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音場工房

[ 2023年 10月 31日付 ]



DENONの定番プリメインアンプ「PMA-2500NE」をご紹介!!


ハイエンドオーディオ担当の "ichinose" です。
今回は、プリメインアンプの定番「2000シリーズ」から、発売から不動の人気を誇る「PMA-2500NE」をご紹介いたします。
DENONの「2000シリーズ」は、「Beyond the Best(最高を超える)」のコンセプトのもと、超ロングセラーの「2000/1650シリーズ」として、実に20年の長きに亘り磨き上げてきた性能・音質を遥かに超え、従来機以上のクオリティを実現することを最終目標に開発を進めて製品化されたのが「PMA-2500NE」です。ちなみに、「2500NE」の「NE」は、「New Era(新時代)」の意味だそうです。

「本格的なオーディオを始めたい」という際に、アンプの購入候補としてよく登場する“登竜門”的なプリメインアンプが、DENON「PMA-2000」シリーズです。


◆DENON「PMA-2000」シリーズの歩み

1996年に初代機「PMA-2000」が登場、それ以降も「PMA-2000MK2」「PMA-2000MK3」PMA-2000MK3R」「PMA-2000MK4」、そして「PMA-2000AE」「PMA-2000SE」「PMA-2000RE」と進化を重ね、2016年に発売された「PMA-2500NE」が現在もラインナップされています。

DENONの中級アンプの定番モデルというだけでなく、オーディオ界における“2chプリメインアンプの代表格”と言っても過言ではありません。

DENON「PMA-2000」シリーズが定番として支持されてきた背景には、音のクオリティと価格のバランスのほか、コストパフォーマンスに大変優れている事、巧みな音造りによる高い音質評価があります。

また、ハイレゾに代表される“ファイルオーディオ”にソースがシフトしている現実を受けて、デジタルミュージックに対応した設計が必要となり、シンプルなアナログ・プリメインだった「PMA-2000」シリーズの最新モデルとして、USB DACを搭載したのが「PMA-2500NE」です。


◆DENONのサウンドマネージャシステムについて

製品の構想と音質を監督し、仕上げていく、DENON独自の“サウンドマネージャー・システム”「PMA-2500NE」の責任者が、山内慎一氏です。

山内氏がゼロから監修した初めての製品が今回ご紹介する「PMA-2500NE」となり、“次世代のDENONの音”を体現する初の製品となっています。サウンドマネージャーとは何なのだろうか? 山内氏曰く「DENONの音のダイレクション、つまり方向性を決めるのが役割です」との事。

製品の最初の段階である設計や構造に関わるのはもちろんですが、最終仕上げのチューニングにその手腕が発揮されています。

多くのチューニングと試聴を繰り返してサウンドを完成させて行く作業は根気とセンスが問われ、最終的なモデルのサウンドの評価と直結します。

DENONの音の特長としてよく言われるのは「繊細で、かつ力強い音」、そして「正確さと安定感」です。
多くのDENONファンに支持されている「DENONサウンド」の伝統についてはこれからもしっかりと守り続けていきながら、新しい要素を加えて音を作る。
「Vivid(ビビッド)」「Spacious(スペーシャス)」などの要素をより改善したサウンドを目指した設計。

「Vivid」とは「生き生きした」「鮮明」「フレッシュ」「起伏」「コントラスト」が優れていて、音楽のパッションやエッセンスを伝える。
「Spacious」とは「空間感」「広大なスケール感」「音場感」「サウンドステージ」などの表現力となるそうです。
一つ一つの音の精度を非常に高い状態にまで引き上げていくチューニングが施された末に完成した製品と言えます。

生まれ変わったハイレゾ対応USB-DAC搭載プリメインアンプ「PMA-2500NE」の高い評価は、そんなこだわりから誕生しているんですね!!


