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[ 2020年 11月 17日付 ]

 アキュフェーズの新製品プリメインアンプ「E-280」を試聴レポート!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。
アキュフェーズの注目の新製品プリメインアンプ「E-280」が発売されました。今回は「E-270」との違いや、試聴レポートをご紹介します。


元々は輸出専用モデルであった「E-210」が、その高い評判を受け、熱望されて日本国内モデルとして発売されたのが1995年の事。

その後は定期的に改良が積み重ねられて1998年「E-211」、2001年「E-212」、2005年「E-213」、2008年「E-250」、2012年「E-260」、そして、2016年に発売となった「E-270」の後継機として、8代目となる200シリーズの最新プリメインアンプ「E-280」が発売となりました。

5代目となる「E-250」から採用されているAAVA方式で飛躍的に進化し、上級モデルに迫る高いコストパフォーマンスを誇るシリーズに成長しています。

実は「E-213」以降はメーターやボタン類の配置もほとんど変わらず継承されているので、綺麗に使っている方だと変えたのがあまり分からないかもしれませんが、セッティングがそのままの状態で使えるのは大変便利なんです。



■ まずは「E-280」の基本的な仕様をご紹介

プリアンプ部には、純粋なアナログ回路となるAAVA方式ボリューム・コントロールを搭載。総電流量を従来の2倍に、回路のインピーダンスを1/2とすることでノイズを低減、S/Nを1dB改善。

スピーカーの挙動に影響を与えるダンピング・ファクターは、低出力インピーダンス化のためパワーアンプからスピーカー出力端子間のパターンと配線を見直すことにより500を達成。

電力増幅段はバイポーラ・トランジスタを片チャンネルあたり2個並列駆動するパラレルプッシュプル構成の高出力パワーアンプを搭載。

定格出力:8Ωで90W、4Ωで120Wを実現。高域の位相特性に優れたカレント・フィードバック増幅回路を採用。電源回路は大容量トランス搭載、フィルターコンデンサー容量は従来と同じ30000μFながら、専用にアルミ電解コンデンサーを新規開発し、音質向上を実現。

さらにプリアンプ部には専用電源回路を搭載し、パワーアンプとの干渉を防止しています。 パワーアンプ部はインスツルメンテーション・アンプ構成、信号経路をバランス伝送化。カレント・フィードバック増幅回路も継承して搭載。プリ部とパワー部を分離し、それぞれ独立して使用できる「EXT PRE機能」も搭載。

パワーMOSFETスイッチによるプロテクション回路の無接点化を実現。オプションスロットを2スロットに拡張。ヘッドホン出力、トーンコントロール、コンペンセーター、リモコンなど豊富な機能を搭載。スピーカー出力端子2系統/バイワイヤリング接続に対応しています。

・入力端子:RCA×5系統、XLR×1系統、レコーダー/PLAY+RECx各1系統、
   メインINx1系統、RCAプリアウトx1系統
・サイズ:465W×151H×420Dmm
・質量:20.4kg
・全高調波歪み率:0.05%
・入力感度:バランスIN、ラインIN/134mV、メインIN/1.07V
・入力インピーダンス:バランスIN/40kΩ、ラインIN、メインIN/20kΩ
・S/N:バランスIN/96dB、ラインIN/107dB、メインIN/122dB
・消費電力:無入力時/52W、8Ω定格出力時/345W
・リモコン:赤外線パルス方式「RC-250」付属

スペックを見る限り、プリメインアンプとしての基本的なスペックや機能性は「E-270」とほとんど変わっていませんが。細部に渡り改良が施されており、クラスを超える新たなステージを切り開いた製品となっております。「E-270」から「E-280」への改良点をまとめてご紹介します。


