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音場工房

[ 2022年 10月 18日付 ]



TADから発売された「TAD-CE1TX」ハイエンドブックシェルフスピーカー試聴記



こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。

TADより、ブックシェルフ型スピーカーシステムの新製品「TAD-CE1TX」が発表されました!!
TAD独自技術とReferenceシリーズの思想を継承し、深化したサウンドを実現。

TADのブックシェルフ型といえば「TAD-ME1」が人気ですが、今回発売された「TAD-CE1TX」は単なる後継モデルではありません。
大幅に進化(深化)し、完全な上位モデルとして開発された、全くの別物として捉えるべき新製品となります。
価格も倍以上になっており、少し驚きましたが、音を聴けば納得出来ます! 試聴してきましたので、その進化(深化)の概要と音質評価をご紹介いたします。


◆ 理想的な点音源再生を実現した「CST(Coherens Source Transducer)ドライバー」を採用

位相の一致したポイントから、広帯域にわたって指向性をコントロールして再生する中高域用の同軸スピーカーユニット「CSTドライバー」を搭載し、安定した定位と自然な音場空間を再現します。ミッドレンジのコーンにより同軸配置されたトゥイーターの指向特性を制御し、トゥイーターとミッドレンジのクロスオーバーにおける位相特性と指向特性を一致させることで、全帯域で自然な減衰特性と指向放射パターンを両立しながら、CSTドライバーのみで250Hz〜100kHzという超広帯域再生を実現しています。


◆ トゥイーターに独自の蒸着法で加工した「ベリリウム振動板」を採用

トゥイーターに、軽量で剛性に優れたベリリウムを独自の蒸着法で成形した振動板を採用。
コンピューター解析による最適化手法「HSDOM(Harmonized Synthetic Diaphragm Optimum Method)」を用いて形状設計し、分割振動とピストンモーションの最適バランスを導き出すことで、100kHzまでの超広帯域再生が可能です。


◆ ミッドレンジに高内部損失の「新開発マグネシウム振動板」を採用

ミッドレンジに、実用金属の中で最も軽く内部損失が高いマグネシウム振動板を採用。表面に化成被膜と塗装による複合処理を施すことで、表面硬度のさらなる向上と損失の付加をはかり、材料固有の共振音による影響を排除し、歪みの少ない澄み切った中音を実現しています。また、サスペンションと振動板における中高域での逆共振を制御し、低歪化と立下り特性の改善を行っています。


◆ ウーファーに「新開発MACSU(Multi-layered Aramid Composite Shell 2nd generation)振動板」を採用

アラミドの織布と不織布を5層にラミネートした振動板をさらに改良し、センターキャップとコーンを一体化した1ピースのシェル状(殻形状)振動板の物性最適化を行うことで、豊かでクリアな低音を再生すると同時にカラレーションのない素直な中低域を再生します。


◆ 高い制振性と強度をもつ「SILENT(Structurally Inert Laminated Enclosure Technology)エンクロージャー」

高剛性のバーチプライウッド(樺合板)を骨組みに使用し、内部損失の高いMDF材と組み合わせることで高い強度と低共振を実現する「SILENTエンクロージャー」。エンクロージャー左右の側板に、10mm厚の高剛性アルミパネルを装着することで、キャビネットの共振をさらに低減しています。また、エンクロージャー内部の定在波解析を行い、最適な吸音材を効果的に配置することで、音像・音場に悪影響を及ぼす内部定在波を排除しています。


◆ 自然で豊かな低域を再生するポートシステム「Bi-Directional ADS(Aero-Dynamic Slot)ポート」

スリット形状のポート(ダクト)をエンクロージャーの両サイドに設置し、開口部をホーン形状にすることで、滑らかな空気の流れを実現するポートシステム「Bi-Directional ADSポート」を継承。大振幅時のポートノイズを低減するとともに、ポートからの内部定在波の漏洩を抑制することで、レスポンス良く豊かな低域を再生します。また、ポートの開口部を前後・左右対称にレイアウトすることで、ポート駆動による振動を打ち消し自然な低域を再生します。


