[ 2017年6月20日付 ] |
米国ハイエンドの雄“PASS(パス)”そのエントリークラスのパワーアンプ『XA25』が凄い!! |
ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。 今回は、音質を最優先される本格派のオーディオファンにピッタリのPASS パワーアンプ『XA25』をご紹介! |
■ 米国ハイエンドの雄“PASS(パス)” パス・ラボラトリーズは1984年Nelson Pass(ネルソン・パス)によって米国カリフォルニアで創立されました。PASSの製品は、ネルソン・パスやそのスタッフ達が、欲しい製品を自らが開発すると言うのがその基本スタンスです。 開発スタッフはいずれも熱心な音楽愛好家で、ネルソン・パスの下、彼らの理想の音楽再生に必要な機器を実現すべく鋭意努力していると言います。その設計哲学は、“簡素で自然な特性を持たせること”で、そのために全てのパワーアンプの増幅素子にMOS-FETを採用するのだとしています。 今回ご紹介します『XA25』は、PASSの数あるパワーアンプの中でも、いわゆるエントリー・クラスと言える製品です。出力は小さめの25W+25W(8Ω)で、ネルソン・パスのハンドメイドブランドであるFirst Watt(ファーストワット)とパス・ラボとの橋渡し的製品とも言えます。 ■ 『XA25』に迫る!! まずはPASS『XA25』に投入された数々の技術的な面から探って参ります。 従来のPASS製品は、その殆どが多数のパワーMOS-FETを出力段に使用して、大きな筐体で、巨大なヒートシンクや大規模な電源回路を採用していました。 しかし『XA25』は、パワーアンプとしては比較的小さめの筐体で、シングルエンドの回路構成と信号経路の部品数を削減し、最大出力を抑えたステレオA級アンプとしています。 『XA25』では出力段に新たに工業用パワーMOS-FET(SOT227B)を採用し、NチャンネルとPチャンネルのコンプリメンタリーによるシングルプッシュプル構成というシンプルなものとしています。 これにより“カレントホギング(多数のトランジスタの中の1つに電流が集中する現象)”から開放され、新しい定電流バイアス回路の採用によって、温度ドリフト(温度変化のために起こる信号動作点の変動)からも解消されたと言います。 さらに歪みの最小化と高ダンピングファクターを得るため、出力素子のソース抵抗を排除して、直接スピーカー端子に接続されています。 ネルソン・パス氏は安定性能を得るためにこの回路設計に数年を要したとのことです。それは、見かけ上の特性を良くするための回路テクニックは一切使わず、あくまで音質最優先で、再生帯域の制限やDCサーボなどもない極めてシンプルな純A級動作のアンプを完成させるためだったのです。 電源回路にもネルソン・パス氏のこだわりを見せており、大型のトロイダルトランスと平滑コンデンサーを18個も配したハイスピード電源としています。この結果出力インピーダンスが低く、ダンピングファクター500を実現できたのです。本格的に作り込まれた余裕たっぷりの電源となっています。 フロントパネルは、PASS伝統の細かなシルバーヘアライン仕上げで厚みがあり、シャーシも頑強な構造で高級感を漂わせています。左右のヒートシンクもA級アンプの熱対策のための巧みな形状をしており、ハイエンドアンプとしても魅力的なデザインとなっています。 『XA25』の出力は、純A級動作のため通常のB級アンプと違い25W/8Ω(50W/4Ω)と小さいのですが、スピーカーの出力音圧レベルが90dBもあれば十分に余裕を持ってドライブでき、コンパクトで使い易いステレオパワーアンプといえます。 ■ 試聴しました。 『XA25』の音質は、日本橋1ばん館のハイエンド試聴会の準備の際に確認しました。スピーカーはハーベス「SuperR HL5 Plus」を使用しました。 ※最下段が『XA25』 まずサウンドの第一印象は、これは”只者ではない“でした。従来からシングルプッシュプル純A級アンプで感じる、ある種のひ弱さが全くないのです。日本橋1ばん館の広い試聴室でも、決して高能率とは言えないハーベスを危うさを全く伴うことなく鳴らしたのです。 『XA25』は、純A級アンプならではの倍音の綺麗さを備えつつ、透明度の高いサウンドで抜けが良く、空間表現も抜群でした。さらにA級アンプでよく感じる甘ったるさはなく、25Wとは思えないダイナミックレンジの広さ、そして強力な電源の採用もあってか、そのサウンドの立ち上がりも非常に俊敏でした。 また、音楽の細部まで丁寧に表現する繊細感と、瑞々しく色彩感豊かなサウンドは、音楽を自然に楽しませてくれます。緊張感を全く感じさせない素直なサウンドには、リラックスさせられました。 また、以前聴いた前述のFirst Wattの「F-7※」のまさしくPASS版とも感じました。しかしFirst Wattと違い筐体内部はぎっしり詰まっており、このためもあってか、多少あっさり系のサウンドであるFirst Wattとの違いを感じました。 (※ブログ参照: A級アンプの美学がここに!『 Firstwatt F7 』が持つ魅力とは?) 『XA25』のシンプルな回路構成にしたことで実現したスピード感や安定性は、高バイアス電流を出力素子にかけて動作させる本格的A級動作により実現できたサウンドなのです。 ■最後に。 『XA25』は、そのスペックも素晴らしいのですが、よくスペック一辺倒のアンプで感じる、無機的な面白みのないアンプとは対極に位置する、音楽性たっぷりのアンプでもあります。 大音量を求めるのではなく、音質を最優先される本格派のオーディオファンにこそピッタリのパワーアンプと思います。この価格でもC/Pが抜群であると断言します。 ネルソン・パスが求めたサウンドをこの価格で実現できたことは何より素晴らしいことで、『XA25』は、私自身にとって久々に購入意欲をかき立てられたパワーアンプとなりました。 近日『XA25』とペアとなるプリアンプも発表される予定です。 今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん) |
PASS パワーアンプ『XA25』はこちら! |
- ★PASS Labs パワーアンプのコセンプト(多数のパワーMOSFET を使用した出力段、巨大なヒートシンク、大規模な電源回路)控えめに採用。
◆PASS Labs パワーアンプのコセンプトを控えめに採用。
◆シンプルなフロントエンド回路は、2 組のコンプリメンタリーFET(NOS = New Ols Stock)を採用
◆シンプルなゲインステージによりスピードと安定性が向上
◆PASS Labs. 製品共通のヘアライン仕上げの重厚なアルミフェイスプレート採用の頑強なシャーシ構成
PASSの主なラインナップ |
『XA25』に組み合わせてみたいプリアンプ |