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[ 2017年6月27日付 ]

〜 ラックスマンのAB級プリメインアンプのベストセラー機「L-507uX」から、大きく進化&深化して『 L-507uX II 』として登場! 〜

ハイエンドオーディオ担当の "あさやん" です。
今回は、ラックスマン プリメインアンプ『 L-507uX II 』をご紹介!ラックスマン技術者への電話取材でお答えいただいた音質評価も、交えてレポートしてまいります。


LUXMAN「L-507uXU」
“507”の歴史

LUXMANの“507"と聞いて、私がまず思い出すのは「SQ-507」です。1969年(昭和44年)発売で「SQ-505」とともに当時一世を風靡したプリメインアンプです。

私はそのデザインに憧れ、欲しくてたまらなかったものの、高校生には手が届かなかったのを今も鮮明に記憶しています。これが現在の“500シリーズ”の原形となったのです。



さて、“507”は1973年「L-507」として、「SQ-507」のデザインを踏襲して発売されましたが、紆余曲折があって、その“507”の復活は1996年発売の「L-507s」まで待たねばなりませんでした。

その後、1999年「L-507sII」、2001年「L-507f」、2009年「L-507u」、そして2012年「L-507uX」と続き、今回5年ぶりに“507”『 L-507uX II 』として登場したのです。

前作の「L-507uX」は、高次元のクリアネスと解像度を実現し、SN感や空間表現力の素晴らしいプリメインアンプでした。そこにAB級アンプの持ち味であるキレと力強さを伴った、ジャンルを選ばないオーディオ性能が高い評価を受け、ロングセラーを続けて来たのでした。

『 L-507uXII 』への進化とは

今回、この直近の5年間にラックスマンが得た数々のノウハウを惜しげもなく投入して完成させたのが『 L-507uXII』です。先にモデルチェンジを果たしている純A級プリメインアンプ「L-590AXII」や「L-550AXII」で得られた最新技術を使うことで、大きく性能を向上させることが出来たのだと言います。

その最新技術とは、ラックスマン独自の高音質帰還回路ODNFの最新バージョン4.0に加え、88ステップとなり、微小音量域で細かな音量調節が可能となった電子制御アッテネーター“新LECUA1000”を搭載したことが大きな進化につながったのだと言います。

特に『 L-507uXII』は、そのプリアンプ部の充実が目立ちます。今回電話ではありますがラックスマンの技術者に直接お話を伺うことができました。

その話の中で最も強調されておられたのは、プリ部の基板の面積が従来機に比べ25%も大きくなったことで、そこにカスタムパーツを多用するとともに、パーツの極性管理を徹底的に行ったのだそうです。これにより音の濁りが格段に少なくなったとのことです。

ラックスマン独自の高音質負帰還回路ODNFでは、誤差検出部を従来機の2パラレルから3パラレルとしたことでより精度がアップし、歪性能を大幅に改善できたと言います。さらに2段目のアンプを2パラレルからダーリントン接続とした最新バージョン4.0としたのです。これにより躍動感が大きく増したのだと言います。

ボリュームコントロールでの音質劣化を最小限に抑え、小音量時のきめ細かな音量調整が可能な“新LECUA1000”を新たに採用することで、広帯域での伸びやかさとエネルギー感溢れる躍動感あるサウンドを実現できたのです。

さらに、プリアンプ回路の出力段には、セパレートアンプの最上位機「C-900u」と同等のディスクリートバッファー回路を追加し、スケール感と音の立ち上がりを際立たせました。そして、これも「C-900u」にも採用されたセパレーションとクロストーク性能を高める高音質セレクター・スイッチICも備えています。

フロントパネルには電子制御のバス/トレブル式トーンコントロールとLECUAによって制御されたLRバランス調節機能も装備されています。プリ/パワーのセパレート入出力も各1系統備え、パワーアンプを追加したバイアンプ構成やAVシステムとの共存も可能です。※プリアウト (PRE OUT) 端子からは、セパレート・スイッチのオン/オフにかかわらず常時出力されます。

