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[ 2021年 7月 27日付 ]

 アキュフェーズの最高峰ディジタル・プロセッサー「DC-1000」をご紹介!

こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。

アキュフェーズ創立50周年を記念し、ハイエンド・オーディオへの飽くなき挑戦と音へのこだわりで誕生したセパレート型SA-CD/CDプレーヤー「DP-1000/DC-1000」。
今回は、先週の「DP-1000」に引き続き、DAコンバーター「DC-1000」をご紹介します!


「DC-1000」には、8回路並列駆動の「MDS++方式D/Aコンバーター」を搭載、性能面で大幅な進化を果たしました。


■ 今回は、DAコンバーター「DC-1000」について詳しくご紹介。

前作の「DC-950」と較べると数値的には僅かではありますが、このクラスでの歪率0.00005%やSN比1dBは大変な違いとなります。聴感上でも明らかに改善が聴き取れるほどで、音場の静寂感、微細な音楽や芸術的な表現力の差となって現れます!!

全高調波歪率:0.00045%→0.0004%、S/N:122dB→123dB
「DC-950」からは細部に渡り入念な改良が施されておりますが、主な改良点は以下となります。

・ DC-950と同様に、ESSテクノロジー社による「MDS++方式」を採用。
・ IV変換回路やDAC IC周辺回路、配置を全面に見直した結果、より一層の低雑音化、低歪み化を実現。
・ IV変換回路には独自のANCCを搭載し、大振幅化後減衰させることでSN比が向上。
・ フィルターアンプ回路も高性能化され、最終段を2回路並列化し、ローパスフィルター2段目回路にはANCCを採用。


■ 高周波ノイズを除去するD/Aコンバーター「MDSD:Multiple Double Speed DSD」



DSD信号は、ノイズ・シェーピングにより、可聴帯域より高い周波数に押し上げられた量子化ノイズを大量に含んでいます。DSD信号を正確なアナログ信号に変換するためには、この高周波ノイズをローパス・フィルターで除去しなければなりません。

ところが、DSD信号は直接ディジタル・フィルターで処理することができないため、従来のD/AコンバーターICでは、DSD信号を一旦PCM信号に変換し、その後ディジタル・フィルターに入力することで高周波ノイズを除去していました。

一方、「DC-1000」が採用しているMDSD方式は、DSD信号をPCM信号に変換することなく、高周波ノイズを除去するローパス・フィルターとしての役割を果たす、画期的な回路方式です。MDSD方式では、DSD信号をFPGA(プログラム可能な論理ゲート)に入力し、1/2クロックずつタイミングの異なる8種類のDSD信号を生成します。

この8種類のDSD信号をそのまま8回路並列動作の「MDS++方式D/Aコンバーター」に入力することで、理想的な完全直線位相特性のローパス・フィルターとしての役割を担わせ、可聴帯域より高い周波数のノイズを除去しながら、正確なアナログ信号へと変換します。

つまりMDSD方式は、DSD/PCM変換を経ることなく、高周波ノイズを除去するローパス・フィルターとしての機能と、8回路並列「MDS++方式D/Aコンバーター」の変換誤差を打ち消す効果を兼ね備えた、画期的なD/Aコンバーターです。


■ MDSDの優れた性能と高い信頼性を確保する理想的な「パーツ・レイアウト」



MDSDの優れた性能を効果的に発揮するために、DACとI-V変換回路の距離を可能なかぎり短くすることで、配線パターンでの悪影響を排除しました。

I-V変換回路には、プリアンプ「C-3900」にも採用している低ノイズ・低ひずみ化技術ANCC(Accuphase Noise and distortion Cancelling Circuit)を搭載。このI-V変換回路を4回路並列駆動させ、8回路並列駆動「MDS++方式D/Aコンバーター」の大出力電流を分散処理することで、熱の集中を避け、信頼性や耐久性を確保。

また、パワーアンプ「A-250」の設計思想と同様に、前段に位置するI-V変換回路の出力電圧を従来よりも大振幅化し、後段のフィルター・アンプで発生するノイズの影響を相対的に低減することで、低ノイズ性能を更に向上させています。


■ 8回路並列駆動の「MDS++方式D/Aコンバーター」

D/Aコンバーターに驚異的な性能・音質を誇る「MDS++方式D/Aコンバーター」を搭載しました。

MDS++方式は、刄ー(デルタ・シグマ)型D/Aコンバーターを複数個並列接続することで、大幅な性能改善を図った画期的なコンバーターです。刄ー型D/Aコンバーターを複数個用意して、同じPCM信号を各コンバーターに入力、その後各コンバーター出力を加算して全体の出力とします。