◆Advanced UHC-MOSシングルプッシュプル回路

「繊細さと力強さ」を高い次元で両立するために、出力段には微小領域から大電流領域までのリニアリティに優れ、大電流を流すことができる「UHC-MOS(Ultra High Current MOS) FET」をシングルプッシュプルで用いるシンプルな回路を採用。

多数の素子を並列駆動して大電流を得る手法において問題となる素子の性能のバラツキによる音の濁りを解決し、楽音の繊細な表情までを描ききる表現力を実現するために、DENONは1ペアという最小単位の素子による増幅にこだわって採用。

「PMA-2500NE」にはフラッグシッププリメインでも使われていた、高耐圧、大容量(ピーク電流210A)の「UHC-MOS FET」を採用しています。


◆ハイゲインアンプ・コンストラクション

増幅回路を従来のフラットアンプ+パワーアンプの2段構成からハイゲインパワーアンプによる1段構成に変更。音声信号が通過する素子の数を減らし、信号経路を限りなく短くすることにより、純度の高いサウンドを実現。
さらに、パワーアンプ出力段の保護回路を刷新。

電流リミッターを取り除き、パワートランジスタの温度変化をリアルタイムでモニターする方式に変更。

加えて、ドライバー段のトランジスタの電流容量も1.5Aから2Aに強化。
その結果、アンプの瞬時電流供給能力は従来の2倍以上(110A)となり、スピーカー駆動力の飛躍的な向上を実現、スピーカー駆動力の数値のダンピングファクターは何と700以上(20Hz〜20kHz)を達成しています。

※ダンピンファクター700以上は、他社のハイエンドブランドの場合、50〜100万円クラスに匹敵します!!


◆高速熱帰還回路

パワーアンプのUHC-MOS、温度補償トランジスタに加え、新たにパワーアンプのドライバー段のトランジスタもラジエータ(銅プレート)に熱結合。アイドリング電流に関わる全ての素子が熱結合される為、アイドリング電流の安定度が増し、ぶれない安定した音を実現。


◆DCアンプ回路

回路のシンプル&ストレート化を徹底するために、入力から出力に至るまで、アクティブサーボ回路とカップリングコンデンサーを完全に排除。
DC安定度の高いアンプ回路を実現するため、DCサーボ回路にはコンデンサーと抵抗によるシンプルなパッシブ回路を採用。

また、Dual FET+カスコードブートストラップ接続によるFET差動入力アンプ回路を見直すことでDC特性を改善し、従来モデルよりも安定した低域再生を実現しています。


◆強力な電源回路

2つのトランスを逆向きに配置し、お互いの漏洩磁束をキャンセルする「L.C.マウント・ツイン・トランス」を搭載。整流用のコンデンサーには、DENON専用のカスタム大容量電解コンデンサーを用い、整流素子には低損失、低ノイズ、ハイスピードなショットキーバリアダイオードを採用。十分かつクリーンな電流供給を実現。

シンプル&ストレートな回路構成を生かし切るために、従来ダイオードユニットとブロックコンデンサーの間に設けられていたコネクションユニットを取り除くことにより、パワーアンプへの電源供給ラインを極限まで短く設計。

さらに、電源ラインには極太のOFC線(14AWG)を用いて低インピーダンス化を実現。


◆6ブロック構成シャーシ

フォノイコライザーおよび入力回路、ボリウムコントロール回路、USB-DAC回路、増幅回路、電源部、コントロール部を独立配置した6ブロック構成シャーシを採用。
1.6mm厚の鋼板によるシャーシは外部振動から信号回路を守り、また各回路間の干渉の影響を排除。


◆MM/MC対応フォノイコライザー

MM/MCの両方に対応するフォノイコライザーを搭載。フォノイコライザーは高いゲインを持ち、パターン上のループによる音質への悪影響を受けやすいため、シンプル&ストレート化によって大幅に音質を向上。

「PMA-2500NE」では、MM/MCの切替スイッチをプッシュ式からリレーに変更したことにより、基板上のパターンはより短く、信号ループはより小さくなり、繊細なアナログ信号をより純粋に増幅することが可能に。


◆27型アナログ式ボリウム

ボリウムには多接点ワイヤブラシを採用したオーディオグレードのモーター式ボリウムを採用。DENONがこだわり続けるアナログ式ボリウムは入力バッファ回路が不要であるため、デジタルボリウムに比べて、よりシンプルな回路構成。

また、ツマミのアルミ肉厚を従来の2.5倍にすることで重量を増し、機械的な振動を抑制しています。


◆ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクション

底板に1.6mm厚の鋼板を3枚重ねた堅牢なサブシャーシに設置した電源部を中央に配置。その両側にヒートシンクを配置した構造は、重量バランスに優れ、振動による音質への影響を排除する理想的な配置。

