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音場工房

[ 2022年 8月 30日付 ]



ティアック (TEAC) のカセットデッキ/CDプレーヤー「AD-850-SE」をご紹介



こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。
いま、“ブームが再燃”しているカセットデッキがティアックから新発売されました。
カセットデッキ/CDプレーヤー「AD-850-SE」をご紹介します。


CDからカセットテープに録音できるカセットデッキは、昔であれば沢山あって珍しくない機能でしたが、いまの時代に見ると、かえって新鮮に感じられます。実は、カセットテープは今、秘かなブームとなっております。

ほぼ消滅したかに見えた時期もありましたが、音質の暖かさやデザイン性などから見直され、再び注目されています。2020年には、マクセルから1970年代の不朽の名作「UR(ユーアール、Ultra Reference)」カセットテープが復刻されて大きな話題となりました。

メーカーいわく「カセットテープに懐かしさを求める30代以上の音楽ファンのみならず、カセットテープ全盛時代を全く経験していない若い世代にも人気が高まっている」との理由で製品化を復活。CDからカセットテープへの録音や、カセットからUSBメモリへのダビングなどに利用が出来ます。

TEACのCD/カセットデッキの歴史は結構長く、2000年「AD600」、2010年「AD-800」、2017年「AD-850」、そして2022年「AD-850-SE」と4世代継続されている人気シリーズです。


◆カセットテープ特有の音の感触を楽しむ

カセットテープに録音した曲を聴いてみると、楽曲の再生開始の時点でサーッというノイズが聞こえます。これはテープの走行音やアナログ録音ならではのノイズなどが含まれているためですが、人の声の柔らかさや暖かみのある感触など、アナログテープならではの魅力もあり、一概に悪いとは言いきれません。

最新のハイレゾ音源などは解像度やSN比が高いですが、音楽をゆったりと聴きたい方にはアナログの音に魅力を感じても不思議ではありません。


◆基本性能をおさえたカセットデッキ部

カセット部は録音・再生の2ヘッド/ワンウェイのシンプルな仕様です。
ノーマル/クローム/メタル(再生時のみ)ポジションのカセットテープに対応。
±10%可変のピッチコントロール機能やタイマー録音・再生機能等、基本性能をおさえています。


◆MP3ファイルも再生可能なCD-R/RW対応、CDプレーヤー部

CDプレーヤー部は、音楽CDの他にも MP3ファイルを記録したCD-R/RWの再生も可能。
MP3再生時のID3タグやファイル名などを表示します。
プログラム再生やシャッフル再生、リピート再生(1曲/全曲/プログラム)などの各種再生モードを搭載しています。

※ファイル名の表示は半角英数字(1バイト文字)に対応、日本語などの全角文字(2バイト文字)が使われている場合は正しく表示されません。


◆多彩なUSBメモリー録音・再生機能

連続再生やシャッフル再生、プログラム再生など多彩な再生モードに加え、再生モードと組み合わせて使えるリピート再生機能を装備。USBメモリーへの録音時に音源側(CD/TAPE)が自動的に再生を開始するシンクロスタート機能は録音時の煩雑さを解消します。

CD/カセットテープ/外部入力機器からUSBメモリー(MP3ファイル)への録音や、CD/USBメモリー(MP3形式)/外部入力機器からカセットテープへの録音が可能です。

USBメモリーにはソース毎に自動生成されたフォルダ(CD/LINE/TAPE)へ保存されますので、パソコンを使わずにデジタル=アナログ変換を簡単に行うことができます。


◆カラオケが出来る、マイク入力を装備(モノラル6.3mm標準プラグ)

なんとフロントにマイク入力端子(1系統)を装備。
接続したマイク入力のみの再生/録音はもちろん、CD/カセット/USBメモリーの音声とミキシングして再生/録音することができます。

※CDとマイクをミックスした音声はUSBメモリーに録音することはできません。


◆カラオケが楽しめる、エコーエフェクト機能

接続したマイクの音に電子エコーをかける機能を搭載。フロントパネルのスイッチで2段階の掛け具合とOFFを設定することが可能です。
AD-850-SEとマイクがあれば簡単にカラオケが楽しめます。

※カラオケを楽しむためには、別途アンプやスピーカーが必要となります。

エコーとは:原音に対して残響を加えます。原音を様々な時間で遅延させた複数の音を自然に近い対時間減衰特性を持たせて混ぜることにより、ホールやスタジオのような残響音を生み出します。


◆便利なタイマー機能搭載

タイマー録音(TAPEのみ可能)、
タイマー再生(CD/TAPE/USBメモリー)が可能です。

※市販の対応タイマーが別途必要です


◆その他機能一覧

・RCA入出力端子(各1系統)


・CD/カセットテープ/マイク/外部入力機器からUSBメモリー(MP3ファイル)への録音が可能
・CD/USBメモリー/マイク/外部入力機器からカセットテープ への録音が可能


◆対応カセットテープ

以下のテープの録音/再生に対応しています。
再生:ノーマル(TYPE I)、クローム(TYPE II)、メタル(TYPE IV)
録音:ノーマル(TYPE I)、クローム(TYPE II)
テープタイプはC-10(10分)からC-90(90分)のタイプの録音/再生ができます。

