カテゴリから選ぶ

[ 2021年 4月 20日付 ]

 ナガオカから80周年記念モデルとして発売されたカートリッジをご紹介!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。

今回は、ナガオカから80周年記念モデルとして発売されたカートリッジ「JT-80」2機種をご紹介いたします。



■ ナガオカについて

ナガオカは、1940年に長岡時計用部品製作所として設立され、1950年に商号を長岡精機宝石工業株式会社、1971年に株式会社ナガオカとした、アナログレコードの交換針で有名なブランドです。

その製品は、レコード針の生産量が世界ナンバー1のシェアを誇る、ナガオカならではのカートリッジなんです。

難削材(ダイヤモンドなど)の微細加工では世界有数の技術力を誇るブランドで、世界各国のカートリッジの交換針を製造販売しています。

シュアー、SONY、PIONEERなどの国内外で生産完了となっているカートリッジの交換針を製造、お世話になっている方も多いのではないでしょうか。


■ ナガオカのカートリッジ

ナガオカのカートリッジはMPシリーズとして生産されており世界各国で高い評価を獲得しています。特にドイツやイギリスなど欧米各国では高い評価と人気を誇っています。

ナガオカのカートリッジは針交換が可能な、独自構造のムービングパーマロイ(MP)方式が採用されており、MM型に分類されますが、カンチレバーとマグネットが分離した軽量振動系構造で、コイル・磁石を固定して、カンチレバーに取り付けた誘導体(磁化したパーマロイ)で発電します。

特徴は、カンチレバーの背後に設置するものが、マグネットより軽量の磁化したパーマロイであることで、通常のMM型と異なり、カンチレバーの後端に重いマグネットを背負っていない構造のため、音溝への追従性が高くなり、音質にも良い影響を与えます。

※MP型はMoving Permalloy(ムービング・パーマロイ)型の略。
※パーマロイとは透磁性が非常に高く、磁気を通しやすい性質を持つ軟質材料合金。(テープデッキのヘッドなどに使われていました。)


■ 80周年記念モデルをご紹介

今回の記念モデルも当然MP(ムービングパーマロイ)方式が採用されており、MM型ならではの扱いやすさと、高いパフォーマンスを実現している注目モデルなんです。


・ JT80LB (ラピスブルー)



特にコストパフォーマンスを重視して開発されたモデルとなります。

アルミニウム製のカンチレバー、ダイヤモンド接合楕円針を採用しています。

ワイドレンジで迫力のあるサウンドを実現しています。

スタイラスノブは型番にもなっている艶のある瑠璃色で成形されており、見た目にも映えるデザイン。

・出力電圧:5.0mV(5cm/sec)
・適正針圧:1.3〜1.8g
・自重:6.9g
JT80LB専用交換針「JTS80LB」




・ JT80BK (ブラック)



高域の繊細さとMM特有の音圧を再現した上位モデル「ブラック」。

高級感のある黒色のスタイラス・ノブが特徴のブラック。

ボロンカンチレバー、無垢楕円針を用いた上位モデルとなっており、高域から低域までのサウンドバランスの良さが特徴。

柔らかいタッチの中にもしっかりとした情報量と帯域の広さが確認出来ます。

・出力電圧:3.0mV(5cm/sec)
・適正針圧:1.3〜1.8g
・自重:6.7g
JT80BK専用交換針「JTS80BK」




■ 「JT80シリーズ」カートリッジのお勧めポイント

なんと言っても、MMポジションで再生が出来ることです。

一般的なMC型カートリッジの出力は0.3mV程度のため、MM型と比べると、フォノイコライザーアンプによる高い増幅率が必要となります。

フォノイコライザーの増幅負担が大きく、スペックを見てみると、歪率がMM型では100dB以上あるのに対し、MC型では90dB以下と下がってしまいます。

広帯域の昇圧トランスを使ったり、高価なフォノイコライザーアンプでは問題ありませんが、プリメインアンプ内蔵のイコライザーなどの場合は、せっかくのMC型のメリットが生かせないケースも多くあります。

ナガオカのMP方式ではMM型の最大のデメリットである振動系の重さが解消されており、MC型に匹敵する軽量設計となっています。

フォノイコライザーを含めたトータル的なコストパフォーマンスを考えると、大変高いコストパフォーマンスを誇ります。

更に、針交換が出来るもの大きなメリットです。

一般的なMM型同様、交換針をお買い求めていただければご自身で針交換が可能です。

針の交換は少し分かりにくいですが、写真のように、マイナスドライバーを溝に差し込んで前面に押してやるとスムーズに外すことができます。



付属品は両モデルとも同じ。2.6mmネジx1種類、精密ドライバー、針カバー。



■ 試聴してみました

こちらで試聴してみました。



「JT80LB(ラピスブルー)」を試聴


JAZZを聴くと抜群に躍動感があり、中低域の勢いもあって、ノリの良い演奏を堪能できる。

リアルさを追求したというよりも、楽しく音楽を聴けるサウンドにチューニングされている。

ボーカルはMP型ならではの艶っぽさもあるが、やはり躍動的で楽しく聞かせてくれる。

もちろん情報量は大変多く、ワイドレンジなサウンドで、質感と量感を両立した上手い音作りである。

80周年記念モデルとして、従来のナガオカサウンドとは異なる、新しいナガオカサウンドを実現している!!


「JT-80BK(ブラック)」を試聴


次いで、上位モデルの「ブラック」を試聴。

こちらはグッと大人っぽく、音に繊細感があり、細部まで解像度が高く、リアリティーのあるサウンドになっている。

高級MC型並みの音場の広さや奥行き感の表現力は見事。

シリーズ共通で、中低域のエネルギー感が高く、音楽を楽しく聴かせてくれる、壷を心得た音作りが魅力的。

クラシックなども堪能できるサウンドで、幅広いジャンルに対しての対応力を備えている。

(ichinose)


ナガオカ MM型カートリッジ「JT-80」2機種