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音場工房

[ 2022年 4月 5日付 ]



iFi audioの超低ノイズACアダプター「iPower Elite」を試してみた。



  • こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。

    iFi audio「iPower Elite」は、各雑誌やWEBで頻繁に話題となっているので、気になっている方も非常に多いと思います。
    オーディオアクセサリー銘機賞2022でも、評論家たちの圧倒的な支持を得て、グランプリに輝いたのは記憶に新しいところです。


イギリスのオーディオメーカー「iFi audio(アイファイ・オーディオ)」といえば、抜群のコストパフォーマンスと確かな技術力で、ポータブルアンプやUSB-DACファンから絶大な人気を博しています。さらに、アクセサリー類でも積極的な研究開発がされており、特に電源系のアクセサリー分野では圧倒的な技術力を誇っています。

オーディオにとって電源は極めて大事だということはよく知られていますが、一般家庭では、家電製品のインバーター電源、内蔵されているマイコン、PCなどのデジタル機器、あるいは空中を飛び交う各種電磁波がノイズ源となって、オーディオの再生音に様々な悪影響を与えてしまっています。また、スイッチング電源自体が、ノイズ源としてシステムに影響を与えてしまっている可能性もあります。


今回ご紹介する「iPower Elite(アイパワー・エリート)」は、そんな電源の問題を一気に解決できる究極といえるACアダプターです。一度体験すると後には戻れなくなってしまう魔法の製品です。

製品の導入は付属のACアダプターの電圧とアンペア数を確認して容量の範囲内であれば、後は交換するだけなので特に難しい事は何もありません。

出力電圧別に4つのモデルがあり、それぞれの電圧/電流出力は以下の通りです。
・iPower Elite 5V:5V/5A
・iPower Elite 12V:12V/4A
・iPower Elite 15V:15V/3.5A
・iPower Elite 24V:24V/2.5A

付属アダプターの電圧とアンペア数を見て「iPower Elite」の仕様内に収まっていることを確認してください。

電圧は必ず同じ電圧を選択すること。電流(アンペア)は「iPower Elite」の仕様以下であればお使いいただけます。(5Vモデルの場合、5A以下の機器)


「センターマイナスDC入力」の機器に接続するための極性変換プラグに加え、形状の違う5種類の変換プラグが付属しています。


ACアダプターの強化による音質のグレードアップは、大きな注目を集めています。

一般的なACアダプターには、スイッチング電源方式が採用されていていることがほとんどです。特に、ノイズ対策を施されていない一般的なスイッチング電源は、高周波ノイズを発生させやすくシステムの音に悪影響を及ぼしています。

今回ご紹介する「iPower Elite」の場合は、外来EMIおよびRFIノイズを「Active Noise Cancellation 2」という、逆位相の信号を発生させることで打ち消す技術を搭載。これは、戦闘機のステルスの精度をあげるための技術が応用されているということで、ノイズ対策の観点から信頼性も高い技術です。普及モデルの「iPower2」でも採用されており、高い評価を獲得しています。


さらに、「iPower Elite」では航空機グレードの6063アルミニウムを用いた筐体による制振性能や、低リーク電流トランスなどを採用。より高性能なパーツと、画期的な設計によるノイズ対策が大きな成果をあげています。


iPower Eliteの主な特徴

・iFi audioが設計と検討を幾度となく繰り返し、最高の性能を目指した「iPower Elite」は単なる「iPower2」の大電流出力バージョンではありません。数々の新設計によりスイッチング電源でありながら、リニア電源、バッテリー電源の良さをも併せ持つ、新世代の高性能を実現しています。

・スイッチング周波数に依存する放射ノイズのピークを大幅に低減。「iPower Elite」はスイッチング電源でありながら、スイッチング周波数を自動で変動させることで、スイッチング周波数に依存する放射ノイズのピークを大幅に低減する事に成功しています。その結果、高性能化のために極めて高いスイッチング周波数で動作しつつも、極めて低いノイズフロアを実現しています。

・製品の電源オン時などに発生する突入電流に対応するために、規定電流から瞬間電流出力を30%増強。高効率化と待機電力の省電力化を実現するために複数の動作モードを持つ制御ICが搭載されており、あらゆる使用用途に対応。