さらに、電源トランスやヒートシンク、シャーシの大きな重量を支えるフットには高剛性で内部損失が大きい無垢の「BMC(Bulk Molding Compound)」を採用、接地面にはフェルトを用い、防振効果をさらに高めています。


◆DSD 11.2MHz、PCM 384 kHz / 32bit対応USB-DAC

新たにDSD 11.2MHz および PCM 384kHz/32bitの入力信号に対応するUSB-DAC機能を搭載。DSDの伝送方式はASIOドライバーによるネイティブ再生と「DoP (DSD over PCM Frames)」に対応。

また、PCのクロックを使用せず「PMA-2500NE」のマスタークロックで制御を行うアシンクロナス転送により、ジッターフリーを実現。D/Aコンバーターには「DCD-2500NE」と同じ384kHz/32bit対応DAC採用し、高品位なサウンドを実現。


◆デジタルアイソレーター

USB接続されたPCから流入する高周波ノイズおよび「PMA-2500NE」のデジタル回路から発生する高周波ノイズによる音質への悪影響を排除するために、高速デジタルアイソレーターを搭載。

ICチップ上に組み込まれたトランス・コイルを介して磁気によりデータ転送を行うため、入力側と出力側は電気的に絶縁された状態に。デジタルオーディオ回路とD/Aコンバーター間の信号ラインを絶縁することで、D/Aコンバーター以降のアナログオーディオ回路への高周波ノイズの影響を排除。

また、電源からのノイズの回り込みを防止するために、デジタル回路専用電源トランスを搭載。

さらに、デジタル入力回路を1.6mm厚の鋼板3枚によるトランスベースの下に配置することにより、デジタル入力回路からの不要輻射によるアナログオーディオ回路への悪影響を排除。


◆PCM 384kHz/32bit入力対応の「Advanced AL32 Processing Plus」

デジタル入力用に、PCM 384kHz/32bit信号の入力に対応した、DENON独自のデータ補間アルゴリズムによるアナログ波形再現技術の最新バージョン「Advanced AL32 Processing Plus」を搭載。
進化した独自のアルゴリズムによって補間ポイントの前後に存在する多数のデータからあるべき点を導き出し、限りなく原音に近い理想的な補間処理を実現。

デジタル録音時に失われたデータを精巧に復元することで、歪みのない繊細な描写、正確な音の定位、豊かな低域、原音に忠実な再生を実現。「PMA-2500NE」のデジタル入力では「Advanced AL32 Processing Plus」を介した高品質なアナログ信号が後段のアンプブロックに送り出されます。


◆DACマスター・クロック・デザイン

DACをマスターとしてクロック供給を行い、デジタル回路を正確に同期させるDACマスター・クロック・デザインを採用。マスタークロックをD/Aコンバーターの直近に配置することで余分なジッターの発生を抑え、高精度なD/A変換を実現。

また、デジタルオーディオ回路の性能を最大限に発揮させるためには、半導体動作の基準となるクロックの品質が極めて重要。そのために周波数の変位である位相雑音を大幅に低減したクロック発振器を搭載。

さらに周波数(44.1kHz/48kHz)別に2個のクロック発振器を搭載し、音源のサンプリング周波数に合わせて切り替えることでジッターを極小化。


◆アナログモード

アナログ音声再生時には、デジタル専用トランスへの給電を断つことによりデジタル入力回路の動作を完全に停止させた「アナログモード」で動作させることが可能。 さらにFLディスプレイの表示も消灯し、純粋なアナログアンプとして動作させることもできます。

※アナログモードに設定中は、USB-B、同軸デジタル、光デジタル入力は使用できません。


◆エクスターナル・プリアンプ入力端子

外部プリアンプと接続して本機をパワーアンプとして使用できるゲイン固定入力「EXT.PRE」入力端子を装備。AVアンプのプリアウトを接続してフロントスピーカーを共用するなど、ホームシアターシステムとの併用に便利です。


◆金メッキスピーカー端子

スピーカー端子には金メッキ処理により経年劣化を防止し、長期にわたる信頼性の高い接続を実現しています。厚みのあるYラグやバナナプラグにも対応しています。


◆CDプレーヤーの操作もできるアルミトップリモコン

「DCD-2500NE」などDENON製のCDプレーヤーを操作することもできるアルミトップリモコンが付属。
また、DENONのネットワークオーディオプレーヤー「DNP-2500NE」と本機をリモートコントロールケーブルで接続すると、「Denon Hi-Fi Remote」アプリを使ってスマートフォンやタブレットから本機の操作を行うことが可能です。


