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音場工房

[ 2023年 1月 10日付 ]



アキュフェーズの本社・工場を訪問しました!!



こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。
本日は、横浜市青葉区にあるアキュフェーズの本社・工場をご紹介いたします。



1973年に発売された第一号機から、歴史に残る数々の銘機はもちろん、最新のモデルまで、この本社で設計・生産されているんです! まさにオーディオの聖地と言える場所です。

今回は、そのほんの一部ではありますが、撮影した写真と共に、長年愛される「アキュフェーズ」の魅力を探ってゆきたいと思います。

2022年に創立50周年を迎えたアキュフェーズでは、未来に向けて事業の基盤を一層強固にするため、2020年3月に第二社屋が完成! この新しい第二社屋と既存の第一社屋の生産ラインを取材してきました。



◆『 アキュフェーズ 』とは

Made in Japanのハイエンド・オーディオ・ブランド『 アキュフェーズ 』。
1972年の創業以来、一貫した独自の経営方針・企業ポリシーを掲げ、モノ創りを続けています。

詳しいブランドの生い立ち・製造商品はこちらをご覧ください。



◆開発・技術部門を訪問

※上記写真2枚は、2017年訪問時のものです。

アキュフェーズの開発ポリシーは「ハイエンドオーディオの高音質」と「高い安全性、信頼性、長期安定性」を兼ね備えた製品!
極限的な性能と優れた音質が両立していなければならない!
アキュフェーズの独自の厳しい設計基準は国際的な安全規格の全てを満足させる内容だそうです。素晴らしいですね!



◆安心の「5年間保証」

アキュフェーズのオーナーの方は、ご存知だと思いますが、アキュフェーズ製品のメーカー保証は5年間となっています(SA-CDおよびCDプレーヤー、トランスポート製品は3年保証)。これは、部品の厳選と十分に余裕を持たせた設計だから出来る事です。

使用する部品は日本製または日本国内の取扱会社が保証する部品だけを選んで使用! さらに部品が生産されている会社や工場の品質や管理体制を確認して採用。こだわっています!

開発・技術部門の一角には膨大な資料が大切に保管されていました。
高度な製造技術と高い品質管理の為のノウハウがここに蓄積されています!



《 第一社屋 》の製造部門を訪問します。



◆熟練技術者による製造

アキュフェーズの製造部門には家電メーカーの工場で必ず見る、自動で流れるベルトコンベアは一切ありません。熟練技術者が責任を持って精魂を込めて定められた工程の組み立てを行っています。
非常に整理整頓が徹底されていて、製品の高い完成度も納得です!



◆仕上げ確認工程

シャーシに組み立てられた回路や部品の不良、誤配線、基本的な動作なども、もちろん手作業で検査。試験、測定、検査を繰り返し行い、全ての製品が同じ性能、同じ音質を実現しています。
高度な製造技術と高い品質管理体制によって達成されているんです!



◆最終性能検査前のエージング工程

初期不良の摘出と音質を安定させる目的で、組み立てられた全ての製品を実際に動作させながら24時間以上の連続運転試験を行っています。

一般的なオーディオメーカーでは「抜き取り検査」と言って、一部の製品をチェックするだけに留まっていますが、アキュフェーズでは生産した全ての製品に対して実施されています。



◆微調整・全項目性能測定

全入出力端子、全項目が保証特性を満足できるまで、入念な調整と全項目の性能測定を行っています。ここでも専門の熟練技術者が1台1台を最良ポイントに調整。
標準規格を満足させるだけでなく、個体別にひずみや雑音が最も低くなるベストな状態へと調整しています!!



◆外装部品の調整・取付

心地よい操作フィーリングのために、パネルやツマミ類の取付誤差を最小限に調整、操作感も入念に調整されています。同時に、キズやホコリの有無など細部にわたる箇所も入念にチェック。
アキュフェーズ製品ではツマミがずれていたり、スイッチの不良などが、ほとんど皆無なのも納得です!



◆外装パネル取り付け・検査工程

製品を動作させながら振動機で一定の振動を加えて、ハンダ付けの不良や接触不良、異物の混入などを検査しています。他社の工場では見たことが無い試験ですが、初期不良の発生を抑えるために非常に有効で大切な工程だそうです。



◆実稼働検査工程

実際に製品を動作させながら人間の五感を使った感覚的な検査も行っています。
製品の音質はもとより、操作の感触や動作音といった細かいところまで厳重に検査をしていますので、全ての製品を安心してお使いいただけます!



◆メーター・表示のチェック

実働検査では、メーターや表示部分の明るさのムラなどのチェックも全ての製品に対して実施しています。
ランプ切れなどは絶対に見逃しません!



◆手動コンベアの「DP-450」達

別室では「DP-450」が生産されていました。
勿論ここでもベルトコンベアは使われていません。
熟練技術者が納得行くまで精魂を込めて調整や検査、試験を行い、厳しい性能検査が実施されていました。



◆出荷検査

製造部門とは別に、品質管理部門でも独自に定めた検査規格で出荷の良否を判定しています。もちろん生産された全ての製品はここで検査を受けてから出荷されます! 何回にも及ぶ厳重な検査をクリアした製品だけが出荷されています。
ここまでの徹底した品質管理によって不良の少なさを実現しているんですね!



