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音場工房

[ 2022年 2月 1日付 ]



「TAD」製品のお取り扱い開始! さっそく、新製品「TAD-E2-WN」を試聴しました。



  • こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。

    今回ご紹介するのは、TADの最新スピーカー「TAD-E2」(TAD Evolution Two)です。2021年ステレオサウンド誌のグランプリ【 2022オーディオ銘機賞銀賞 】を受賞した注目の商品でもあります!!

2.5ウェイバスレフフロア型
TAD「TAD-E2-WN」


TAD(テクニカル オーディオ デバイセズ・ラボラトリー)のサウンドコンセプトは「音像と音場の高次元での融合」。

木目柄のイメージを音で表現した、TADの新しいスピーカーラインナップとして「TAD Evolution Two」が登場。ベリリウム振動板を採用したトゥイーターとウーファーというシンプルなシステムながらも、TADらしい音源思想と音場を実現した新シリーズです。


少しTADの歴史を振り返ってみましょう。

1978年、パイオニアの中から「プロフェッショナル・オーディオ事業の頂点」を目指し、TADブランド製品が市場に投入されました。今年で43年目を迎え、実際にTADのプロ用スピーカーユニットは世界で高く評価され、ハイエンド・スタジオはもちろんのこと、イーグルスなどの著名なコンサートで使用されるに至っています。

PIONEERのハイエンドシリーズ「EXCLUSIVE」のユニットにも使われていて試聴室やイベントなどで見聴きした方もいらっしゃると思います。また、JBLの「4344」「4345」のユニット交換による改造などでも一時期ブームとなったのも懐かしいですね。

その後、その技術を投入し、ハイエンド・ホームユースの完成型のスピーカーへの展開を進め、2003年には、世界のオーディオ業界で大きな話題となったハイエンドスピーカー「TAD-M1」が登場しました。

従来のホーン方式から、より低歪みでトランジェントの良い「どこまでも純粋なサウンドの創造」をめざして、ユニットの設計からエンクロージャーに至るまで、完全な「ニューモデル」として生まれ変って発売。標準価格:300万円/1台、重量:130kgの超ド級モデルでした。

主な開発方針は、Smooth Dispersion(自然な音の広がり)、そしてHigh Definition(滑らかな音)でした。録音に内包する情報をストレートに表し、スピーカーの存在を感じさせず、あたかも生演奏に臨席するかのような空間描写をすることが最大のテーマになって開発されています。

プロモニター的な精度の高い再現性と、音楽性を見事に融合し完成させたスピーカーとしてオーディオ歴史に名を残す逸品でした。しかし、このモデルは鳴らし難さでも超ド級で苦労したのを思い出します。


では、最新のTADスピーカー「TAD-E2」をご紹介します。

ありのままの音を鮮やかに再現する「2.5cmベリリウム振動板トゥイーター」

超ド級スピーカーの「TAD-E1TX」や「TAD-ME1」に採用しているものと同じ2.5cmベリリウム振動板トゥイーターを搭載。振動板形状をコンピュータ解析して最もふさわしい形状を求める技術「HSDOM※1」により、60kHzまでの再生を可能にしています。

また指向性をコントロールする新開発のアルミダイキャスト製のウェーブガイドにマウントすることで、広帯域にわたってスムーズで広範な音の伝搬を実現。

ウェーブガイドにはアルミダイキャストを採用して高剛性化を図り、不要な共振を徹底的に排除することで、TADならではの洗練された中高域再生と、ウーファーとのエネルギー感を統一させています。

※1 HSDOM:Harmonized Synthetic Diaphragm Optimum Method


力強い低域とスムーズな指向特性を実現する「新開発15.5cmウーファー」

豊かでクリアな低域と共に、カラレーションのない素直な中低域の再生を実現するため、表面のアラミド織布コーンと裏面の針葉樹パルプ抄紙コーンを別々に成形し、後工程でラミネートした新開発の MACC※2 15.5cm 振動板を採用。

また、良好な指向特性を得るために浅型のカーブド形状とし、補強ブレースをコーンネック部に追加したデルタブレース構造を採用することで、スムーズな指向特性と力強い低域再生を両立しています。

※2 MACC:Multi-layered Aramid Composite Cone


自然で豊かな低域を再生する「Bi-Directional ADP※3システム」

エンクロージャーの底部にポートを配置し、開口部を前後へレイアウト。そのポート内部をホーン形状とすることで、ポートノイズを低減した効率のよいポート駆動が可能になり、クリアでレスポンスのよい中低音を実現します。