◆その他の機能、特長

・真鍮削り出し金メッキ入力端子(CD入力端子 / PHONO入力端子)
・録音出力端子
・左右音量バランス調整機能
・トーンコントロール
・オートスタンバイモード(出荷時OFF)


◆担当者より

今回ご紹介する「PMA-2500NE」は2016年に発売され、以降ずっとロングセラーを続けている人気モデルです。なんと、発売から約7年が経過していますが、今だに人気が衰えず売れ続けています。
売れ続けている理由は明らかで、抜群のコストパフォーマンスを誇り、価格はミドルクラスですが、ハイエンドアンプを脅かすサウンドが人気です。

価格を考えると圧倒的と言える物量が投入されており、重さはなんと25.0kgで重量級の堂々とした筐体を誇ります。瞬時電流供給能力が従来モデルの2倍以上に強化!! パワフルな低域と、伸びのある音場が魅力的です。

おそらく次期モデルでは同様の物量を投入する場合は、かなり標準価格の上昇が予想されますので、この価格でこのクオリティーを手に出来るのは、このモデルがラストチャンスかもしれません!

「PMA-2500NE」の魅力を最大限に発揮するのはアナログRCAライン入力となります。大型のフロア型スピーカーを浪々とならす事も出来ますし、ハイエンドクラスのブックシェルフスピーカーを切れ味良く再生する事も出来ます。

芯のある音の粒にキレの良い低音、中低域の押し出し感とトルク感に魅力を感じます。
中高域の滑らかさや音場の透明度や表現力もこのクラスではなかなか聴く事の出来ない実力と言えます。


◆日本橋店で聴いてきました

じっくリと聴いたのは久しぶりですが、相変わらずのハイコストパフォーマンスは健在で改めてその実力を認識致しました。
従来の「2000シリーズ」はオーディオファン向けの高解像度で力強さがあり、良い意味でオーディオ的であったのに対し「PMA-2500NE」は高域の鮮度が向上したことで、透明度やスピード感がアップし、少し若返ったといえる活き活きとしたサウンドと感じました。

更に驚くのはダンピングファクター700以上を達成している事で、強力な電源部やAdvanced UHC-MOSシングルPP回路の効果により、フロア型の低域ユニットをしっかりとグリップした高い制動力でダンピングの聴いた低域を再生してくれます。

デジタル入力は「DSD 11.2MHz、PCM 384kHz/32bit」と現在配信されているハイレゾ音源に対応しています。D/Aコンバーターを内臓したことにより、DACとパワーアンプを直結した鮮度の高いサウンドが聴けます。

約7年間経過しているため、最新のDACとは言えませんが、そのレベルは必要にして十分高いと感じさせるサウンドを聴かせてくれます。

※デジタル回路を使用しない時にはアナログダイレクトスイッチによりデジタル回路を完全OFFとした分離が可能となります。
※将来的にはプリアンプを組み合わせてグレイドアップさせる事も可能! パワーアンプとしてもハイコストパフォーマンスを誇ります。


LPレコードの再生にも対応、MM/MC切替え可能なフォノイコライザーが内蔵されています。NF型フォノイコライザーですが、MM型カートリッジや、中クラスのMCカートリッジ(DENON・DL103、DL103R等)に対応した高品質グレードが内蔵されいます。


◆総評

20万円クラスでプリメインアンプをご検討されている方には第1候補としてオススメしているアンプです。
デジタル入力、フォノ入力も搭載されていますが、純粋なアナログ・プリメインアンプとして考えても抜群のコストパフォーマンスと言えます。

このモデルより更に高性能を求めると最低でも30万円の出費が必要となるほど、このアンプのコストパフォーマンスの高さは抜群です。後継モデルが発売される場合は「PMA-A110GS」あたりと同等価格になると思われるので、約10万円のアップが予想されます。

方向性は違いますが、ライバルと言えるのはmarantz「PM-12-OSE」ぐらいでしょうか。
「PM-12-OSE」も近日中に再評価させて頂きます。






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