が重なり合った際の解像度や立ち上がりの素晴らしさは明らかに「DCD-2500NE」を上回っています。

非常に透明感の高いクリーンなサウンドが印象的です。S/Nが非常に高く左右への拡がりや奥行き感が格別です。特に間接音が豊かで音楽のソノリティが十分伝わってきます。

弦は張りがあり実に艶っぽく、ボーカルは伸びやかで表情豊かに朗々と歌います。空間に楽器や人間が立体的にクッキリと浮かび上がるライブ感は格別です。

『 DCD-A110 』は、そのデザインから受ける印象がそのまま音に出た、上級機「SX1 LIMITED」に迫る音質を獲得したのです。110周年を飾るに相応しいSACDプレーヤーの完成です。

■ 専用ヘッドシェル付きMCカートリッジ『 DL-A110 』

最後に、専用ヘッドシェル付きMCカートリッジ『 DL-A110 』も少しご紹介しておきます。

1963年に誕生した「DL-103」は、現在でも福島県のデノンの工場で厳格な品質管理の下、手作業で製造されています。その「DL-103」の能力を100%引き出すことを目標に開発された専用設計のヘッドシェルを組み合わせた特別仕様モデルです。

記念ロゴプレート付きの収納ケースと針先ブラシが付属している魅力の逸品です。
(あさやん)



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