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音場工房

[ 2022年 1月 18日付 ]



FOSTEXより 究極の10cmユニット「FE-108SS-HP」が登場!



  • こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。

    今回は、フォステクスの最新10cmフルレンジスピーカーユニット「FE-108-SSHP」をご紹介します。


    高剛性を誇るHP振動板との組み合わせによる最強のユニットに仕上がっています。

    もちろん、バックロードホーン型エンクロージャーにターゲットを絞ったユニットですが、従来の延長線上にとどまらず、新たな志向により開発されたユニットとなっている点が注目されています。

フォステクス
FE Series「FE-108-SSHP」


最近のFOSTEXユニットが超高能率/超オーバーダンピングからの脱却にあることは傾向として明確となっています。

2015年以降に発売されたフォステクスのバックロードホーン専用スピーカーユニットは、公称SPL(w/m)を比較すると多少の前後があるにせよ、徐々に数値が低くなっています。効率(dB)が低くなって、振動板(Qo)が重くなる傾向となっています。

歴代の108(10cm)の型番・年式・SPL(dB)・Qts

「6N-FE-108ES」・1988年 ・93.0dB(w/m) ・0.23(Qo)

「FE-108Σ」  ・1992年 ・92.0dB(w/m) ・0.28(Qo)

「FE-108S」  ・1992年 ・93.0dB(w/m) ・0.25(Qo)

「FE-108EΣ」 ・2007年 ・90.0dB(w/m) ・0.30(Qo)

「FE-108ES2」 ・2007年 ・91.0dB(w/m) ・0.23(Qo)

「FE-108SOL」 ・2016年 ・90.0dB(w/m) ・0.34(Qo)

「FE-108NS」  ・2020年 ・87.0dB(w/m) ・0.32(Qo)

「FE-108SS-HP」・2022年 ・88.0dB(w/m) ・0.39(Qo)


昔のFE-108の限定モデルは超高効率、超強力磁気回路、超軽量振動板を特徴とした特殊なバックロード専用ユニットでした。

軽い振動系を強力な磁気回路で駆動することで、高い能率のスピーカーシステムを実現していました。10cmの小径ユニットでも、SPL=93.0dB、Qo=0.23のユニットは、抜群の高効率でしたが、Qoが低すぎて、普通のブックシェルフ型キャビネットでは低音が全く出ない特殊なユニットでした。

もちろんバックロード専用ユニットとして開発されており、ホーンによる低域共振付近の大きな上昇によりバランスがとられていました。逆にQo値が高いユニットをバックロードキャビネットに取り付けると低域がボコボコで使い物にはなりませんでした!!

※エンクロージャーによって使われるQ値の目安は以下の数値が基準となります(Fostex Craft hand bookより)

・平面バッフル型=   0.2〜1.0

・密閉型=       0.2〜1.0

・バスレフ型=     0.3〜0.6

・バックロードホーン型=0.2〜0.4


従来の「バックロードに適したユニット」とされていた概念からの脱却

長岡先生が提唱されていたバックロードホーン用のユニットは「極端に高い効率」「極端に低いQo(軽い振動系)」といった要素が強調されており、メーカーもその期待に応じて共同開発し設計されていました。

しかし、近年のモデルのスペックを見て「能率が低い」「Qoが高い」という印象を持つ方も多くいると思います。数値を見ると確かにその通りですが、しかしながら「バックロード向きではない」と言う事ではありません。

「ES」「EΣ」などの昔のユニットは突き抜けるような中高域が特徴的で、試聴会では鮮烈な印象を覚えた方も多かったのではないでしょうか!! まさに「突き抜ける快感!」は強烈でしたが、繊細さやリアルな音場感を再現するには高い使いこなしの技術を必要とされていました。

さらに、フルレンジならではのスッピン美人のサウンドを体験する事ができるのも貴重なスピーカーと言えるもので、ケーブルや端子素子などのアクセサリー類の違いを鮮明に表現できる事も大きな特徴と言えました。

しかし、実際にお使いになっているお客様宅に訪問すると、皆様苦労している状況を感じたのも事実です。「再生できるソフトが限定されてしまう」「年齢と共に音がきつく感じる」「ゆったりとした音楽が聴きたい」などの感想も聞いてきました。

では近年のユニット、たとえば「NS」「SS」ではどのような変化となっているのでしょうか。バックロードホーンならではの中高域の音圧は備えつつ、新たにハイファイ要素の質感を併せ持ったサウンドを目指して開発がされています。

高SPLと低Qoなどの数値をある程度追求しつつも、それらの要素を上手くコントロールすることによって、バックロードが「耳障り」「中高域がキツい」と言われてきたソースにも対応出来るようになってきているのではないでしょうか。


今回発売された「FE168SS-HP」や「FE108SS-HP」はともに巨大なマグネットが搭載されており、そのエネルギーは過去最強で超強力です

その強烈なエネルギーは、鮮烈さやスピード感だけではなく、絶妙なニュアンスや潤い感、音場の微妙な空気感、アーティストの息遣いなど、リアリティ感を持って聴くことができるようなサウンド設計を目指しているユニットに仕上がっています。

もちろん、これらの新しい傾向がオーディオ的に優れていると言うのは簡単ですが、オーディオには好き嫌いも大変大きな選択要素となるので、「EΣ系」とは異なる新しい傾向の製品として受け止めると面白いのではないでしょうか。


「FE108SS-HP」の特徴

セルロース・ナノファイバ・コーティング HP形状振動板

フォステクスの保有技術であるセルロース・ナノファイバ・コーティングは、基層の表面にセルロース・ナノファイバとマイカから成るコーティング層を形成して、ヤング率、比曲げ剛性、音速を向上しながら内部損失の低下は抑制される特徴を有しています。この処理を施したHP(Hyperbolic Paraboloid)形状の振動板は、軽量にして剛性の確保と共振の分散を高度に実現しています。

フルレンジらしい反応が早く切れの良い低域、充実した中低域、明るく張りが有る素直な中域、自然な響きの中高域、十分に伸びた高域によって音楽を楽しく聴くことが出来ます。

大型フェライト磁気回路

磁気回路には大型フェライトマグネットを二枚使用し、十分な磁束密度を確保しています。ポール部に銅キャップを追加し電流歪みを低減し、力強い音楽再生と中高音域の音質向上を実現しました。

高剛性アルミダイキャストフレーム

大型フェライト磁気回路を支え、不要共振を排除するために高剛性アルミダイキャストフレームを採用しました。

優れた振幅応答性を持つUDRT ダンパー/エッジ

ダンパーとエッジにはUDRT(Up-Down Roll Tangential)形状を採用しています。この形状は多様な面で構成されているため全体の形状剛性が向上して共振が高い周波数に移動し、かつ分散するので、特定の大きなピークの発生を抑制でき、スムーズな特性が得られます。

ハトメレス構造

振動板の上にハトメを打たずボイスコイルからティンセルワイヤーを引き出すダイレクトリードを採用し、振動系質量の軽減と振動板の振動の平準化を実現しています。

また、ダイレクトリードの引き出し位置は質量分布の対称性を考慮して180度位置からの回転方向引き出しとしています。

ファストン205 金メッキ端子

入力端子にはファストン205タイプの低損失金メッキ端子を採用。スピーカーケーブルとの確実な接合と音質劣化を防ぎます。

「FE-108-SS-HP」は限定生産ユニットとなっておりますので、当店の契約入荷数の販売となります。ご検討いただいているお客様は、お早めにご注文をお願いいたします。

※また、入荷が限定数のためご購入は偶数でお願いしております。





今回ご紹介した機種