[ 2022年 5月 10日付 ]
FiiOの最上級DAC内蔵ヘッドホンアンプ「K9 Pro ESS」をご紹介
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こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。
今回は、「K9 Pro LTD」のもつ基本コンセプトを踏襲しながら、ESS社製フラッグシップDACチップ「ES9038PRO」デュアル構成によってさらなる性能向上を実現した、FiiOの最上級DAC内蔵ヘッドホンアンプ「K9 Pro ESS」をご紹介します。
「FiiO Electronics」というブランドについて
「FiiO Electronics」は、2007年に設立された音響機器の企画製造および販売を行うオーディオブランドです(Made-in-China)。
デジタルオーディオ製品のなかでも特にポータブルオーディオ製品の開発に注力しており、DAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプ、デジタルオーディオプレーヤー(DAP)、インイヤーモニター(イヤホン)を中心とした製品展開を行っています。
ブランド名「FiiO」は、Fi (Fidelity) と iO (1 and 0, Digital) に由来し、その設計品質と安定した製造品質が高く評価されています。現在は世界最大級のポータブルオーディオ機器ブランドとして世界各国に展開しています。
FiiOの最上級DAC内蔵ヘッドホンアンプ「K9 Pro ESS」について
昨年発売された限定生産モデル「K9 Pro LTD」は採用したDACチップ「AK4499EQ」が限定入荷だったため、DACチップを「ES9038PRO」に変更したうえで、細部も改良して発売されたモデルです。
「ES9038PRO」デュアル構成によって、さらなる性能向上を実現した、FiiOの最上級DAC内蔵ヘッドホンアンプ
「K9 Pro ESS」は、「K9 Pro LTD」のもつ基本コンセプトを踏襲しながら、DACチップをAKM「AK4499EQ」からESS社製フラッグシップDACチップ「ES9038PRO」に置き換え、なおかつ左右チャンネルで1基ずつの「ES9038PRO」を使用するデュアル構成を採用した、FiiOの据え置きヘッドホンアンプ/DACの最上級モデルです。
「ES9038PRO」は、1基あたり8ch分のDAC回路(チャンネルあたり4つのDACを内蔵:合計32個のDACを内蔵)を備えるDACチップとなっており、更にそのチップを左右それぞれ1基ずつ配置する贅沢なデュアル構成を採用し、PCM384kHz/32bit,DSD256(Native)の再生に対応。
本来別々に機能する8ch分の回路をすべて片チャンネルのためだけに使用することで、非常に高い出力を持たせながらも、「K9 Pro LTD」と比較して、S/N比が123dBから129dBへと向上、THD+Nが0.0003%以下から0.00025%以下へと向上し、極めて低ノイズかつ歪みのないオーディオ再生を実現します。
ヘッドホンアンプ回路にはFiiOとTHXの共同開発による「THX AAA 788+」回路を採用。全段完全バランス設計により全てのプロセスで差動信号を通過させることで、最大2100mWの高いドライブ力を確保しながら、異なるコンポーネント間の干渉を最小限に抑え、音楽の繊細さや音圧の強弱の変化を忠実に再現出来ます。
主な特長
・ESS製フラッグシップDACチップ「ES9038PRO」をデュアル構成で搭載
・PCM384kHz/32bit,DSD256の再生に対応
・FiiOとTHXの共同開発による「THX-AAA 788+」ヘッドホンアンプ回路を2基搭載
・DAC部からアンプ部に至るまで、完全バランス設計を実現
・最新世代XMOSチップと2系統の超高精度水晶発振器でジッターを極限まで抑制するデュアル・フェムトクロック構成
・低ノイズ・低歪を徹底したピュアな信号伝達を実現する基板分離レイアウト
・デジタル部とアナログ部の電源供給を完全分離。低ノイズ・高安定性・高耐久性を実現したセパレート設計電源回路
・最新の音楽フォーマット「MQA」のRenderer機能を搭載
・Qualcomm製SoC「QCC5124」搭載で、LDAC、aptX HD、aptX Adaptiveなど、高音質ワイヤレスBluetoothオーディオコーデックに対応
・音量の左右不均等を解決し、微細な音量調節を可能とするADCボリュームコントロール機能搭載
・高感度イヤホンから低能率ヘッドホンまで最適な音量調整を可能にする、3段階のゲイン切り替え機能
・XLR 4ピン/4.4mm両対応のバランスヘッドホン出力のほか、高性能DAC/プリアンプとしても利用可能な豊富な入出力端子
