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音場工房

[ 2023年 10月 3日付 ]



アキュフェーズから注目のパワーアンプ「P-4600」新登場!!


こんにちは、ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。

今回はアキュフェーズのAB級パワーアンプの新製品「P-4600」をご紹介致します。
今年のアキュフェーズの新製品では同時発売のA級パワーアンプの「A-80」に注目が集まっていますが、実はこの「P-4600」が最も注目するべき製品ではないかと囁かれているほど、大変完成度が高く、素晴らしいサウンドを聴かせてくれる、お勧めのパワーアンプとなっています。

アキュフェーズでは、スピーカーのポテンシャルを余さず引き出せるように、創業以来、出力インピーダンスの低減や定電圧駆動を追求しながら、過去に40機種を超えるAB級パワーアンプを開発。2018年に発売した、ステレオ・パワーアンプの「P-4500」は、そのスタイリッシュなデザインと想像をはるかに超える躍動感のあるサウンドで、国内外から高い評価を獲得しました。

今回ご紹介する 新製品の『 P-4600 』は「A-300」や「A-80」の開発で培った低雑音化技術に、強力な出力段を備えた「P-7500」の技術を融合、5年に及ぶ開発期間を経て「P-4500」のフル・モデルチェンジにより誕生した『 ステレオ・パワーアンプ 』です。

電力増幅段には、パワー・トランジスターによる『 6パラレル・プッシュプル 』のAB級動作を採用し、150W/8Ω、300W/4Ω、450W/2Ωのハイパワーを実現。

また、信号入力部がバランス回路で構成された『 インスツルメンテーション・アンプ 』、信号入力部と電力増幅部の『 理想的なゲイン配分 』、2並列回路である『 MCS+回路 』などの採用により、ノイズ性能は「P-4500」に比べ18%改善。

さらに、『 バランスド・リモート・センシング 』や『 半導体スイッチ 』による出力インピーダンスの低減により、スピーカーの駆動力を示すダンピング・ファクターは800を達成。加えて、スピーカー端子のショート事故を未然に防ぐ保護回路を備え、より安心してお使いいただける製品に仕上げられています。

先進の技術で磨き上げ、大型スピーカーも軽々と駆動する「P-4600」は、あらゆるスピーカーのポテンシャルを引き出し、セパレート・システムならではの繊細な表現と醍醐味を体感できるパワーアンプです。


◆6パラレル・プッシュプル AB級動作が実現する150W/8Ω、300W/4Ω、450W/2Ωのハイパワー

スピーカーのポテンシャルを余さず引き出すため、パワーアンプ部は激しく変動するスピーカーのインピーダンスによる影響を受けることなく、スピーカーを定電圧駆動することが大切です。スピーカーを定電圧駆動するためには、パワーアンプ部はインピーダンスに反比例する電流をスピーカーに供給しなければなりません。

例えば、4Ω負荷では8Ω負荷の2倍の電流になります。「P-4600」ではパワー・トランジスターの数を増やして電流供給能力を上げ、出力インピーダンスを下げることで、動的な定電圧駆動を実現しています。

低出力インピーダンス化は、リアクタンス成分を含んだ負荷の駆動にも優れ、スピーカーのヴォイスコイルで発生する逆起電力を吸収し、IMひずみの発生を防ぎます。

「P-4600」の電力増幅段には、高周波特性に優れ、コレクター損失150W、コレクター電流15Aの大電力パワー・トランジスターを採用。この素子を6パラレル接続プッシュプルAB級動作させることにより、非常に低い出力インピーダンスを実現。

さらに1ペア当たりのパワーの負担が1/6に軽減されるため、大電力領域での動作が安定し、諸特性が向上。出力素子を大型ヒートシンクに分散させながら搭載することで、効率の高い放熱を実現。


◆大型トロイダル・トランスと大容量フィルター・コンデンサーによる強力電源部

全ての電力の供給源である電源部は、音楽の源となる重要な回路です。そこで、低インピーダンス負荷ドライブに求められる電流供給能力に優れた、大電力容量の大型トロイダル・トランスを搭載。さらに、熱伝導に優れ防振効果の高い充填材を用いて、高効率放熱構造のケースに固着、外部への振動を遮断。

トロイダル・トランスは、閉じた磁路を形成するドーナツ状のコアに太い銅線を巻くため、小型で変換効率が極めて高く、大型パワーアンプには不可欠な部品の一つで、大出力アンプ用として優れた特性・特長を備えています。

また、整流器を通過した脈流を直流に平滑するアルミ電解コンデンサーには、性能や音質を重視して箔の材質やエッチング、電解液などを選び抜いた特注品を採用、80V / 50,000μFの大容量品を2個搭載し、ゆるぎない余裕度を誇ります。


◆外来ノイズの除去能力に優れた『 インスツルメンテーション・アンプ 』

増幅回路全体は、『 インスツルメンテーション・アンプ (Instrumentation Amplifier) 』で構成。インスツルメンテーション・アンプは、信号入力部がバランス回路で構成され、+入力と-入力の入力インピーダンスが等しいため、外来ノイズの除去能力やひずみ率が優れており、オーディオ・アンプに最適な回路です。