全体の出力では、信号成分は単純加算されますが、変換誤差には相関が無く、相互に打ち消されるため、単純加算した値よりも小さくなります。従って、信号と変換誤差の比が大きくなり、変換精度やSN比、ダイナミック・レンジ、リニアリティ、高調波ひずみなど、コンバーターにとって非常に重要な特性を一挙に向上させることができます。

8回路の高性能「ハイパーストリーム™DAC」(ES9038PRO:ESSテクノロジー社製)を並列動作させていますので、コンバーター1回路の場合に比較し、ひずみ率、雑音特性、直線性など全体の性能は約2.8(=√8)倍に向上します。

なおDSD信号の場合には、各コンバーターにタイミングをずらして入力することで、高調波ノイズを除去するMDSD方式のD/Aコンバーターとして動作します。D/Aコンバーターを8回路並列に動作させると、大量の電流が出力されます。この大電流を一度に加算すると、I-V変換アンプに熱が集中し、回路の動作が不安定になってしまいます。

そこで「DC-1000」の「8MDS++方式D/Aコンバーター」では、D/Aコンバーターが出力する8並列の電流信号を、最初に2本ずつ電流加算して4並列の電流信号に変換します。次に、4並列化されたI-V変換アンプで、4並列の電流信号を4並列の電圧信号に変換します。最後に、4並列の電圧信号を1本の電圧信号へと電圧加算します。

このように「DC-1000」の「MDS++方式」では、I-V変換アンプを挟んで電流加算と電圧加算を巧みに組み合わせることで、大電流加算によるI-V変換アンプへの熱の集中を避け、負荷を軽減し、安定度を高めています。その結果、諸特性が向上し、高い精度でD/A変換が行われ、より緻密な音楽描写が可能になります。


■ 強化された出力回路 新開発「Dual Direct Balanced Filter」

D/Aコンバーター出力の高周波領域には必ずイメージ・ノイズが発生するため、アナログ・フィルターで除去する必要があります。

アナログ・フィルターには、通過域の周波数特性が極めてフラットな5次のバターワース型LPF(Low Pass Filter)を採用し、音楽信号に影響を与えないようにイメージ・ノイズを除去。5次のバターワース型LPFはI/V変換回路を兼ねる1次LPFと2種類の2次LPFが直列に接続された構成になっています。

出力段となる最後の2次LPFに「Direct Balanced Filter」回路を採用。

「Direct Balanced Filter」回路とは、ライン出力とバランス出力が負荷の影響を受けてお互い干渉しないようにするために、それぞれ独立した出力回路を設けた回路構成のことを言います。
バランス出力の−側信号を、+側信号の反転で作り出すのではなく、D/Aコンバーターの差動出力から直接作り出します。

したがって、反転回路が必要なく、極めて構成がシンプルで、ひずみ率やSN比で高い性能を実現できます。

また、+側と−側が対称な回路であるため、出力インピーダンスが同じになり、理想的なバランス信号を出力できます。さらに、ライン出力はバランス出力の+側と同じ回路で構成されるため、バランス出力とライン出力の音質差が少なくなるというメリットもあります。

このように、「Direct Balanced Filter」回路は、性能面と音質面において理想的な出力を可能にします。

「Direct Balanced Filter」を2回路並列で動作させる新開発「Dual Direct Balanced Filter」回路を搭載。この回路により、ひずみ率やSN比といった諸特性が改善、より原音に忠実な信号でプリアンプを強力にドライブすることが可能になります。

また、最終段アンプの発熱が軽減され、信頼性がより向上します。


■ モノフォニック構成のアクティブ・フィルター・アンプ・アッセンブリー



5次のバターワース型LPFのうち、後段に位置する2種類の2次LPFを搭載するのが、アクティブ・フィルター・アンプ・アッセンブリーです。このアッセンブリーの回路構成は、チャンネル・セパレーションに大きな影響を与えます。

アクティブ・フィルター・アンプ・アッセンブリーには、左右の回路が十分な距離を保つように配慮したモノフォニック構成を採用し、チャンネル・セパレーションの悪化を防いでいます。

また、電源やGNDパターンについても左右独立構成にすることで、相互干渉を防止しています。


■ 性能と信頼性を向上させる「Dual Direct Balanced Filter」回路専用電源

5次のバターワース型LPFの出力段である「Dual Direct Balanced Filter」は、性能と音質に特に大きな影響を与える重要な回路です。そこで、本機では「Dual Direct Balanced Filter」回路に専用電源を設けることで、他回路からの出力信号への干渉を防いでいます。

