カテゴリから選ぶ

[ 2017年6月13日付 ]

〜 注目は、ESS社 フラッグシップ 32bit DAC“ES9038PRO”搭載! 〜

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
SOULNOTE(ソウルノート)が、2016年5月発売のプリメインアンプ「A-1」、CDプレーヤー「C-1」を皮切りに、11月プリメインアンプ「A-0」、12月フォノイコライザー「E-1」と立て続けに登場させた”SOULNOTE 10周年記念モデル”。その最後を飾るのが、今回ご紹介しますUSB対応D/Aコンバーター『D-1』です。日本橋1ばん館での試聴を交えてレポートしてまいります。


SOULNOTE「D-1」
試聴しました

まずはCDプレーヤー「DCD-1600NE」のデジタルアウトを『D-1』に同軸接続して試聴を開始しました。


その第一印象は、非常に透明度が高く鮮烈で、全くわだかまりのない、実に抜けの良いサウンドということでした。従来からの“SOULNOTEサウンド”を十分継承しており、非常にストレートで立ち上がりが良く、音程のしっかりした安定感のあるもので、音楽を楽しく聴かせてくれるサウンドでした。

また、音楽の細部を引き出す能力にも長けており、同じCDソフトで従来聴き取れなかった細かな部分が出てきたことには正直驚かされました。ここまで出すのか・・・?と。

今回USB入力では、CDからの44.1kHzのリッピングソフトしか聴いておりませんが、傾向はほとんど同じで、空間感や立体感はCDダイレクトを上回るものを感じました。

さらにPCMのサンプリング周波数を上げることやDSDを再生することで、より実力を発揮できる能力があると確信しました。

スペックは最新のもので、2011年発売のSOULNOTEのD/Aコンバーターの前作「sd2.0B」では、USBは、PCM入力のみでサンプリング周波数は192kHzまでの対応でしたが、『D-1』では32bit/768kHz のPCM 音源に加え、22.6MHz(DSD512)のDSD 音源にも対応。DoP v1.1とASIOの両方に対応しており、ネイティブ再生も可能です。

また同軸とAES/EBU入力は192kHz/24bitまでの対応となっています。

『D-1』とは!?

それでは、独立モノラルモード採用の完全バランスディスクリート無帰還D/A コンバーター『D-1』の中味を見ていきましょう。


注目は左写真のDACチップです。

言わずと知れたESS社のフラッグシップ32bitDAC“ES9038PRO SABRE DAC”を2基を、世界最高レベルのスペック(ダイナミックレンジ140dB)を実現するため左右独立の「モノラルモード」で使用しています。これは非常に贅沢な使い方と言えます。

また、120mA に及ぶ強力なDAC 電流出力を、MHz 領域まで伸びる同社オリジナルのディスクリート無帰還アンプ(Non-NFB:フィードバックなし)で受け取り、これを強力に増幅し出力するのです。

この“ES9038PRO”と「無帰還ディスクリートアンプ」のコンビネーションにより、オペアンプ(アナログ信号を増幅するための基本のIC)では得ることができない、エネルギーに満ち溢れた生々しい音楽再生を実現できたと言います。

さらにデジタルの要でもある「クロック」にも注力しており、位相ジッター1ps(ピコセコンド) 以下と言う超低ジッタークリスタルを採用し、さらにこれをDAC チップに極限まで近接させる基板上のパターンレイアウトにより、理想的なクロック波形を実現していると言います。

因みに、位相ジッターは、クロックの性能でよく使われる周波数安定度(ppm)とは違い、クロックのタイミングの「ゆらぎ」を表す数値です。

右側の内部写真で一際目立つように、本機はD/Aコンバーターにもかかわらず、パワーアンプかと思わせるような260VAの大型トロイダル電源トランスが搭載されています。

無帰還ディスクリートアンプ用電源は異例とも言える± 43V の高電圧設定※として、繊細な空間表現と骨太でエネルギー感に満ち溢れた再生音を両立させたと言います。(※一般的にトランジスタの温度が高いほど性能が上がり、音質も良くなる傾向にあるため、本機は問題のない範囲で高めのトランジスタの温度設定となっております。 そのため一般的な製品と比較して、セット温度は高めですが異常ではありません。)

そして、これもSOULNOTEのアンプでお馴染みの高耐圧・小容量フィルターコンデンサの多数のパラ接続による低インピーダンス化が図られており、電源ラインのスピードアップを果たした結果、S/N 感・スピード感を大きく高めているのです。

DAC周辺回路用の電源には、各ブロック毎に合計8系統の電源を擁し、音質重視で磨き上げた同社オリジナルの高速ディスクリートレギュレターを採用することで、大電流を要求する“ES9038PRO”の実力を限界まで引き出したとのことです。

筐体の剛性は高いものの、あえてトップカバーやシャーシ等の防振は行なわれていません。これはSOULNOTE製品が音質を最重視した結果採用しているものです。

また同社の他の製品同様、付属スパイクによる3点支持を採用しています。フロントパネルにはプラチナム・シルバーとブラックの2色が用意されています。

入力はUSB(Type-B/USB Audio Class 2.0に対応)の他にRCA同軸とAES/EBUの2系統あり(光入力は非搭載)、アナログ出力はXLRとRCAが各1系統装備されておりハイエンド仕様となっています。なお、Windows PCではドライバーのインストール(同社HPより)が必要です。

その他の機能として、入力機器それぞれのクロック精度に合わせた「ロックレンジ」が4段階選択できるようになっており、あらゆるデジタル機器に対応しています。音質的には(音飛びや歪みの発生のない範囲で)「ロックレンジ」が狭い方が有利です。

最後に
前作「sd2.0B」より価格が抑えられており、それだけでもかなりお買い得感はあります。その上でこれだけのハイスペックを実現させたことは天晴れです。

そして何より、ハイエンドブランドAyreの「QX-5 Twenty」やOPPO「Sonica DAC」「UDP-205」に採用され、今大注目のDACチップ“ES9038PRO”を搭載しているのですから・・・。

もちろんDACチップだけで音質が決まる訳ではないのは重々承知しています。しかし、この「D-1」が国産D/Aコンバーターとしてトップクラスの実力を実現できたことの大きな要因が、そこにあることだけは疑いのないことです。

さらにそこにSOULNOTE伝統の吹っ切れ感と音楽性が加味されているのですから“鬼に金棒”と言えます。

最新ハイスペックUSB-DACとしてはもちろん、お持ちのCDプレーヤーを大幅にグレードアップするためのD/Aコンバーターとしてもお考えいただける大変な実力機の登場です。ミドルクラスの国産D/Aコンバーターがここまでの実力を手にしたことは“感動モノ”です。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)



SOULNOTE USB対応D/Aコンバーター『D-1』

※ご紹介した製品は販売を終了いたしました。
こちらは別モデル「D-1N」となります。



SOULNOTE製品ラインナップ