・「iPower Elite」では従来の機種と異なりパッシブ回路によるノイズ対策にも注力。

・電源容量の4倍に匹敵する大容量の導電性高分子アルミニウムコンデンサを搭載。

・主に極めてノイズに敏感な医療用途のための低リーク電流性能を持つ「iPower Elite」専用トランスを搭載。

・大容量パワーMOSFETをはじめとした厳選されたパーツは、選別を行ったあとに、高周波特性に優れた素材を用いた基板へ実装。

・基板は、制振と放熱性能に優れた航空機グレード6063アルミニウムの筐体に収納。

・伝送ロスを極力抑えた極太OFHC(無酸素高伝導銅)線材を使用したDC出力ケーブルを採用(長さ:105mm)。

・ノイズフロア1μV(0.000001V)以下の超ローノイズ性能を実現。アクティブ、パッシブ両面にわたるiFiの最新技術を用いた「iPower Elite」は大電流出力に対応しながら、ノイズフロア1μV(0.000001V)以下の超ローノイズ性能を実現。

・スイッチング電源でありながら、リップルの影響を受けるリニア電源、更にはバッテリー電源よりもローノイズを達成しています。

・iFi audio製品のアップグレードとしてはもちろん、今まで「iPower2」で対応できなかった大電流を要する機器、オーディオ製品、PC/ネットワークオーディオ製品まで幅広く対応可能。


スペック

入力:100V-240V(50Hz/60Hz, 1.5A)
モデル別出力電圧/電流:iPowerElite・5V=5V/5A、iPowerElite・12V=12V/4A、iPowerElite・15V=15V/3.5A、iPowerElite・24V=24V/2.5A
出力プラグ:5.5mm/2.1mm(センタープラス)
出力ケーブル:105mm
ノイズフロア:1μV(0.000001V)以下
サイズ:148 x 55 x 50mm
重量:550g
付属品:ACケーブル(2P)1.5m、センターマイナスDC入力に接続するための極性変換プラグ/(5Vモデルのみ、USB-C、microUSB-B変換ケーブル付属)
保証期間:12ヶ月


使ってみました。

フォノイコライザー付属の電源アダプター(15V仕様)と交換。


「iPower Elite」の15V(3.5A)に交換して聴くと、高域の歪みっぽさが見事になくなり、音場の透明感が向上!

低域の密度も向上し、演奏現場の空気感が見事に再現できるようになった。サウンドステージの奥行き方向の深さ、見通しの良さも改善。ノイズが無くなり、ピアニシモの再現性が改善されたため音のコントラストが向上したと思われます。そのサウンドは非常に心地よく、確実にサウンドのグレードが上がった事を確認できました。

試しに、電源タップと「iPower Elite」の間の電源ケーブルを、付属のものから市販のハイエンド電源ケーブルに交換すると、さらに音の重心が下がり、スケールが大きく改善できた。これもぜひ試していただきたい。

ACアダプターとしては4万円近い高級な製品ではあるが、音質の改善度合いを考えると抜群のコストパフォーマンスとも言えます。


お使いのオーディオ製品にACアダプターを使っている機器があれば試してみる価値がある製品としてお勧めします。

特に最近ではネットワーク機器にはACアダプターが多いのではないでしょうか! 「USBハブ」「NAS」「ルーター」「Wi-Fiアクセスポイント」や、その他の「各種ポータブル機器」でも改善が期待できます。ハイエンド機器をお使いでもネットワーク系にはスイッチング電源を使った機器を使っている方も結構多いと思います。

「iPower Elite」は接続しているオーディオシステムのグレードが高ければ高いほどその効果は歴然としてきます。一度聴いてしまうと元に戻れそうにない。ある意味、魔法のような魅力を持つ製品といえる製品です。ただし、ありとあらゆるACアダプターを交換したい誘惑に駆られる可能性がありますのでご注意ください。

※「iPower」「iPower2」で音質改善を実感している方には、その延長線上のグレードアップが期待できます。よりノイズフロアが下がり、音のコントラストが改善、質感も改善されて心地よいサウンドを体感できます。






今回ご紹介した「iPower Elite」各種