■ ダンピングファクターの向上・E-270よりも25%アップの500を達成

近年のアキュフェーズのアンプでこだわっているのがスピーカーに対するドライブ力が高まるダンピングファクターの向上です。

プロテクション回路にMOS-FETスイッチを採用するなどして出力回路の低インピーダンス化を図る従来からの方法に加え、パワーアンプからスピーカー出力端子間のパターンと配線を全面的に見直すことで、ダンピングファクター数値を「E-270」の400から25%アップの500に向上。

音楽全体の躍動感、スピード感が改善される事により音場の陰影の表現力が改善されています。また、制動力が増す事により、従来モデルでは駆動が難しかったスピーカーも鳴らす事が可能となりました。


■ AAVA方式ボリュームを改善、SN比も向上


アキュフェーズの現行プリメインアンプは全て、独自のAAVA方式を搭載したボリューム部を搭載しているのが特徴です。

アナログボリュームながら、左右偏差やガリ、音量位置による音質変化などの極めて少ないボリュームで、更にモデルチェンジごとに改善されたAAVA回路が搭載されています。

今回搭載された、AAVA回路における総電流量を従来の2倍に、また、回路のインピーダンスを1/2とすることでノイズを低減。また低雑音で高精度な薄膜抵抗を採用。

こうした改善により、「E-270」よりもS/N比が1dB改善、「たった1dB!」と侮ってはいけません、聴感上ではっきり分かる静寂感を達成しています。


■ オプションボード増設に新たに2スロット分対応
   (私的にはこれが一番ビックリしました!)



従来は1スロットだったオプションボードの増設回路が、2スロット分に対応。USB/同軸/光デジタル対応DACボード「DAC-50」、フォノイコライザーボード「AD-50」などを2つまで増設可能に。幅広いソースを聴きたいユーザーに対応。

ある意味この改良が最も嬉しい方もいらっしゃるのではないでしょうか。別売りのオプションボードが2枚装着できるのはシステムの発展性に大きく期待が出来ます。

※MM、MCカートリッジ対応の「AD-50」は【イコライザー・ゲイン切替】【MC入力インピーダンス:30/100/300Ω】【サブソニック・フィルタ:25Hz-12dB・ON/OFF】の設定が可能(MM/MCの切り替えはE-280のフロントパネルで設定)2枚接続して2系統のカートリッジに対応させる事も可能です(Wアームのプレーヤにも対応できますね)。

※デジタル入力ボード・D/Aコンバータの「DAC-50」はUSB-DACとしてPCM:32bit/384kHz、DSD:11.2896MHzまでのフォーマットに対応。デジタルボードも2000年発売の「DAC-10」から5代目となり常に最新のフォーマットに対応できるので安心です。このボードの規格は将来的にも継続してくれるとの事です(永久ではないと思いますが…。)


■ ディスプレイ(メーター)の完全OFFが可能となりました

暗い部屋での試聴時に意外と眩しいメーター照明を消して落ち着いて試聴ができます。これも私的にはGOODです。


■ メーターの初動数値が小さくなりました

E-270は-40dB〜でしたが、E-280は-50dB〜と小さい音量から動き出します。10dBも下がりましたので、かなりの小音量時の試聴でもちゃんとメーターが振れてくれて嬉しいです。



■ 試聴しました

プリメインアンプとしての基本的なスペックや機能性はほぼ同等ながら、音質は「E-270」からは着実に改良されている印象です。E-270と比べると、少しエッジの効いた、明るい傾向となっており、現代的な音質となっていますが、決して音が硬くなってのではなく、素直に解像度が上がっている印象です。

音場の見通しが良くなり、音の立ち上がりや消え行く様の表現力が改善されて、音数が多く、気持ちの良い音の抜け感となっています。ダンピングファクターの改善は特に低域で鮮明に聞き取れます、ドラムやベースのパッションを幅広く再現できる上級モデルに近い再現性が素晴らしいと思います。

アキュフェーズとしてはエントリークラスですが、アキュフェーズならではの芸術的な表現力は満足感を満たしてくれるのでないでしょうか。

(ichinose)




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