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[ 2017年5月2日付 ]

英国PMC社25周年記念モデル『twenty5シリーズ』登場!〜新開発テクノロジーでさらに進化!!〜

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、PMCの新旧のテクノロジーを融合した新時代のスピーカー『twenty5(トゥエンティファイブ)シリーズ』をご紹介!
PMCの伝統を守りつつ、定評のあった"twentyシリーズ"をベースに新技術「Laminair(ラミンエアー)」でさらに進化し、単なるグレードアップではなく、モデルチェンジともいえる内容になっています。




PMC 「TWENTY5.21-WALNUT」

世界のプロフェッショナル環境を支えるPMC

PMC製品の輸入代理店として、かつてはヘビームーン、ヒビノがその業務を行い、プロフェッショナル用途を中心に日本国内に紹介されておりました。2015年9月の新生SOULNOTEの誕生に伴い、2016年春から株式会社CSRがPMC製品の輸入販売を開始しました。

PMCは、BBC(英国放送協会)に在籍していたエンジニアが独立して、1991年英国で創立されたスピーカー専業メーカーです。

PMCは、放送、映画制作や音楽制作からマスタリングに至るまで、プロフェッショナルスタジオのモニタリングの中核を担っており、同社のシステムは、世界の主要なクラシック音楽のレコーディング環境を支えるとともに、一方ではTVや映画などの映像&音楽の世界でもプロフェッショナル環境を支えています。血筋は完全にプロフェッショナル・ユースです。

PMCのシステムは、クラシック録音のスタジオとしてはTeldexスタジオ(独)やEmil Berlinerスタジオ(独)の他、Deutsche Grammophon(独)、DECCA(英)、Philips and Harmonia Mundi などのレーベルで、映像&音楽の録音現場としては、BBC、Dolby、DTS、DreamWorks、JVC studio Japan、Metropolis、そしてSony Mastering等でも採用されています。

近年の映画のテーマ曲は、PMCを使って作られているものが多く、タイタニック、パイレーツ・オブ・カリビアン、ミッションインポッシブルなどの製作にもPMCが使われているといいます。これらの功績に対してPMCにエミー賞も贈られました。

“アーティストの思いを脚色することなく伝える”、それがPMCの神髄なのです。

このように、これまでにプロフェッショナル環境で蓄積されたPMC の持つ技術的なノウハウや製造能力は、同社の全てのスピーカーシリーズに生かされ、音楽作品・映画作品にマッチするよう繊細に作られています。

PMC社が創立以来掲げているポリシーである“音を正確に表現する” “いい音は、いかなる場面においてもいい音である”との考え方は、現在さまざまなプロフェッショナルスタジオにおいて、数あるスピーカーの中からPMCシステムが採用されている結果となって現れているのです。

英国クラフトマンシップの神髄

PMC社では、良質な製品を提供し、永きにわたって使っていただくために、スピーカー1本1本を丹念に英国内にて手作業で製造(made in UK)されています。

まずは、使用されるドライバーユニットやキャビネット、ネットワークボードの徹底した品質管理に始まり、各コンポーネントの入念な計測および選別を経て、銀入り半田と無酸素銅ケーブルを用いてのアッセンブリー作業が行なわれます。

やがて製造工程が終わり完成した製品は、クロスオーバーマッチングやペアマッチングなど、全部で14項目にわたる厳密な品質チェックとリスニングテストを通過した上で、ユーザーの手元に届けられるのです。これこそまさに英国クラフトマンシップの神髄といえます。

私がPMCのサウンドを初めて耳にしたのは、1990年代後半の河口無線時代で、試聴会にオーディオ評論家の故長島達夫氏をお招きした時のことです。その鮮烈で生より生らしいサウンドは、その後の私の数あるオーディオ遍歴の中でも、5本の指に入る程のインパクトを与えられた体験となっています。

そのスピーカーこそ今も改良を重ね生産されているPMCのフラッグシップモデル「BB5」だったのです。それは20年も前の話ですが、まだそのサウンドをはっきり記憶しています。それ程当時の印象が強烈だったのです。

PMCの新旧のテクノロジーを融合した『twenty5シリーズ』

今回取り上げました『twenty5シリーズ』は、ご家庭でのリスニングで必要とされるパフォーマンスを提供すべく、PMCの新旧のテクノロジーを融合したコンシューマー用スピーカーです。