◆ディスクリート構成フルバランス回路による信号入力部

信号入力部には、ディスクリート構成によるフルバランス回路を搭載。同一振幅で位相が反転(180度)したインバート(−)とノン・インバート(+)のバランス信号が入力されます。

信号入力部では、これらの差信号を作り出すことで、同相でケーブルに飛び込むノイズ成分をキャンセルし、音楽信号のみを取り出します。フルバランス回路は、プラス入力とマイナス入力の条件を理想的にそろえることで、バランス回路の性能を極限まで高めています。

◆理想的なゲイン配分

雑音性能を改善するためには、雑音指数(NF:Noise Figure)の良い信号入力部に、高いゲインを割り当てることが効果的です。信号入力部にP-7500と同等の低雑音ディスクリート回路を採用し、オペアンプを使った回路では困難であった22dB(約12.6倍)の高いゲインを割り当てることで、低ノイズ化を実現。


◆信号入力部の安定動作を支える専用電源

信号入力部と電力増幅部の電源が共通の場合、電力増幅部で増幅した大振幅信号が、電源を通して信号入力部に影響を与え、ひずみ率やSN比を悪化させます。信号入力部に専用電源を搭載し、電力増幅部からのノイズの混入を防ぐことで、ひずみ率やSN比を改善。


◆ひずみ率やSN比などの性能を大幅に向上させる『 MCS+回路 』

電力増幅部の電圧増幅段に、アキュフェーズ独自技術の『 MCS+ (Multiple Circuit Summing-up) 回路 』を採用。MCS回路は、電圧増幅段を電圧増幅段A/Bの2並列接続にすることで、理論上ノイズ成分を約30%低減します。

『 MCS+ 』はMCSをさらに進化させたもので、初段バッファアンプのバイアス回路を改善して回路安定度を高め、並列動作させる部分を『 電流−電圧変換部 』のA級ドライブ段にまで拡張して、さらなる低雑音化を実現する回路です。


◆安定したスピーカー駆動を可能にする『 3段ダーリントン接続 』

スピーカーからの逆起電力による影響を最小限に抑えるためには、出力段の強化だけでは不十分です。3段ダーリントン接続は、電力増幅段の3段目に位置する6パラレル・プッシュプル出力段を、2段構成の強力なドライブ回路で駆動する方式です。
これにより、スピーカーからの強力な逆起電力による影響を受けることなく、安定したスピーカー駆動を実現しています。


◆高域の位相特性に優れた『 カレント・フィードバック増幅回路 』

信号入力部と電力増幅部に、出力を電流値で帰還するカレント・フィードバック増幅回路を採用。この回路は、本機のゲインを切り替えても周波数特性の変化がほとんどなく、高域の位相特性にも優れ、自然で躍動感のあるスピーカー・ドライブが可能。


◆高い『 ダンピング・ファクター 』

ダンピング・ファクターとは、パワーアンプの出力インピーダンスとスピーカーのインピーダンスの比であり、数値が大きいほどアンプがスピーカーをコントロールする能力が高いことを意味します。つまり、ダンピング・ファクターが高いほど、短い時間でスピーカーからの逆起電力を吸収して不要な振動を抑え、理想的なスピーカー駆動を実現します。
アンプ回路やNFB経路等の最適化によって、アンプの出力インピーダンスを10mΩ以下に抑え、ダンピング・ファクター800を実現。


◆ダンピング・ファクターを向上させる『 バランスド・リモート・センシング 』

電力増幅部の出力インピーダンスを下げるためには、負帰還のセンシング・ポイントを可能な限りスピーカー端子へと近づけ、スピーカーに加わる電圧を正確に検出することが重要です。

アキュフェーズでは、プロテクション回路にスピーカー端子を直付けするなどの工夫を凝らし、スピーカー端子の直近にセンシング・ポイントを配置して、スピーカーに加わる電圧を検出。この手法をさらに発展させて、スピーカーに加わる電圧をより正確に検出する技術が『 バランスド・リモート・センシング 』。

バランスド・リモート・センシングは、一般的に同電位と考える電力増幅部のGNDとスピーカー端子のGND間の極わずかな電位差に着目し、信号だけではなくGNDもスピーカー端子の直近から帰還をかけます。その結果、より正確にスピーカーへ加わる電圧を検出することが可能になります。

また、信号のみのセンシングに比べて出力インピーダンスを下げることができ、ダンピング・ファクターが向上。


◆長期に渡る信頼性を確保する『 MOSFETスイッチ 』

アンプが異常状態に陥った際、スピーカーとの接続を切り離し、スピーカーの破損を防ぐのがプロテクション回路。一般的には機械式接点を持つ『 出力(プロテクション)リレー 』を用いますが、接点の酸化や硫化により接触抵抗が増加し、性能や音質が劣化するという問題がありました。

そこで、接点のない『 MOSFETスイッチ 』を採用することで、この問題を解決し、長期に渡る信頼性を確保。定格電流が非常に大きく(160A)、ON抵抗が非常に低い(0.0016Ω)MOSFETスイッチを採用しています。