さらにプリメインアンプとしては驚異的な負荷対応力を誇るファイナル段3パラレル・プッシュプル構成の220W + 220W (4Ω) 定格出力をひねり出し、あらゆるスピーカーを力強くドライブできます。

高レギュレーションの電源トランスと大容量コンデンサー (10,000μF×4本) を組み合わせた、ハイイナーシャ (高慣性) 電源を採用しています。また高いドライブ能力を実現する低 抵抗値の大型スピーカーリレーをパラレル構成で搭載しています。

そして、電源基板 の接続方式の見直しも図り、ダンピングファクターを従来機の205から260に大幅に向上させたのです。その結果、従来の優れたスピーカー駆動力にさらに磨きがかかったのです。

入力された音声信号をスピーカー出力まで最適・最短ルートで伝送する「ビーラインコンストラクション」を採用。これはミツバチの収蜜・帰巣の最適最短ルートになぞられて開発されたものだとい言います。

内部配線にもこだわりを見せ、各芯(2芯シールドの各々の芯線)スパイラルラップ・シールドと芯線の非メッキ処理を施すことで自然な信号伝送を実現した、独自のOFCワイヤーを採用。さらにデリケートな音楽信号の流れに配慮し、スムーズな電流伝送を実現するためのラウンドパターンを採用した基板配線としています。

もちろん、専用のフォノイコライザーアンプを買い足すことなく、ハイグレードなアナログレコード再生を楽しめるMM/MC対応のフォノイコライザーアンプ回路も内蔵しています。

筐体は、シャーシ電流によるアース・インピーダンスの上昇を回避するため、独立コンストラクションのループレスシャーシ構造とし、新たにグラデーション鋳鉄製レッグを採用することで不要な外部からの振動を強力に遮断しています。これが結構効いていると前述の技術者も述べています。

新デザインのメーターパネルを採用したブラスターホワイトのフロントパネル、LED照明付きメーター、精緻なアルミ・ヘアライン仕上げのトップパネルは高級感を醸し出しています。

また、上位機種と同一で、同社の対応CDプレーヤーの操作も可能なアルミ製リモコンと、ノンツイスト構造のラックスマンの電源ケーブル「JPA-10000」を同梱しています。ACインレットまで金メッキ仕上げとしており、他メーカーの高級電源ケーブルとの交換も意識しています。

すべてのRCA入出力端子は、大型のプラグを装着した高級ケーブルにも対応する18mmピッチとしています。RCAライン入力×4、Phono(MM/MC)×1、XLRバランス×2、録音入出力×1、セパレート入出力×1を装備しており、ヘッドフォン出力も備えています。

最後に
残念ながら、レポート時点では『 L-507uX II 』の試聴はできていませんが、レポートの際、電話での取材に答えていただいたラックスマンの技術者の音質評価は以下の通りでした。

前作「L-507uX」とのサウンド全体の“解像度”の差は(所有者の方には申し訳ないのですが)一聴歴然だと言います。

とにかく音場感が素晴らしく、奥行き感、立体感、そして空気感が格段に向上していると言います。特に中央の定位がしっかりしており、ハイファイ調のアンプによく見られるような中央の薄さがなく、ボーカルや楽器が眼前に見えるようだと言います。

また、広帯域にわたり伸びやかで、エネルギーがみなぎる躍動感のある音色が存分に楽しめ、そのスケール感と音の立ち上がりも際立っているとのことです。ピアノのタッチの正確さ、響きの豊かさはまさに特筆モノだと自身満々でした。

完成度をさらに高めた『L-507uXII』が、その豊かな表現力と描写力で、セパレートアンプを脅かす存在となったことで、プリメインアンプとしての新しい可能性をも感じさせてくれます。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(あさやん)



ラックスマン プリメインアンプ『 L-507uX II 』


    『 L-507uX II 』に組み合わせたいラックスマン製品