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[ 2020年 12月 1日付 ]

 極上の音楽体験を可能にする、ハーベス ブックシェルフ型スピーカーの最新モデル『 Super HL5 plus XD 』が登場!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。
ハーベスの定番モデル「Super HL5」が大きく進化。XDシリーズの最新モデル「Super HL5 plus XD」となって発売されました。

ハーベスの新しい風を感じさせるサウンドに注目です。今までのモデルとの違いや、試聴レポートをご紹介します。


ハーベスは、1977年 BBCモニターの開発者の1人だった、ダッドリー・ハーウッド氏が独立したブランドであることはあまりにも有名ですね。

日本で発売されたのは、1979年に発売された「MONITOR HL(TYPEV)」が最初で、20cm乳白色のポリプロピレンウーファー+2.5cmシルクドームツイーターの構成でした。


■ ハーベスの従来モデルを振り返ってみます

※寸法:(W)325 x (H)640 x (D)300mm、重さ:13.5kg

その後、TYPEWとなり、ウーファーの振動板はポリプロピレンからTPXコーン(ブラック)に変更されています。10年後の1987年に会社を愛弟子のアラン・ショーに譲ってからは民生用システムにも積極的に参入。

そして、大きな転換となったのは、1988年発売の「HL5」で、遂に愛弟子のあのアラン・ショウが改良をしたスピーカーシステムが登場します。


※寸法:(W)325 x (H)640 x (D)310mm、重さ:17.0kg

高域に2.5cm口径のアルミハードドーム型ツイーターが採用されていて大変驚いたのを覚えています。ハード系の振動板にもかかわらず繊細で優しく、上品なサウンドで、ボーカルや弦楽が美しく心地よいサウンドは見事に継承されていました。キャビネットやネットワークも全て含めて、非常にバランス良く整ったサウンドは高い完成度を誇っていました。

楽器を組み上げるかのように、木材の特性を活かしつつ絶妙のダンピングによって振動を制御、キャビネットが呼吸するかのような、あたたかくナチュラルなパフォーマンスを引き出す繊細なエンクロージャーのチューニングは、ハーベスの真骨頂と言えます。

余談ですが、同時期に発売された姉妹モデル「HARBETH HLCompact」(1988年)は爆発的な大ヒットを記録!! 実は我が家のリビングにも購入して、オーラデザインやアキュフェーズのアンプでその心地よい端正なサウンドを楽しんでいました。

また、私の好きなアコースティック・バラード系のJAZZが何とも心地よく、ながらに聴き始めて何時しか引き込まれる魅力的なサウンドでした。サランネットがウレタン製でボロボロになり朽ちましたが、そのまま使うために布生地を購入して木枠で自作したのを思い出します。

話を戻します。そして、スーパーツイーターが追加されて現在と同じ3ウェイ構成に変更されたのは、2004年に発売された「Super HL5」からとなります。


※寸法:(W)323x(H)635x(D)305mm、重さ:16.8kg

スーパーツイーターユニットにはチタン・ダイアフラムを採用した2cmハードドーム型を採用、10kHz以上の高域を受け持たす事によって分解能や空気感の向上を図っています。前身の「HL5」と較べると圧倒的に高域に余裕が出て透明感や音場感が改善された事により、低域の表現力も改善されて、全帯域で見通しが改善されました。

この後、スーパーツイーターが再注目となり、様々なユニットが発売されて大ブームとなるきっかけを作った製品でもありました。キャビネットは一見何も変わってないように見えますが、細部の質量やコンプライアンスが異なるチューニングが施されており、コンピューターによる振動解析も積極的に取り入れられており、不要共振のみを除去、大幅に進化を果たしています。

2015年「Super HL5 plus」が発売、主な改良点は、ウーハーの振動版のポリプロピレンにアルミをブレンドし、中心から周辺に向け、ブレンド比率を変化させる特殊技術を導入。従来のハーベスの音は、アコースティック楽器や、ボーカルが自然で、端正な穏やかさが持ち味でしたが、そこに更に現代的な明るさが加わった印象となりました。

そして遂に2020年11月、最新モデル「Super HL5 plus XD」が発売となりました。


※寸法:(W)322x(H)635x(D)300mm、重量:15.8kg(初代モデルから基本的には変わっていませんね!)

新たなコンセプトに基づく「XDシリーズ」は、これまでのラインナップをさらに新たな高みへと押し上げるべく、何年にも渡って進めてきたスピーカーのパフォーマンスに関する研究と、最新の技術的蓄積を、目の覚めるような分解能、心躍る鮮烈な音楽体験に結実させた、まったく新しい提案です。

XDが意味するのは、「eXtended Definition(イクステンデドゥ デフィニション)」すなわち、幅広い変化による分解能、解像度の大幅な向上。スピーカーの挙動に関する最新の知見を鮮烈な音楽体験に結実させる、ハーベスからのまったく新しい意味が、この名称に込められています。

あたたかく緻密なハーベスならではの音で世界を魅了してきた「Super HL5」も、XDシリーズのコンセプトに基づいて再定義され、「Super HL5 plus XD」として生まれ変わりました。理想とする水準とのズレを、膨大な作業量、忍耐力、時間により改善することで、外見はほとんど変わっていないにもかかわらず、そのサウンドは大きく改善されています。

あたたかくウェル・バランスな「ハーベス・ハウス・サウンド」の音づくりで特に重視されているのは、リアルなリスニング・ルームでの「インルーム・レスポンス」。それは、「コンサート・ホールの音響をリスニング・ルームへ」という、ハーベスが常に意識してきたテーマでもあります。

荘厳なオーケストラからアップテンポの楽曲まで柔軟に対応、音のディテールをつぶさに表現できるデリカシーを兼ねそなえ、 音楽の実像に迫るパフォーマンスが極められています。


■ 試聴しました

基本的には伝統の「ハーベスサウンド」は継承されているのが前提での話となりますので予めご了承願います。今までの「HL5」シリーズは「HLコンパクト」や「HP3」とは少し異なり、往年のブリティッシュサウンドが色濃く残されており、良くも悪くもゆったりとした低域バランスが特徴となっていました。

しかし、今度の「Super HL5 plus XD」は他のXDシリーズと完全に音調やバランスが整えられており、楽曲への対応力が大幅に広くなっています。まさにXDシリーズのトップモデルと言えるサウンドとなっています。

かなりボリュームを上げても昔のモデルのように箱鳴りが気になったり、音が破綻しないことに驚きです。それにも増して、私的には小音量でも音痩せしないところが大変好印象でした。

一言で言うと、従来のハーベスの良いところを残しつつ、現代テイストの再現性に見事に対応したと言える、さすがのサウンドといえます。

ハーベスらしくどのジャンルも心地よく聴かせてくれますが、中でも弦楽器とボーカルの表現はやはり絶品で、思わず聴き入ってしまいます。

今回のXDはネットワークが大幅に改善された事により、スピーカー端子がバイワイヤリングでは無く、シングルワイヤリングとなっています。これはネットワークにかなり自信が無いと出来ない事で、ハーベスが大幅に進化した証ではないでしょうか、非常に良い事だと思います。

やはり、ハーベスは、ハーベスの特徴を活かすことが使いこなしのポイントなのではないでしょうか、なるべくシンプルにセッティングをして素直に鳴らすのがお勧めです。


もちろんセッティングには、純正のスタンドがお勧めです、シンプル・スリムなデザインながら、無垢材の工芸品で、底板の響きを活かす専用設計です。
(ichinose)




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