◆プロテクション基板に直結されたスピーカー端子

インピーダンスをより低く抑えるため、プロテクション基板とスピーカー端子を結合。その結果、負帰還のセンシング・ポイントとスピーカー端子の信号の違いが減少し、スピーカーに加わる電圧を正確に検出することで、ダンピング・ファクターと音質の向上を実現。


◆『 バランス入力端子 』搭載

バランスとラインの2系統の入力端子を搭載。
プリアンプ等のバランス出力回路では、互いに位相が反転した2つの信号、インバート(−)とノン・インバート(+)を出力します。

出力された信号はケーブルで伝送される際、外部からノイズが加わる可能性がありますが、信号入力部では、この2つの信号の差分を増幅することで、ノイズ成分はキャンセルされます。ノイズはケーブルが長いほど、加わる可能性が高くなりますので、バランス伝送はケーブルが長いほど有効な伝送方法です。

ただし、一般的なご家庭の5m程度までのケーブル長であれば、ライン伝送とバランス伝送に性能面での大きな違いはありません。バランス入力端子とライン入力端子をフロント・パネルで切り替えることが可能です。


◆バナナ・プラグや大型Yラグが挿入可能な2組の大型スピーカー端子

◆4段階のゲイン・コントロール

◆高感度アナログ・パワーメーター


◆アルミ材ヘアライン仕上げのトッププレート

◆ハイカーボン鋳鉄製高音質インシュレーター



■ 仕 様 ■

定格連続平均出力(20〜20,000Hz間、両チャンネル同時動作):
 ・ステレオ仕様時(両チャンネル同時動作) 450W/ch 2Ω負荷、300W/ch 4Ω負荷、150W/ch 8Ω負荷
 ・モノフォニック仕様時( ブリッジ接続)900W 4Ω負荷、600W 8Ω負荷

全高調波ひずみ率:
 ・ステレオ仕様時(両チャンネル同時動作)0.05% 2Ω負荷、0.03% 4〜16Ω負荷
 ・モノフォニック仕様時(ブリッジ接続)0.05% 4〜16Ω負荷

IMひずみ率:0.01%

周波数特性:
 ・定格連続平均出力時: 20〜20,000Hz +0 −0.2dB
 ・1W出力時:0.5〜160,000Hz +0 −3.0dB

ゲイン(利得):28.0dB(GAINスイッチ:MAX時/ステレオ/モノフォニック仕様時共)
ゲイン切替:MAX、−3dB、−6dB、−12dB
負荷インピーダンス:ステレオ仕様時:4〜16Ω、モノフォニック仕様時:8〜16Ω
ダンピング・ファクター:700(ステレオ仕様時)

入力感度(8Ω負荷、GAINスイッチ:MAX時):
 ・ステレオ仕様時 1.38V 定格連続平均出力時、0.11V 1W出力時
 ・モノフォニック仕様時 2.76V 定格連続平均出力時、0.11V 1W出力時

入力インピーダンス:ライン/20kΩ、バランス/40kΩ
S/N(A補正、入力ショート):125dB/GAINスイッチMAX、130dB/GAINスイッチ−12dB(定格連続平均出力時)
出力メーター:−∞〜+3dB、対数圧縮型アナログメーター、表示消灯機能付、ホールドタイム:0秒/3秒/∞切替式

電源:AC100V・50/60Hz
消費電力:94W/無入力時、440W/電気用品安全法、565W/8Ω負荷定格出力時
外形寸法:幅465mm×高さ190mm×奥行427mm
質量:30.0kg


◆担当者より

今回ご紹介した「P-4600」は前作「P-4500」から5年の歳月を経て発売された最新モデルで、上位クラスの「P-7500」の回路をベースに開発されており、大幅なグレイドアップを実現しています。

低雑音入力アンプによりSN比は「P-4500」の121dB→「P-4600」125dBに、何と一気に4dBも改善。「P-4500」の4パラレルプッシュプル90W/8Ω→「P-4600」では6パラレルプッシュプル150W/8Ωに、40%の大幅強化。
駆動力の目安となるダンピングファクターは「P-4500」の700→「P-4600」800に改善。


◆日本橋店で試聴して来ました

現行モデルの「P-4500」と直接に比較試聴してきました。
一聴して感じたのはコントラストとSN感の改善が実感出来ました。音の立ち上がりがスムーズになり、音場感や響きを豊かにし、演奏の生々しさやリアル感の大幅な向上を感じました。

更に駆動力も向上しており、低域がぐっと下まで伸びきって沈み込むような低域が表現出来るようになっており、吹っ切れ感やスケール感は明らかに前作を上回り、ドライブ力の向上は顕著でした。

静けさとパワー感という相反する特性を見事に両立した見事なグレイドアップを実現しています。トータルでは数字以上の、聴感上のS/N感の向上が大きく効果を発揮しており、ワンランク上のパワーアンプに仕上がっています。

セパレートアンプのグレイドアップに、プリメインアンプのステップアップ等にお勧め致します。





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