◆ 木目が美しい「トロピカル オリーブU」材をエンクロージャーに採用

従来モデルで好評のトロピカルオリーブ柄を継承し、さらにその美しさを生かす濡れたような質感を持つ全面鏡面仕上げにしました。透明度の高い品位ある塗装を施し、塗装の吹き付け作業や下地塗装の研磨、最終の磨き上げの工程を熟練の職人が丁寧に時間をかけて仕上げています。


◆ ネットワークフィルターとターミナル端子

トゥイーター用・ミッドレンジ用・ウーファー用の独立した3つの基板Assyは、各々の干渉を最小限にするためエンクロージャー内部に3次元的にマウント。
CST用のフィルターには、厳選されたPPフィルムコンデンサー・低損失電解コンデンサー・無誘導抵抗・空芯コイルなどを使用。

一方、18cmウーファー用には磁気特性に優れる低損失コアを用いたコイルを使用し、直列に挿入される抵抗分をできるだけ低減。
音出力特性、エネルギー特性、インピーダンス特性などを考慮し、システムの音圧特性、位相特性、指向性特性が適切となるようなフィルターカットオフスロープを実現。
新形状のエンクロージャーとドライバーに合わせ、位相特性、振幅特性を見直し、最適化した結果、音場感や音像の立体的な再現性の向上を実現。

入力ターミナルはCE1で好評だった仕様を継承、バイワイヤ接続に対応するためCSTドライバー用ネットワークとウーファー用ネットワークへそれぞれ接続できます。
高剛性の5mm厚アルミプレートにマウントし、極太のケーブルにも対応。


◆ 性能を最大限に引き出すスタイリッシュな専用スタンド

専用スタンド「TAD-ST2TX-K」は、高強度でありながら高い制振性を持つ構造により、「TAD-CE1TX」のパフォーマンスを最大限に引き出します。


◆ 仕様

型式:3ウェイバスレフブックシェルフ型
ウーファー:18cmコーン型
ミッドレンジ/トゥイーター:同軸14cmコーン型/3.5cmドーム型
再生周波数帯域:34Hz〜100kHz
クロスオーバー周波数:250Hz、1.8kHz
出力音圧レベル:85dB(2.83V・1m)
最大入力:200W
定格インピーダンス:4Ω
ユニット極性:低域(+)、中域(+)、高域(+)
外形寸法:287mm(W)x510mm(H)x447mm(D)
質量:29kg
付属品:ウーファーグリル、ショートケーブルx2、滑り止めパッドx4、クリーニングクロス、オーナーズマニュアル


◆ 試聴してきました。

この「TAD-CE1TX」はこれまでのCE1を基準に、ドライバー・ネットワークなど、スピーカーの要の要素を大きくブラッシュアップ。
ある意味ではCE1の延長というよりも、上位モデル「TAD-CR1TX」の兄弟モデルの新製品と思える音質を誇ります。

その表現力はさらに磨き抜かれ次の次元へ到達していました!
単なるモニタースピーカーでは無く、サウンドは伸び伸びとして、究極と言える緻密な音楽再現性を誇ります!!

一見「TAD-ME1」とそれほど変わらないかと見えますが、「ユニットの強化や取付位置の調整」「エンクロージャー内部の補強」「ネットワーク部品の配置の見直し」など、見えないところで実際は大きく深化しています。


写真左「TAD-ME1」
写真右「TAD-CE1TX」

実際に聴いてみると、TADらしい真面目な表現だけが前に出過ぎることがなく音にゆとりを感じます。
音楽をもっと聴いてみたくなる楽しさと、一音一音を丁寧に表現する真面目さが高次元で両立したスピーカーといえるのではないでしょうか!

ブックシェルフ型スピーカーとしては非常に高価ではありますが、同価格帯の海外製トールボーイスピーカーと比べても決して表現力では劣らない逸品と感じました。

今回の試聴はエージングも完全に終了しておらず、実力をフルに発揮しているとはいえない状態でしたが、限りない可能性を感じます。
決して鳴らしやすいスピーカーではないと思いますが、時間をかけて追い込んで行くことで絶対に手放せないスピーカーになると思います。

※こちらの商品は完全ペアリングで出荷されているため、2本単位でのみご注文をお受けしております。





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