また、ポートを前後の対称レイアウトにすることで、エンクロージャーを振動させる力を打ち消し、豊かで力強い低域の再生を実現しています。

※3 ADP:Aero Dynamic Port


音像定位と音場表現を両立する「ネットワークフィルター」

トゥイーターとウーファーのクロスオーバー周波数において、ボトムウーファーとアッパーウーファーの理想的な位相回転を可能にする2.5wayのフィルターを採用。ダブルウーファーとトゥイーターとのクロスオーバー周波数付近における位相干渉を低減しています。

また、指向特性に優れたユニットとネットワークフィルターを組み合わせることで、全帯域における自然な減衰特性と指向放射パターンを実現し、コンパクトな音像定位と精緻な音場表現を高い次元で融合します。


不要共振を低減する「SILENT※4エンクロージャー」

高剛性の樺合板ブレースと高内部損失のMDF材パネルを組み合わせることで、高い強度と低い共振を実現した「SILENT エンクロージャー」を採用。

また、バッフル天面エッジ部のラウンドをとることで、トゥイーター周りの回折による影響を低減。さらに、バッフルをスラントさせることで、重心位置を最適化するとともに、それぞれのユニットまでの距離差を小さくすることで、フロア型ダブルウーファーシステムの音場表現をより正確なものにしています。

※4 SILENT:Structurally Inert Laminated Enclosure Technology


落ち着いた中にも華やかさを演出する「木目柄サテン調塗装仕上げ」

エンクロージャーの外観に、柾目の木目を生かしたオープンポアのサテン調仕上げを採用。

透明度の高い品位ある艶消し塗装を施し、下地素地の調整、塗装の吹き付け作業、下地塗装の研磨、艶消しのトップコートに至るまで、熟練の職人が丁寧に時間をかけ仕上げています。

さらにエンクロージャー下部に、10o厚の鋼板から削り出したベースプレートを設置。ベースプレートとエンクロージャー本体との間に樹脂製のホーンプレートを挟み込むことで、ベースプレート自体の振動を低減。

また、ベースに前2本、後ろ1本、計3本のスパイクを用いることで重心位置を3点支持の最適な位置とし、ウーファーのリアクションをしっかり受け止めています。


日本橋店で試聴してきました

TAD-E2は、今までのTADモデルとは違い同軸型ドライバーが搭載されていません。実際に音を聴くまでは、今までのモデルとは傾向が異なるのかと思いましたが、TADの音質は見事に継承されており、完璧と言える帯域バランスや、エネルギーバランスは素晴らしく、流石です。

第一印象はとても素直で、鳴らしやすそうだと感じました。アキュフェーズ「E-5000」や、DENON「PMA-SX11」などを接続しましたが、いずれもストレスを感じさせずに鳴ってくれました。幅の狭い設計で部屋の影響も受けにくそうなので、日本の厳しい試聴環境でも問題なく鳴らせそうだと思いました。

モニターの厳格さを感じさせながら、しなやかでナチュラルな音質を聴かせてくれます。ヒヤリングを重ねた見事なチューニングは細部にわたり聴き取れ、クオリティーの高い音に仕上がっています。

スタジオ・モニター・サウンドをベースとした「メイド・イン・ジャパン」の匠のこだわりを感じました。ピアニシモも美しく、小音量時にもその表現力が活きており、丁寧な描写を堪能できます。

透明感溢れる音場の広がり、奥行きの広い空間表現の中に、ぴったりと定位する音像! 解像度やワイドレンジで、色付けは全く感じさせませんが、決してクールなモニターサウンドではなく、落ち着きのあるナチュラル系の音色を感じさせるスピーカーに仕上がっています。

また、メーカーによると、鳴らしやすさにもこだわっており、アンプを選ぶ傾向もないので、いろいろとお試しくださいとの事です。ベリリウム振動板を使用したスピーカーをお求めやすい価格に、という戦略的なモデルなのではないしょうか!

大変スリムに設計されており、使いやすさもかなり考慮されているので広くお勧めいたします。


仕様

再生周波数帯域:30Hz - 60kHz
出力音圧レベル:87dB(2.83V/1m)
定格インピーダンス:6Ω
最大入力:150W
クロスオーバー周波数:90Hz/2.8kHz
外形寸法:320W×1,085H×405Dmm(スパイク未装着時)
質量:32.0kg


日本橋店には、今回ご紹介した「TAD-E2」のほかにも「TAD-ME1」も展示しており試聴できます。「TAD-ME1」も近日中にご報告いたします。

3ウェイバスレフブックシェルフ型
TAD「TAD-ME1」





今回ご紹介した機種