・Bluetoothで各種設定を操作可能な「FiiO Control App」に対応
・ゴールドフィニッシュのステンレス製ボリュームノブとサンドブラスト・アルミニウム合金ボディによる精悍な外装仕上げ
FiiOとTHXの共同開発による「THX AAA 788+」ヘッドホンアンプ回路を2基搭載
搭載されている「THX AAA 788+」回路は、高能率から低能率までのありとあらゆるヘッドフォン再生において、理想的なディテールとダイナミクスを提供するために、THX AAA 788回路をベースに、FiiOとTHXが共同で新開発したアンプ回路です。
左右チャンネルあたり1基ずつ、合計2基搭載された「THX AAA 788+」回路は、オリジナルのTHX AAA-788アンプ回路と比較して50%以上増加した出力をもちながらも、放熱効率も向上。ハイインピーダンス負荷を駆動する際には最大52Vppを出力することができるだけでなく、ローインピーダンス負荷を駆動する際には2100mW(バランス出力時)まで、歪みなく出力するポテンシャルを備えています。
DAC部からアンプ部に至るまで、完全バランス設計を実現
4チャンネルDAC、4チャンネルボリューム調整、4チャンネルアンプそれぞれに差動信号を流す完全バランス設計を徹底しています。完全バランス設計により、各コンポーネント間の干渉を最小限に抑え、音楽の繊細さや音圧の強弱の変化を忠実に再現することで、圧倒的な音質を実現しています。
最新世代XMOSチップと2系統の超高精度水晶発振器でジッターを極限まで抑制するデュアル・フェムトクロック構成
搭載されている最新世代のXMOSチップ「XUF208」は、デュアルモードのクロック管理技術をサポートしています。
USBおよびBluetoothのデコーディングでは、アシンクロナス動作のデュアル・フェムトクロックが使用され、光デジタル信号および同軸デジタル信号のデコードでは、高精度PLLクロックが使用されます。
精密なクロックマネジメントシステムにより、あらゆる種類のデジタル入力に対して最適なクロックをアサインでき、いかなる再生ソースであっても理想的なDAコンバート環境を構築します。
低ノイズ・低歪を徹底したピュアな信号伝達を実現する基板分離レイアウト
オーディオ信号は、I/V変換部、LPFフィルター部、ボリュームコントロール部、バッファーアンプ部、プリアンプ部、アウトプットアンプ部という緻密に設計された6段の回路を経て出力されます。
各回路は、基盤内での干渉を最低限にしながら、信号経路を最適化する分離レイアウトを採用し、オーディオ信号の低ノイズ・低歪を担保しています。
デジタル部とアナログ部の電源供給を完全分離。低ノイズ・高安定性・高耐久性を実現したセパレート設計電源回路
デジタル部とアナログ部の電源を完全に分離することで、両回路間の干渉を効果的に遮断。これにより、各部に最適化された純度の高いクリーンな電源を供給することで、高いS/Nと低域の力感を伴った理想的な再生を実現しています。
最新の音楽フォーマット「MQA」のRenderer機能を搭載
MQA Renderer機能に対応。MQAコア・デコードに対応する機器と組み合わせることで、CDクオリティーに格納されたハイレゾ・オーディオデータを展開し、MQAの理想とする音質で聴くことができます。
Qualcomm製SoC「QCC5124」搭載で、LDAC、aptX HD、aptX Adaptiveなど、高音質ワイヤレスBluetoothオーディオコーデックに対応
Bluetooth用にQualcomm製SoC「QCC5124」を搭載し、LDAC、aptX HD、aptX Adaptiveなどのフォーマットに対応しています。
「QCC5124」 は、ゲームやビデオで必要とされる低遅延と、ハイレゾリューション・オーディオで必要とされる高ビットレートの両方を満たす、信頼性と高速性を兼ね備えたBluetooth接続を実現します。
音量の左右不均等を解決し、微細な音量調節を可能とするADCボリュームコントロール機能搭載
ADCボリュームコントロール方式による音量調整機構を採用。一般的なボリュームでは、可変抵抗に直接音楽信号を流し、抵抗の増減で音量調整を行いますが、ADCボリュームコントロールは、ノブの回転変化量をAD変換した値に基づいてアナログボリュームICを制御することにより音量調整を行います。
可変抵抗で問題となる左右の音量差(ギャングエラー)を排除しながらも、デジタルボリュームにありがちなダイヤル操作による感覚とのズレを低減し、ボリュームノブを回す人間の感覚に配慮した直感的な音量調整が可能となりました。
高感度イヤホンから低能率ヘッドホンまで最適な音量調整を可能にする、3段階のゲイン切り替え機能