◆出来上がった商品

本日は「E-380」が最後の出荷検査を待って並んでいました。なかなか精悍です!
厳重な調整、検査、点検、測定を繰り返されて丁寧に生産されているため、年間生産/販売台数は僅か5000台程度だそうです。

現在の高い品質を維持するための「量より質」を重視した姿勢は今後も変わることのない「経営方針・企業ポリシー」となっています。



《 第二社屋 》完成した商品は第二社屋の広々とした倉庫に運ばれます。

検査後、出来上がった製品は、日本国内で入手できる最高ランクのダンボールによる二重構造の外装箱に収められ、第二社屋の製品倉庫に保管されて出荷を待ちます。ちなみに輸出モデルも全てこの工場で生産されています。

アキュフェーズのオーナーのほとんどの方は、箱を捨てずに保管されているとの事。メンテナンスや修理の時には必需品となりますからね。



◆歴代のほぼ全ての製品が揃っています

第一号機の「C-200・P-300」から最新の生産完了モデルまで、ほぼ全ての製品が整然と並んでいます。私が昔使っていた「C-200X・P-300X」もあって、なんとも懐かしい気持ちになってしまいました!

創業50年間で何と300機種余りの製品が発売されているそうです。展示されている全ての製品はちゃんと整備されていて、外見も美しく磨かれており、製品に対して愛情が注がれているのが良く分かる展示でした。
昔欲しかったあの製品が・・・!!



《 第二社屋4F 》メンテナンス・修理

アキュフェーズの凄さは新品を買った時だけではありません! 20年・30年前の製品でも修理が出来るのが本当に素晴らしい所だと思います。

写真は歴代機器のパーツ保管庫の一部です。年代別、機種別に主要パーツの多くが大切に保管されています! 歴代のオリジナルパーツの多くを保管しているので、メンテナンスした事によって音質が変わってしまうリスクが発生しないのは何とも嬉しいです。

また、修理が出来るという事は、値打ちが下がりにくいと言う事なので、当然他のブランドと比べて買取価格も高く安定しています。セカンドオーナー登録も開始されて、買うのも売るのも安心ですね!

アキュフェーズ製品オーナーのユーザー登録も全て保管されています。
オーナーの方はお分かりかと思いますが、登録されたお客様には毎年「年賀状」が発送されています! 今では何と5万通以上となっているそうです。



◆1980年代の部品を見せてもらいました

1980年代の製品に使われていた主要パーツです。「C-200X」「P-300X」「E-303」などの懐かしい銘機の貴重なパーツ達です!

1980年代と現代のプリメインアンプのパワー段の基板です。上が最近の製品のパワー段の基板、下が1980年代のパワー段の基板です。比べると一目瞭然ですが、昔はパーツ一つ一つが大きかったんですね!

現在は表面実装パーツも多くなっていて、一枚の基板で左右対称のシンメトリー構造となっています。
※ちなみに下の基板はパワー段の片チャンネル分だそうです。

1977年製のプリアンプ「C-200S」の基板やボリューム・スイッチ類の修理・メンテナンスが終了して、これから組み立てる所です。パネルやツマミ類はもちろんの事、内部のシャーシもぴかぴかで、まるで新品の様に輝いています。
オーナーの方の喜ぶ顔が目に見えるようです!



◆修理メンテナンス部門

様々な年代の修理・メンテナンスを必要とする機器は、こちらに集められて、熟練技術者の手によってメンテナンスが行われています。機器に関する膨大な資料も保管されており、丁寧に取扱いがされていました。

当社の店頭品を販売させてもらった時もこちらにお送りしてメンテナンスを施してもらってからお届けさせてもらっています。

修理代金の概算金額はアキュフェーズのホームページで公開されています。

70/80年代のプリント基板やリレーなど、一部の部品はストックが無くなってしまい、修理不可能な場合もあるようですが、まずはご相談下さいとの事です!
接点を磨いて再利用できる場合などもあるようです。



◆第二社屋5F試聴室

「試聴だけが音質を判断できる唯一の測定器」音質は最新の測定器でも分析することは不可能です。
聴覚によって音質を調整する『 音作り 』が絶対に必要な工程で技術開発とほぼ同じ時間を掛けて試聴を繰り返すことにより、アキュフェーズ製品の高品質が提供されています!

アキュフェーズの一本筋の通った音作りの魅力が良く分かる試聴室です。
今回伺ったときのモニタースピーカーはFYNE AUDIO・ファインオーディオ「F1-12」でした。



◆担当者より

アキュフェーズの「経営方針・企業ポリシー」の中で注目したいのは「製品は出来る限りロングランをする」「デザインをあまり変えない」と言う事!
アキュフェーズの新製品サイクルは4年〜と大変長い期間になっていますが、モデルチェンジをしてもデザインやサウンドのコンセプトが大きく変わらない点に注目!!

これは、発売年数やグレードが異なっていても、使っていて違和感が無く、またセッティングもしやすいという事!! そのため、じっくりと検討して納得できる製品を購入でき、長期的な展望でシステムのグレードアップを目指す事が出来ると言う事です!!

近年、世界情勢の混乱により多くのモデルが品切れとなり、多くのお客様に大変ご迷惑をおかけしており、誠に申し訳ございません。この品切れは各種部品の入荷遅延が主な原因で、今回訪問した工場でも、多くの基板が部品入荷待ちで、待機状態になっていました。
コンデンサーなどの主要部品はもちろんですが、基板のソケットやネジ1本でも欠品すると製品が完成出来ないとのことです。(※2022年12月現在、執筆時)





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