また、電源電圧を最適化することで、回路の発熱を抑え、構成部品の信頼性を向上させています。


■ アクティブ・フィルター・アンプ・アッセンブリーに、低誘電率・低損失の「ガラス布フッ素樹脂基材」を採用



アクティブ・フィルター・アンプ・アッセンブリーには、「ガラス布フッ素樹脂基材」によるプリント基板を採用。この材料は、非常に低い誘電率と誘電正接をもち、高周波特性に優れ、耐熱性も良いので、主にマイクロ波と呼ばれるSHF帯を使用する衛星放送や高精度計測機器などに使われています。

プリント基板の基材は、特に誘電率が重要です。誘電率が低いほど信号の伝搬速度は速くなり、誘電正接が小さいほど伝送損失が小さくなります。銅箔面に金プレートを施し、さらに信頼性や音質の向上を図っています。


■ ディジタル/アナログ独立構成の低雑音電源



回路のエネルギー源となる電源のクオリティは、音質に大きな影響を与えます。放熱フィン付き鋳造アルミケース入りの高効率トロイダル・トランスをディジタル/アナログに分け2個搭載。

トロイダル・トランスは、ドーナツ状のコアに太い銅線を巻くため、インピーダンスが非常に低く、変換効率が極めて高いので、オーディオ用として優れた特性を備えています。



また、新たに10,000μFの大容量・高音質フィルター用アルミ電解コンデンサーを開発、ディジタル/アナログそれぞれに4個ずつ搭載、負荷変動に強い余裕のある電源を搭載。


■ ディジタル回路とアナログ回路の相互干渉を抑え、振動を抑制する堅牢な構造体



アナログ回路とディジタル回路をアルミニウム製フレームにより分離する内部レイアウトを採用。これにより、性能に悪影響を与えるディジタル回路とアナログ回路の電気的な干渉を抑制。

また、これらのフレームとアルミニウム製ボトム・プレートを縦/横方向に組み合わせることで堅牢な構造体を構成し、外部からの物理的な振動も抑制。


■ 「本木目」鏡面仕上げのウッド・ケース



厳選した美しい自然木を使い、専門職人が匠の技で一点ずつ丹精込めて製作した「本木目」鏡面仕上げのウッド・ケースに収納。

このウッド・ケースとシャンパン・ゴールド色のフロント・パネルを調和させることで、重厚でありながら優美さを併せ持つ日本の伝統美を表現しています。


■ 重量級ボトム・プレートとアドバンスド・ハイカーボン鋳鉄製の高音質インシュレーターを採用

外部の振動を受けにくくする制振構造を目指し、8mm厚の重量級ボトム・プレートと全体を支える4個の鋳鉄製の重量級大型インシュレーターで低重心化を図っています。

インシュレーターは、ハイカーボン鋳鉄に特殊な熱処理を施すことで結晶構造を変化させて硬度をアップ、さらに振動減衰特性の優れたアドバンスド・ハイカーボン鋳鉄を採用。これにより外部からの振動を遮断し、微小信号への影響を防いでいます。


■ 5種類8系統の豊富なディジタル入力端子



5種類8系統の豊富なディジタル入力端子を装備していますので、様々なディジタル機器を同時に接続し、フロント・パネルまたはリモート・コマンダー(DP-1000に付属)で切り替えが可能です。


■ 仕様

デジタル入力: HS-LINK、BALANCED、COAXIAL、OPTICAL、USB
サンプリング(最大):
 ・HS-LINK:PCM 384kHz/32bit、DSD 5.6448MHz
 ・BALANCED:192kHz/24bit
 ・COAXIAL:192kHz/24bit
 ・OPTICAL: 96kHz/24bit
 ・USB: PCM 384kHz/32bit、DSD 11.2896MHz
D/Aコンバーター:8MDSD方式(DSD信号)、8MDS++方式(PCM信号)
周波数特性:0.5〜50,000Hz(+0、-3dB)
全高調波歪率+雑音:0.0004%(20〜20,000Hz間)
S/N:123dB
チャンネルセパレーション:120dB(20〜20,000Hz)
出力レベル・コントロール:0dB〜-80dB(デジタル方式)
消費電力:36W
外形寸法:(幅)477×(高さ)156×(奥行)394mm
質量:24.4kg
付属品:電源コード(APL-1/2.0m)、オーディオケーブル(ASL-10B/RCA)、USBユーティリティーCD(Win専用)、クリーニングクロス

※DC1000にはリモコンは付属しておりません(DP1000に付属のリモコンで操作可能)。
(ichinose)


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