ハイゲイン(H)、ミディアムゲイン(M)、ローゲイン(L) の3つのゲインを切り替えることで、お手持ちのヘッドホン/イヤホンに最適なサウンドを提供します。
ピュアハードウェアゲイン回路の採用により、高感度ヘッドホンでローゲインにした場合でもダイナミックレンジと音楽性は損なわれず、さまざまなリスニング環境に適応します。
XLR 4ピン/4.4mm両対応のバランスヘッドホン出力のほか、DAC/プリアンプとしても利用可能な豊富な入出力端子
前面:XLR 4ピン、4.4mmバランス、6.35mmシングルエンドのヘッドフォン出力
背面:USB B端子、4.4mmバランスライン入力、RCAライン入力、同軸デジタル入力、光デジタル入力、XLRバランスライン出力、RCAライン出力
側面:USB Type-Cポート(USB B端子より優先されます)
Bluetoothで各種設定を操作可能な「FiiO Control App」に対応
Bluetooth Low Energy(BLE)に対応しており、Bluetoothモードでないときでも、「Fiio Control App」を使って、チャンネルバランスやスリープタイマーなどの機能をいつでもコントロールすることができます。
ゴールドフィニッシュのステンレス製ボリュームノブとサンドブラスト・アルミニウム合金ボディによる精悍な外装仕上げ
筐体はオールアルミニウム合金にブラックアルマイト処理とサンドブラスト加工が施されており、高い質感を実現しています。また、直感的に操作できるよう、ボタン類はわかりやすく配置され、スムーズな操作が可能です。
ステンレススチール製のボリュームノブは、K9 Pro LTDのシルバーフィニッシュからゴールドフィニッシュへの変更が施され、音楽をコントロールする際の高級感を演出します。ボリュームノブを囲むRGBインジケーターライトは、再生中のサンプリングレートに応じて異なる色で点灯します。
主な仕様
DACチップ:ES9038PRO×2
アンプテクノロジー:THX AAA-788+×2
デジタル入力:
・USB タイプB×1系統
・USB タイプC×1系統
・RCA同軸×1系統
・TOS光×1系統
・Bluetooth×1系統
アナログ入力:
・4.4mmバランスライン入力×1系統
・RCAライン入力×1系統
アナログ出力:
・XLRバランスライン×1系統
・RCAライン×1系統
ヘッドホン出力:
・4ピンXLRバランス駆動×1系統
・4.4mmバランス駆動×1系統
・6.3mmシングルエンド×1系統
Bluetooth対応コーデック:SBC/AAC/aptX/aptX HD/aptX LL/aptX Adaptive/LDAC
対応サンプリングレート:
・USB:PCM384kHz/32bit、DSD256(Native)
・RCA同軸:192kHz/24bit
・TOS光:96KHz/24bit
ヘッドホン推奨インピーダンス:16〜600 Ω
ヘッドホン出力:
・32Ω:2100mW以上(バランス、アンバランス)
・300Ω:1,100mW以上(バランス)、281mW以上(アンバランス)
THD+N:0.00025%以下 (アンバランスライン出力時、1kHz/10kΩ/dBA)
S/N比:129dB以上 (アンバランスヘッドホン出力時、dBA)
サイズ:W200×D224.5×H72mm(脚部除く)
重量:2,700g
付属品:クイックスタートガイド、AC電源ケーブル、USB A to Bケーブル、6.3mm to 3.5mm変換アダプター、Bluetoothアンテナ、交換用ヒューズ、ラバーフット、縦置き用スタンド
※画像はイメージです。仕上げや製品仕様は予告なく変更することがございます。
担当者からのコメント
音質は透明感があり1音1音を非常に丁寧に再生してくれる印象です。見通しの良い透明感溢れる広い音場感、音が消える際の余韻も丁寧に再生してくれます。基本的には明るめで華やかな傾向と言えますが、誇張がないサウンドは見事というか絶妙と言えるバランス。伸びの良い高音と、適度にタイト感のある低音で、ちょうど良いバランスのチューニングです。
解像度、分解能は大変優れており、リアルな再現性も見事。音に余裕があり高い安定感を感じさせてくれる点は広くお勧めできるポイントと言えます。
ノイズ感の少なさもトップクラスでクリーンで雑味のないサウンドは聴いていて安心感があります。この価格帯のDAC内蔵ヘッドホンアンプの中では、最高レベルの製品としてお勧めいたします。
サイズはコンパクトで設置性も優れています、更に縦置きの省スペース設置にも対応。豊富な入出力で、デジタル、アナログに加えて、主要コーデックを網羅したハイレゾBluetoothの再生も行えます。
操作性はシンプルで使いやすいく、専用アプリで詳細設定も可能です。総合的に見ても超高いコストパフォーマンスを誇る魅力溢れる製品と言えます。