具体的には、定評のあったtwentyシリーズをベースとして、新技術のLaminair(ラミンエアー)を始めとして、ウーハー、ミッドレンジ、ツイーターなどのドライバーユニット、クロスオーバー、ターミナルに至るまでメスを入れ、全面的な改良を施したのです。実質的にはモデルチェンジといえる内容になっています。

『twenty5シリーズ』にはブックシェルフ型2機種、フロア型3機種のラインナップがあり、エンクロージャーの仕上げにはそれぞれ4種類(ダイヤモンドブラック、オーク、ウォールナット、アマローネ)あります。


いずれの機種もエンクロージャーはスラント(傾斜)しており、これは明らかにリニアフェイズ(各ユニットの位相を合わす)を意識したものと思われます。

また、前面バッフル下部にあるフィンの付いた長方形で一際目立つバスレフダクトですが、これもPMCの代名詞ともなっているエンクロージャー構造技術である「ATL(Advanced Transmission Line)」を改造した新技術「Laminair」だといいます。

「ATL」は、ウーハーを長いATLの端に配置することにより、その経路と吸音材によってウーハーの背面から放出される高音域成分を減衰させています。低音域成分はATLを通り、ウーハーと同相でに開口部から出力され、第二のウーハーとして働きます。

また、キャビネットの内圧が維持されることで、広い周波数帯でウーハーの制御を可能にし低周波歪を減衰させます。これにより透明感のある中域、ハイスピードな低域というPMCの特徴を生み出しているのです。

ATL Laminair

「Laminair」は、「ATL」の効率をさらに高めた技術で、スピーカーの背面から出る高い音圧を、エアーフロー(背圧の通り道)の最終孔に付けた縦型のフィンによって、通気孔を分割することで、全体の通気量を減らすことなく、効率的かつ滑らかな空気の層を噴出させることで、乱流損失を低減させ、解像度や安定度をさらに高めています。

ドライバーユニットも見直されており、特にウーハーの「g-weave」バス・ドライバーは、新しいデザインの鋳造合金によるフレームにグラスファイバー織りコーンを採用。

コーン中心のダストキャップを、反転(凹)させたガラス繊維のダストキャップとすることで、円錐の形状に沿って非常に滑らかなストロークが実現できたといいます。 ツイーターは、コンピューター解析により最適な拡散のためにデザインされたグリルを採用し、SONOLEXのファブリックドームによって滑らかな軸外特性を実現し、広帯域にわたり高音を綺麗に再現できるのです。

また、磁性流体による冷却方式により発熱抑制を効率化し能率を高め、大音量でもリニアな再現性を発揮できたのです。 スピーカーターミナルも新開発のオリジナルで、前作twentyシリーズではバイワイヤリング仕様でしたが、『twenty5シリーズ』ではすべてシングルワイヤリングとなり、削り出しの純銅&マットロジウムメッキ製で、抵抗値が極めて低く、クロスオーバーボード直結の最短接続とし、Yラグ/バナナ/先バラケーブルのいずれにも対応しています。

デザイン的にも前作より向上しており、特に突き板の質感は上質で高級感のある仕上げとなっています。

最後に。
『twenty5シリーズ』のサウンドは明らかに前作を超えていました。それには新技術「Laminair」が大きく貢献しているようです。高解像度が際立ち、スピード感も向上して、情報量がアップしたことで、ハイレゾ・ソースの再生でもそのメリットが十分生かされました。

特に低域のスピードがアップしたことで、中高域との繋がりがさらに良くなり、サウンド全体にスピード感が出て、スピーカーから音が飛び出すような吹っ切れ感に感心させられました。

ボーカルも実に生々しく自然で、スピーカーを意識させないリアル感でした。音場感の再現性もスピーカーの大きさを意識させないリアルさがありました。

このようにPMCの伝統を守りつつ、新しいテクノロジーでさらに進化を遂げた『twenty5シリーズ』こそ、スタジオユースで鍛えられたPMCの神髄なのでしょう。

“アーティストの思いを脚色することなく伝える”“いい音は、いかなる場面においてもいい音である”を体現できる『twenty5シリーズ』こそ新時代のスピーカーです。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)



PMC『twenty5シリーズ』



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