・マイク入力とCD/USB/カセット/外部入力のミキシングが可能
・マイク ミキシング音声を カセット/USBへ録音が可能 (CDとマイク入力をミックスした音声は、USB録音不可)
・MP3ファイル再生(USBメモリー、CD-R/RW)
・MP3ファイルの ID3タグやファイル名を表示可能(USBメモリー、CD-R/RW)
・ダビング時の録音レベル調整可能(※CD/USBメモリーのみ不可)
・「連続再生」「シャッフル再生」「プログラム再生」など多彩な再生モード(CD/USBメモリー)
・再生中の曲の経過時間や残り時間、ディスクの総経過時間や総残り時間表示(CD)
・カセットテープカウンター機能
・カセット テープ ピッチコントロール(±10%)機能(再生時のみ)
・録音・再生時に有効なピークレベルメーター装備

・専用リモコン付属

・RoHS対応


◆ここでちょっと、カセットテープの歴史について簡単に振り返ってみましょう。

カセットテープには大きく分けて4種類のタイプがありました。「ノーマル」「ハイポジ」「クロム」「メタル」の4種類です。それぞれ磁気テープに使われている磁性体が異なっています。

※ノーマル(TYPET)は磁性体に酸化鉄を使用。
ヒスノイズを抑えるローノイズタイプなどもありました。

※ハイポジ(TYPEU)はコバルト添加酸化鉄磁性体を使用。
高域出力や保磁力を高めたことがハイポジションの由来です。

※クロム(TYPEV)は、酸化鉄と酸化クロムの2層を塗布。
2層とする事で、特に高域特性を改善された高性能タイプ。

※メタル(TYPEW)は、磁性体に酸化していない純鉄を使用。
最高の音質を誇りますが、製造コストが高く高価な製品となりました。

※現在、発売しているカセットテープはマクセルのノーマルモデル「UR」シリーズ(TYPET)のみとなっています。

◆カセットテープの規格

フィリップスが1963年に無償公開したオーディオ用磁気記録テープの規格です。
(100mm×63mm×13mm)のコンパクトなカセット交換式、テープ幅(3.81mm)、テープ走行速度(毎秒47.6mm)。
一番最初のカセットテープは60分でしたが、その後レコードの両面の録音用に46分というテープが発売されました。

更に、CDの録音用に74分や90分が発売。カラオケがブームになると曲単位の10分テープが製造されるようになりました。1曲が長いクラシック用に120分や150分テープというものもありました。時代のニーズに合わせたて様々な長さが発売されていたんですね。


◆日本のカセットテープの歴史

1966年に日立マクセルが国産初のノーマルカセットテープ(TYPET)を発売。
1972年には音楽専用カセットテープの名作と言われる「UD」を発売して大ヒット、更に1974年には高級ノーマルテープ「UD-XL」も発売。
クロームテープは1970年、ドイツのBASFが世界初のクロムテープ(TYPEU)を発売。
メタルテープは1989年、TDKから国産初のメタルテープ「MA-R」を発売・・とだんだんグレードの高い製品が生まれてきました。

ラジオ番組から流れてくるお気に入りの音楽を録音する「エアチェック」したり、屋外にデンスケを持ち出して環境音を録音する「生録」など、カセットテープはさまざまな用途で使われていました。
バブル経済が絶頂を迎えていた1989年には国内でなんと年間約5億本以上の需要がありました。

その後、CD-RやMDなどのデジタル録音ができる記録媒体が主流となり、2000年代以降には、MP3音楽プレーヤーの登場に続き、インターネットを介した音楽のダウンロードやストリーミングといったデジタル音源が浸透してきたことで、カセットテープの需要は全盛期と比べると大きく減少してしまいました。

しかし、1970年代以降のカセットテープ全盛期を過ごしたオールドファンやシニア世代の方には、今でもカセットテープの存在はなじみ深く、根強い人気があり、マクセル「UR」の復刻が実現しています。

現在発売されている新しいマクセル「UR」は以前のノーマルテープと較べると、磁性体の性能や、製造技術が飛躍的な進化を遂げており、記録性能は段違いに改善されています。

ピュアクリスタル磁性体採用による高域感度の高さや高域MOLの広さを実現し、リーズナブルな価格を維持しつつ、音楽用カセットテープとしての実力にも磨きがかかっています。


◆担当者より

以前は各社から発売されていたカセットデッキも本格的な単品コンポとしてはTEAC製品の2機種のみとなってしまいました。カセットテープもマクセルのみとなってしまい寂しい限りではありますが、まだまだ楽しんでいる方も多いソースなんです。

昔に編集した「マイベスト」や「FMエアチェック」など貴重な録音をしたカセットテープを保存している方も多いのではないでしょうか。今回ご紹介したTEAC「AD-850-SE」は貴重なカセット録音をUSBにダビングして保存するために購入される方もいらっしゃいます。

また、アナログならではの暖かい音質もなかなか捨てがたい魅力があり、カセットデッキをソースとして復活される方もおられます。人間の聴感特性とカセットテープの周波数特性は相性が良く、聴いていて心地よいと言う意見もあって面白いですね。

現在はストリーミングで多くの曲を手軽に聴く事が出来ますが、一巻一巻が宝物だったカセットテープ時代が懐かしくもあります。






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