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音場工房

[ 2022年 1月 25日付 ]



MCカートリッジを蘇らせる! 消磁器「DG-100」をご紹介!!



  • こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。

    MC昇圧トランスや、鉄芯入りMCカートリッジは、長年の使用と様々な原因により「帯磁」してしまいます。帯磁すると磁気バイアスがかかり、動作点がずれることで、再生される音楽信号に歪を生じさせ、音質の劣化を招くことも…。


    そこで今回は、Phasemation(フェーズメーション)から、MC昇圧トランスや鉄芯入りMCカートリッジの生産ノウハウを生かし、これらの消磁に最適なデガウザー(消磁器)が「DG-100(ニックネーム:帯磁退治)」として発売されていますので、ご紹介します。

フェーズメーション
デガウザー「DG-100」


鉄芯入りMCカートリッジの帯磁について。

鉄芯入りMCカートリッジを長く使用していると、ヨークとマグネットで形成される磁気回路中に置かれているコイルを巻いた「磁性材の巻枠」が磁化されてしまいます。この現象により、徐々に音がボヤけていってしまいますが、消磁することにより初期性能に戻ります。


MC昇圧トランスの帯磁について。MC昇圧トランスの概略図です。

1次コイルには、MCカートリッジが接続され、2次コイルはアンプのMM入力に接続されます。

MCカートリッジでレコードを再生すると、発電電圧:E1により、1次コイルにI1の電流が流れコアが磁化されます。その結果、磁束φの流れが出来ます。この磁束φは2次コイルにも流れ、一次コイルN1と2次コイルN2の比で2次側に電圧が出ます。

一般的にコア材にはパーマロイが使用されます。パーマロイは信号を「0」にすれば保磁力が理論的には「0」になりますが、実際には「0」にはなりません。従ってわずかに帯磁され、これが維持されてしまいます。


消磁の原理

MC昇圧トランスや鉄芯入りMCカートリッジに440Hzのサイン波を図4の様に約20秒間かけて指数関数的に減少させた信号を印加します。

つまり磁界を徐々に小さくしながら「0」に近づけることにより磁性材のコア及び巻枠を消磁します。


消磁の効果

レコード再生時、MCカートリッジをショートすることにより、MCカートリッジを簡易的に消磁ができる事はご存じかと思います。

例えばインピーダンス:4Ωで出力電圧:0.3mVのカートリッジをショートさせると、0.075mAの消磁電流が流れます。

同様にインピーダンス:40Ωで出力電圧:0.3mVのカートリッジをショートさせると、0.0075mAの消磁電流になります。

ただし、その効果は限定的で、完全な消磁をすることはできません。

ご紹介している、デガウザー「DG-100」は積極的に消磁電流を流す事で完全な消磁を目指して開発されています。ショートさせる時と比べて、約50倍以上の消磁電流が流れる設計で消磁効果を大幅に増強させています。そしてその効果は、より微小レベルでの解像度が上がり、抜群に抜けの良い音になります。


※ご利用にあたり、注意事項があります。

・空芯MCカートリッジ/光カートリッジは、コイルを巻いている磁性材が存在しないので消磁しても効果がありません。

・MMやMI型カートリッジを消磁する場合は必ず針先を外して下さい。針先が外れない場合は使用しないで下さい。マグネットが消磁されてしまいます。

・MC昇圧トランスを消磁するときは、PHONO/プリアンプ等との接続を外してからトランス単品で消磁してください。大きな音でスピーカーを壊すことが有ります。


各種の接続方法

レコードプレーヤーの出力ケーブルを接続する。

付属のプラグを使ってカートリッジに接続する。

※シェルに取り付けたままでも導通があればOKです。被膜を被せている場合はズラして端子を露出させます。

MC昇圧トランスの入力端子に接続する。

操作は簡単な3ステップで完了です。

@「POWER」ボタンで電源を入れる。

A「START」ボタンを押す。

B後は約20秒間で消磁が完了(ランプが消えたら完了です)。


電池(006P)の交換時期

・POWERボタン周りの照明が暗くなりましたら電池の容量が無くなってきた印です。早めに電池交換をしてください。

・使い切った電池をそのまま放置しますと液漏れを起こし機器の故障につながります。

過去にも同じ機能の消磁器は販売されていましたが、その中でも今回ご紹介する「DG-100」は使いやすさが優れています。「START」ボタンを押すだけで自動的に消磁するようになっていて、安全でしかも失敗もありません。

開発者にお伺いしたところ、MMタイプにも効果はあるが、MCほどは感じにくいとの事です。コイル巻数が数十巻きしかないMCに比べて、数千巻きもあるMMでは電線による電力喪失が大きいからとの事です。

また、MCカートリッジも巻線が少ない入力側(赤・緑)のみで十分との事で、その数百倍の巻線の出力側(白・青)には必要ありません。


担当者が使ってみました。

消磁によって、解像感や音の抜けが向上し、製品本来が持つクオリティを楽しめるようになります! 実際に試してみると、たしかに鮮度や微少情報の再現力、音像の描写力が向上します。なまっていた音が、鮮度抜群の音に蘇ります!

特に長期間消磁していないMCカートリッジでは劇的な改善効果が期待できます。使い続けていると徐々に変化するので本人が気が付かないのは仕方ありません・・・。

また、ショートによる消磁をしている方もいらっしゃると思いますが、「帯磁退治」の方が遥かに高い改善効果がありますのでご報告いたします。

アナログディスクのファンにとって、必需品といっていい音質改善アイテムではないでしょうか。ぜひ、ご自宅のカートリッジを目覚めさせて下さい!





今回ご紹介した機種